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ASICSが開催した「#応援したいスポーツ」コンテストの審査結果を発表します!

4月15日から約2ヶ月間、ASICSがnote上で開催した「#応援したいスポーツ」コンテスト。期間中には5,982件もの作品を投稿していただきました。スポーツ愛に溢れた作品を投稿いただき、ありがとうございました。

noteでの応募作品一覧は、こちらをご覧ください。

ASICS賞の審査員であるリーチマイケル選手、桐生祥秀選手、篠山竜青選手、ダルビッシュ有選手、note賞の審査員である浅生鴨さん、宇都宮徹壱さん、前田有香さん、そしてASICSスポーツ応援プロジェクト事務局の審査の結果、各賞が下記のように決定いたしました。

これらの作品がみなさまの新しいスポーツとの出会い、そして応援するきっかけになればと思います。

それでは、受賞作品を発表いたします!

ASICS賞

■ リーチマイケル選手

わたしとラグビー。/ おおえさき

タイトルがとてもシンプルだったので内容が気になり、読み進めていくと、気づけば笑いながら読んでいました。試合の間にドーナツを運ぶイラストが特に面白かったです。

ワールドカップが終わってたくさんのインタビューや取材を受けたり、ワールドカップに関する記事を読んでいて思うことは、その9割が似たような内容であることです。新しくラグビーファンになった人達は、どこを見て、何を感じて、ラグビーファンになったんだろうなと考えるようになりました。

多くの人はチームが頑張っているから、チームが強いから、選手がかっこいいから、ぶつかり合い、足の速い選手、力強い選手などの理由だと思います。ファンによって試合の見方もたくさんあると思いますが、この文章を読んでこんな風に試合を見ている人もいるんだなぁと気づくことができました。

私は昨年、キャプテンを務めていたのでよくチームのメンバーに対して映画を利用して色々なことを説明しましたが、今後はこのように説明をしていければと思いますし、試合を見る時には、このように試合を見てみようと思います。

ありがとうございました。

練習中の怪我で頚椎骨折、手足が不自由に。“それでも僕はラグビーに恩返しがしたい” / SpoLive / スポライブ

まずは、ラグビーに対する熱を感じました。
若い時から強くなりたいという意欲と怪我した後でもラグビーに恩返ししたいという思いからとても刺激をもらいました。その思いになるまでは色々、沢山の苦労があったと想像します。

そして、今はYoutube channelを利用して、たくさんの方々にメッセージ、アドバイス、サポート、車椅子生活の理解度を高める活動をしている姿を見て感動をしました。キャプテンとしての最大の目的は人を助けることだと思います。リーダーシップは若い時から得たものなのか、ラグビーを通じて得たものなのかは分からないですが、人生を通して何があってもぶれずに生きていく金澤さんをとても尊敬をしています。

僕がキャプテンになった一番の理由は、世界が日本ラグビーをリスペクトして欲しかったからです。日本人は強いということを証明したかった。日本でラグビーをしてきた苦労のために、やった事は無駄じゃなかったと証明したかったのです。日本は間違いなく練習量とキツさは世界一です。その苦労をワールドカップで結果として残すことは自分のモチベーションです。

金澤さんに貰った刺激を燃料に変えて頑張って、今まで以上に強くなりたいと思います。

ありがとうございました。

■ 桐生祥秀選手

『近くて遠いこの身体』:本当に身体って遠い / 元新体操選手ロールパンナ

この作品を受賞作品に選んだ理由は、文章の中にある「内部感覚」や「身体」を重視しておられ、共感できる部分があったからです。

自分の話を少しすると陸上の練習でももちろん内部感覚や身体を信じて練習することは大事だと思います。現代は沢山のウエイトトレーニングや走りのトレーニングがあり、これをやれば速くなる、これをやれば良いという物がたくさんあります。良いこともあると思うのですが、逆にそれは自分の体的にはあってないと思っているのに、科学が進化しているからこそそちらを信じてやる人も多いと思います。悪いことばかりではないですが科学が絶対に自分自身の体に合っているとは限らないと思うので、内部の感覚や体を信じることが今の情報社会だからこそ大事だと思います。

