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【大月書店通信】第162号(2022/8/4)

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8月は戦争を考える機会の多い月ですが、今年はロシアによるウクライナ侵攻以来、ずっと「戦争」が頭のどこかにこびりついているような気がします。
2つの大戦をへて確立された基本的人権や戦争違法化の体系を一挙になし崩しにするような暴挙に全世界が慄きました。

でも、積み重ねがゼロに戻ってしまったわけではありません。
それを象徴するのが、昨年1月に発効した核兵器禁止条約です。この条約は、広島・長崎をはじめとする世界中の核被害者の訴えを受け、NGOや専門家、外交官などの国際的な連携によって実現しました。
6月には初の締約国会議が開催され、ロシアによる核の威嚇を強く非難しつつ、核保有国を含む世界に核兵器廃絶への力強いメッセージを発信しました。

平和を願う人々の声がひとつになれば、不可能とされたことも実現できる。
そんなメッセージを伝えたいと、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の活動に携わる人々の手で作られた絵本『核兵器をなくすと世界が決めた日』がこのたび発売となりました。
核兵器廃絶を求める声が世界の人々を動かし、条約に結実していくまでが、小学生にもわかる物語として描かれています。
ウクライナ関連の報道に、「核戦争が起きてしまうの?」と不安に感じているお子さんがいたら、この絵本を読んであげてください。きっと希望を受け取ってくれるはずです。

【新刊案内】

7月の新刊です。お近くの書店にてお求めください。

●核兵器禁止条約の誕生を描いた初めての絵本
核兵器をなくすと世界が決めた日
川崎 哲[監修・解説] 高橋真樹、岩﨑由美子[文] TOTO[絵]
1,760円(税込)

すべての国が核兵器の保持や使用をしないと約束する核兵器禁止条約。被爆者の声と、市民の国際的な連帯が生んだ画期的条約の成り立ちを初めて絵本に。ウクライナ危機で核戦争の脅威が深まる中、子どもたちに希望を伝えます。

●スポーツ界の#MeTooの先駆的事件
THE GIRLS 性虐待を告発したアメリカ女子体操選手たちの証言
アビゲイル・ぺスタ[著] 牟礼晶子・山田ゆかり[訳]
井口 博[法律監修] 2,750円(税込)

2016年、米国体操連盟の医師が30年近くも女子選手200人余りに性虐待を働いた事件が暴露される。少女たちを護るべき保護者やコーチ、関係機関は何をしていたのか。綿密な取材で犯罪手口や体操界の構造的問題にせまる。

●無国籍ってどんなこと? 当事者が伝える絵本
にじいろのペンダント――国籍のないわたしたちのはなし
陳天璽、由美村嬉々[作] なかいかおり[絵]
無国籍ネットワークユース[協力] 1,870円(税込)

世界に1000万人超いるとされる無国籍者。なぜ国籍をもてないのか、生涯を通じてどんな困難があるのかを、当事者の体験に即して絵本の形で伝える。多様なアイデンティティをもつ誰もが取り残されない、虹色の社会に向けて。

●特集=生活保障――国・自治体の責務を問う
季刊 自治と分権夏号 no. 88 1,100円(税込)

●首長インタビュー 松下玲子・東京都武蔵野市長 ●健康で文化的な生活とは──憲法25条に基づく国と自治体の責務(河合克義) ●維新版ベーシックインカムによる社会保障の積み木崩し(二宮厚美) ほか

●特集=子どもたちと平和を語ろう
月刊 クレスコ8月号 no.257 550円(税込)

ロシアのウクライナ侵略が日々もたらしている惨状を見て、子どもたちは何を思っているのか。生命の大切さ、戦争の無残さ、平和を守るための人々の粘り強いとりくみなどを、学校で子どもたちと一緒に考え合うための特集。

【話題の本】

★ 緊急出版! 有田芳生『改訂新版 統一教会とは何か』 ★

安倍元首相の銃殺事件以後、急激に注目が集まっている旧統一教会。
メディアが報じなくなった「空白の30年」以前からこの問題に取り組んできた有田芳生さん(ジャーナリスト、前参議院議員)の入手困難書『統一教会とは何か』に書き下ろしを加え、9月に緊急復刊いたします。

信者からの搾取、自民党政治との癒着といった今の問題がわかる名著です。ぜひご予約ください。

【メディア】

★ 《今日18時~》NHKで紹介『にじいろのペンダント』 ★

無国籍問題を描いた初めての絵本『にじいろのペンダント』がNHK総合の「首都圏ネットワーク」で紹介されます!

物語のモデルでもある著者・陳天璽さんが絵本にこめた想いや、絵本づくりプロジェクトの中心になった「無国籍ネットワークユース」の学生さんたちによる絵本の読み聞かせなどが紹介される予定です。

NHK総合1(東京・神奈川・埼玉・千葉)「首都圏ネットワーク」
8月4日(木)18:00~ *報道番組のため内容が変更となる場合があります

また、7月29日放送のTBSラジオ「アシタノカレッジ」でも本書が紹介されました。以下のYouTubeチャンネルまたは「Radiko」でアーカイブが視聴できます。

【イベント】

★ 『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』を読んだ現役大学生の声 ★

昨年7月に刊行したベストセラー『「日韓」のモヤモヤと大学生のわたし』(加藤圭木 監修、一橋大学社会学部加藤圭木ゼミナール 編)。

大学生が執筆した本書に対する、大学生の感想レポートを紹介。事前に録画された動画の配信であり、無料でいつでも視聴可能です。

【編集後記】

最近、「僕は口が軽い」と公言しようかなと思っています。裏表なくペラペラ喋るやつと思ってもらえれば、陰気な秘密や悪口を共有しようとする人が寄ってこなくなると思うので。まあ時と場合によりますが、何らかの組織やコミュニティを運営するときには、けっこう大事な姿勢だと思っています。(Q)

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