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億を売る妻 No.7 幸せを感じながら生きている

引き続き就職活動は続けて、
2社ほど採用をもらいました。
1社は事務機器の営業職、
もう1社はエンジニア専門の派遣会社の営業職でした。
結局派遣会社の方を選んだのですが、
そのタイミングで営業職の空きがなく、
空きができるまではシステムエンジニアとして、
働く事になりました。
しかしそう言った職種の人達とは
思考回路がまったく違い、
結局2週間と持たずに
退職してしまう流れとなってしまいました。

再び職探しが必要でしたが、
そろそろお金も底をつき、
もうこのままここにいる事は
難しくなっていきました。
彼女の実家へ住ませて貰いながら、
という話にもなりましたが、
まだ結婚するかどうかもわからない、
無職の男がいることは、
良くないようにも思いました。

そして、自分の実家へ帰る事を決めました。

次回の就職場所は彼女と私の間の街で
探す事になり、
自分の実家に戻り真面目に職探しに取り組みました。
幸い早々にIT系の営業職に
採用が決まりました。

新しい仕事を始めてからも、
しばらくはまだお金のない私は、
実家から仕事に通っていました。

彼女の実家へも週末を使って行っていました。
これからどうして行くのかも、
相談しに行く為でもありましたが、
私自身、まだ新しい仕事に
就いたばかりだったので、
これまでのように、
また辞める事になってしまわないか、
正直不安でした。

そんな状態の私を見て彼女のお母さんが、

「もう結婚する事は決めてるんやろ?
ほな明日したら?」

というのです。
驚きながら私が

「明日?ですか?」

と言うとお母さんが、

「いいやん、明日で。待っててもいいタイミングなんて来ないって。」

っと。

私も段々とそんなものなのかなあと、
思い始めていました。

そして次の日。
お母さんは早速役所へ婚姻届を取りに行き、
帰って来て私達に記入するように促しました。
私も言われるがままに記入しそして判を押し、
結婚に対して何も予定がないままに、
この町の役所へ提出しに行きました。

そして後日
私の実家に彼女との結婚を報告する為に、
彼女の住む町まで迎えに行き、
私の実家へ向かいました。

その途中の車内の助手席で彼女は

「つらい。。つらい。。」

とボロボロと泣き始めました。

「えっ結婚したくなかったん?」

と私が聞くと、

「違うよ。この町を離れるのがつらいねん…」

といいながらまた声を出して泣いていました。

滅多に帰れない遠い外国なら
まだわかるのですが、
車で3時間もあれば帰れる場所なのです。
私には何故彼女が子供のように
ここまで泣きじゃくるのか、
理解出来ませんでした。

しかし彼女にとってこの町を離れる事は、

私が考えるよりも遥かに大きな問題だった

のです。

彼女にとってこの町での生活は、

充分に幸せを感じながら、
過ごしてきた場所であり、
変える必要無かった事だった

のだと思います。

そしてこれから、

この町より幸せを感られるかどうか
わからい新しい場所の為に、
充分に幸せを感じながら過ごしてきた場所を、
一旦全て捨てなければいけないという事実

が、とても辛かったのだと。

それと同時に彼女の涙は、

彼女がこれまでの人生を、
とても幸せに過ごしていた証でもある


のだと思います。

---
つづく

※10年くらい前の記憶の為、
事実とのズレがある場合は、
妻の校正が入り内容が変わる事があります。
あしからず。

億を売る妻インスタ始めました☆

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