体で覚えていることも感覚として、自分の練習の時に実践しています。例えば100mを13秒10〜13秒20の間でゴールする。9.98のベストを持っている自分にとっては13秒10のタイムを出すことは簡単です。ですが、ここで大事なのは13秒00〜13秒50の間でゴールする距離とタイムを体で実践出来るかということです。多分普通の人ならその0.5秒のタイムを感覚で走ることは不可能だと思います。これが、体で覚えることの一つだと思います。

情報社会の今だからこそ、色々なことを見たり聞いたりすると思います。
その中で自分にどれがあっているか、科学が良いといっていても自分自身の体に合わない練習や意識があると思います。その中で自分自身を知り必要なことを選ぶこともスポーツをすることの楽しさだと思います。

間違った練習はないと思います、その練習が合わなかったとしても、その練習が自分に合わないと思えたことがやる前より進歩した証です。

自分自身を知ることはこれからの人生でもずっとやっていくことができます。日々の気づきや変化を楽しみながらこれからもスポーツをしていきたいです。

■ 篠山竜青選手

運動できない劣等感を散々味わった人が、運動できる人になった時に、僕は「にしのーーーーーー!!」と叫んだ / 山羊メイル/tetsuya kimura

もしかすると、スポーツというものは一般的に足が速かったり、他の人よりも高く跳べたり、一般的にいう「運動神経がいい人」がやるものであり、そういう人たちが楽しめるものというイメージがあるかもしれません。
そして、もしかしたら僕自身もそう思っているようなところが過去にあったかもしれません。

ですが、この方のnoteを読んで、バスケットボールに関わらずどんな人でも楽しめて、魅力を感じ取ることができるのがスポーツだということを改めて教わりましたし、スポーツは楽しむものという原点を思い出させてくれた投稿でした。

小説を読んでいるかのような、そして臨場感があり情景が頭に浮かぶ文章もすごく魅力的です。スポーツを生業とし日々戦っている僕にとって、本来の「楽しむ」という感覚を取り戻せるような心が洗われる投稿でした。

Vol.3 太田敦也 泥にまみれるビッグマン / Takeshi Ichiki

この投稿を読んで、太田敦也さんとの思い出が蘇ってきました。
初めて太田敦也と会話したのは、僕が日本代表に初めて招集された2016年頃だったと思います。色んな若手の選手からいじられているのを見ていましたが、大学の先輩ということもあり、僕は先輩後輩としてしっかり丁寧に接していたと思います。

ですがある日、太田さんから「今の代表チームの中で俺をいじってくれないのは竜青ぐらいだ。距離を感じるから寂しいぞ」と言われたのが未だに忘れられません。こんなに懐の深い優しい人がいるんだなあ、と感動しました。こう見えても人見知りな僕ですが、そこから敦さんをはじめ、代表の選手達ともちょっとずつ仲良くなれたような気がしています。

そんな優しい敦さんのインタビューで、僕の心に深く残っている言葉があります。「上手い選手といい選手は違う。」その言葉を記事で読んだとき、すごく腑に落ちたし、自分自身も突出した武器がなくそれに対して悩む時期もありましたが、自分に自信が持てるような言葉だなと思ったし、まさに敦さんは「いい選手」として日本代表を支えてきた一人だと感じています。

皆さんもこの授賞した記事を読んで、太田敦也の試合をぜひ観に行ってみてください。

■ ダルビッシュ有選手

あの夏、僕は、歴史的大戦犯になった。/ ニシダケイスケ

今年は高校野球の予選大会・選抜・夏の甲子園が中止となってしまったため、このような経験ができないことがとても残念です。

ミスはあったかもしれませんが、日々の練習を頑張っている姿をチームメイトも見ていたのだと思います。

“勝つたびに友人やOBや地元の方などの声援が増えていった“ということは「応援したい」と思ってもらえた素晴らしいチームだったのだと思います。まさに、今回の「応援したいスポーツ」という企画にあったエピソードでした!

note賞

■ 浅生鴨さん

僕があの夏に見た涙はどんな色だったか、もう思い出せない / ちゅー(ΦωΦ)サウナイキタイ

その人が好きだからこそ、僕たちは応援するんですよね。誰かを応援していたこと、あるいは誰かに応援されていたこと。それはそのときには気づかないかもしれない。けれどもその応援が、僕たちの人生をどこかで後押ししてくれているのでしょう。エッセイというよりも青春小説として読みました。

応援したいスポーツ。言葉にすると簡単なようで、じつはけっこう難しいテーマだったような気がします。今回の応募作品は大きく分けると、スポーツをメインテーマにしたものと応援をメインテーマにしたものがあって、最終的にどちらを選ぶべきだろうかと僕自身もかなり悩みました。

大好きなスポーツを知って欲しい、どれだけ自分が夢中になっているのかを伝えたい、その熱すぎるほどの思いは、あきらかにスポーツをテーマにしている作品にたっぷりと含まれていて、いくつかの作品を拝読した僕は、これまであまり関心のなかったスポーツを一度は観戦してみようかなという気にさせられましたし、他方、応援がメインテーマになっている作品は、誰もが人生の節目で感じるような、人が人と共に生きていくことの嬉しさや哀しさが滲むような作品が多く、これもまた、ああそうだよなあと唸らされるものがありました。

今回投稿されたたくさんの作品を拝読しながら僕は、応援とは、たぶんいつもいる場所から一歩離れたところに立って、あるいは数センチだけ地上から浮かび上がって、ままならない日常から解き放たれる感覚に満たされることなのかもしれない、そんなことを考えていました。最終的に選考に残った作品はどれも、そうした非日常的な感覚を文章で感じさせてくれたように思います。

たくさんの投稿ありがとうございました。

■ 宇都宮徹壱さん

3ヵ月毎日ブログを書いていたら、チームが夢を叶えてくれた話。 / 青木 詠夢 │ えむ

「#応援したいスポーツ」のコンペティションで、最も印象的だったのが、青木詠夢 (えむ)さんの「3ヵ月毎日ブログを書いていたら、チームが夢を叶えてくれた話。」でした。その理由について、あらためて考えてみたいと思います。

 今回のエントリー作品の書き手は、大きく3つの属性がありました。すなわち「取材者」「ファン」そして「裏方」。このうち、個人的に最も苦手なのが、3番目の「裏方」で、その最たるものが部活動のマネージャーです。えむさんは、まさに大学サッカー部のマネージャーで、しかも4年生のときにはなぜか「2ndチーム」を担当することになります。

 いわゆる「自己犠牲」が美化されがちなマネージャーというポジションを、しかも女子学生に押し付ける文化について、私は「昭和の遺物」と考えています。かくいう私自身、高校や大学のサッカー部に所属していた当時、あらゆる雑務を女子マネに押し付けることに、何ら疑問や違和感を覚えるはありませんでした。当時の自分の無知と無関心を恥じ入ると共に、一刻も早く女子マネ文化というものが風化してほしいと願っています。

 ところがえむさんのnoteには、そうした自己犠牲的な匂いは一切なし。「やらされている」感も、微塵も伝わってきません。では、彼女を突き動かしたものは、何だったのか。彼女はこう書いています。

《そのとき、私の目の前には、目に留まりやすい TOPチームの裏で、泥臭く、ひたむきに、決して諦めることなく戦い続ける選手たちがいたんです。そのとき、強く思いました。選手たちの頑張りを、もっともっと多くの人に届けたい。ここにいる1人1人の想いを、ここで留まらせておくなんて勿体ない!》

 そして彼女は、選手全員(105名)にインタビューを開始。3ヶ月で、選手・学生スタッフ全員のインタビュー記事をアップします。マネージャーブログは、前年度まで2記事だったのが、えむさんが担当するようになって110記事まで増加され、さらにSNSでの告知を駆使することで、2ndチームの試合にも足を運んでくれたファンが増えたとのこと。遠方で暮らす選手の親御さんたちからも、大いに感謝されたそうです。

 自身の仕事について、えむさんはnoteの中で、こう結論づけています。
《わたしは「サッカー」という形で直接力になることはできないけど、そこで「どうしたら、何だったら、みんなと同じ熱量で取り組めるか」を考え、行動しつづけたおかげで、心から一緒になって喜ぶことができた。その事実が、何よりもうれしかったです。》

 繰り返しになりますが、私自身は女子マネ文化というものに、今でも一定以上の抵抗があります。けれどもえむさんの場合、選手を応援し続けた結果として「チームが夢を叶えてくれた」という、貴重な経験を得ることができた。そのストーリーが、非常に秀逸かつ尊いものに感じられました。

 えむさんの他のnoteの記事も読ませていただきました。今年から社会人となったものの、コロナ禍でいきなりリモートワークになったとのこと。そうした中でも、常に前向きで学びを得ようとする姿勢が、文章からストレートに感じられました。いわゆる「バズる」書き方ではなく、丁寧にこつこつと言葉を紡いでいく文体に、好感が持てました。

 どうかこれからも、書き続けてください。

■ 前田有香さん

空飛ぶ車いす / キングかず

東京2020の延期が決まり、この先どうなるのだろうとぼんやりと先行きの不安を抱えていた私の耳に入ってきたのが「スポーツは平和なくしては成り立たない」というこのニュースの国枝選手の言葉でした。国枝選手の言葉にアスリートとしての強さを感じ、この期間を改めてスポーツの価値を考え直す時間にしようと思ったことを鮮明に覚えています。
国枝選手の言葉は、その時まで国枝選手を知らなかったキングかずさんの胸にまで響いたのだと知り、改めてパラアスリートの人間としての魅力を感じる文章だなと思いました。

アスリートの舞台である試合がなかなか開けない今でも、 アスリートとしての芯の強さ、人間としての強さが、不安定なこの世の中で希望となり、スポーツが社会を照らす光になっているのだと感じました。
一日も早く平穏な日々が戻ることを祈りながら、キングかずさん同様、私も2021のパラリンピックのコートで国枝選手が観たいと切に願っています。

スポーツのきっかけ賞

「空回りし続けな」。中村俊輔選手からの伝言 / 塩畑大輔

【オンライン写真展】アスリートの笑顔展 in note / yumi/看護師カメラマン

運動不足なので『仮入隊』してみました / かなった

40オーバーのおっさんが突然スケボーを始めて思ったコト / 株式会社ティラノ

オタクがサーフィンにハマるまで / ice|家永初美

大学時代タッチフットボールという競技で、念願だった日本一位とMVPを取ったけど死ぬほど悔しかった話。 / moe

その手を見ると、応援したくなっちゃうんだ / 水野 うた

極限世界の頭脳戦、サイクルロードレースの世界 / K.Higashi/note inc.

部員2名のバレー部を、ヤンキーと一緒に立て直して優勝した話。 / Hiroki Kobori

私には夢がある。有明コロシアムを車いすテニスの観戦客でだけで埋め尽くしたいという夢が。/ 酒井朋子

総評

■ ASICS応援プロジェクト

「#応援したいスポーツ」は、企画当初はスタジアムで熱狂している様子をイメージしたハッシュタグでした。スポーツを一緒に楽しむことが制限される状況が続く中で、「応援」の意味は「支援」に変わり、スポーツを愛する方々と、noteを通して気持ちの共有をしたいとコンテストの実施に至っています。

「スポーツのきっかけ賞」では、新しい競技へのチャレンジや、スポーツを通して得た気づきについての投稿を運営チームで選んでいます。このコンテスト自体もまた、誰かのきっかけになっていると嬉しいです。

コンテストにご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。