大月書店

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1946年創業の社会科学出版社、大月書店の公式アカウントです。新刊の部分公開やweb限定の連載など、紙の本から一歩はみ出て読者の皆さんと出会える場を作れたら嬉しいです。

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  • メールマガジン「大月書店通信」

    大月書店が月1回発行するメルマガ「大月書店通信」をnoteでも配信します。新刊情報や話題の本、本にまつわるイベントのお知らせなど。購読は無料です。配信登録はこちらから。https://www.itm-asp.com/form/?57

  • 先生が先生になれない世の中で

    雑誌「クレスコ」に好評連載中の教育研究者・鈴木大裕さんの教育事情レポート。

  • あっと驚く刑務作業の世界

    家具や雑貨、文具にお茶――。全国各地の刑事施設のユニークな刑務作業を紹介するシリーズです。

  • 君も本棚を作ってみないか?(田野大輔)

    君も本棚を作ってみないか? 研究者のための本棚自作マニュアル 田野大輔(たの だいすけ)1970年生まれ。甲南大学文学部教授。専攻は歴史社会学。著書『ファシズムの教室――なぜ集団は暴走するのか』(大月書店)、『愛と欲望のナチズム』(講談社選書メチエ)、『魅惑する帝国――政治の美学化とナチズム』(名古屋大学出版会)ほか。

  • 大月書店×ジェンダー×多様性

    2021年夏から順次刊行するジェンダー・多様性に関連する新刊の情報をまとめます。

最近の記事

【大月書店通信】第185号(2024/6/28)

「大月書店通信」第185号をお届けします。 一足飛びに夏が来てしまったような陽気ですね。 6月は1年で最も日の長い季節。今年は雨が少ないせいか、よけいに日の長さを感じます。昨年ソーラーパネルを載せた我が家では、日に日に発電量が伸びていくのがわかるので、ちょっと楽しみでもあります。 今月の新刊『市民エネルギーと地域主権――新潟「おらって」10年の挑戦』は、新潟で市民主体の再生可能エネルギー事業を育ててきた政治学者の佐々木寛さんが、その歩みの中での思索を綴った一冊。 佐々木さ

    • 先生が先生になれない世の中で(34) ~不登校から日本一~

      K先生は、よく過激なことを言う。 幼少期から「天才卓球少女」としてテレビにも出演し、当時中学生だった福原愛を引き合いに出し、若い教員にこう尋ねるのだ。 「もし、卓球の福原愛ちゃんがおまえのクラスにいて、授業中に寝てたらどうする?」 「注意します!」と若手が威勢良く答えると、K先生は予想通りの答えに「あ~~」とガックリため息をつく。 何度このやりとりを見たことだろう。 K先生ならどうするのか。 「そのまま寝かせておく」と言う。 それに対してまわりの子が文句を言ったら?

      • 先生が先生になれない世の中で(33) ~先生との出会い~

        「なんで教員になったの?」 その一言で僕の計画は音をたてて崩れおちた。 2002年3月末の日曜日、自分が4月から赴任することになっていた千葉市の中学校を訪れた日。ひと気のない学校を案内してくれていた校長から紹介されたのが、K先生だった。「うちの剣道キチガイに会ったほうがいい」、と。 いま思えば、日曜日だったから他に紹介できる職員がいなかっただけのことだ。 K先生はポロシャツに短パン姿、そして裸足。後でわかったことだが、歳は僕のちょうど10上だった。最初にどんな言葉を交

        • 【大月書店通信】第184号(2024/5/30)

          「大月書店通信」第184号をお届けします。 ロシアのウクライナ侵攻から、すでに2年以上。この間、なぜこの戦争が引き起こされたのか、ウクライナとはどのような国か、プーチンの戦争をどう見るべきかなど、多くの書物が出されてきました。 戦争はじめ大きな事件が起きると、その真相を知りたい・伝えたいと思い、本が編まれ、多くの読者の「新たな知」が形成されていきます。ただ、そこで「メジャー」となった言説には、注意も必要です。 ウクライナ史の研究者である東京大学教授・松里公孝氏は、「戦争開

        【大月書店通信】第185号(2024/6/28)

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          【大月書店通信】第183号(2024/4/30)

          「大月書店通信」第183号をお届けします。 4月10日に投票された韓国の国会議員選挙では、革新系の野党が大差で勝利しました。投票率は67%で、1996年以来最高とのことです。 ニュースなどで選挙戦のようすを見ると、両陣営が踊ったり歌ったり、良くも悪くも「お祭り」的な明るさは日本の選挙にないものですね。韓国ドラマにもシリアスからエンタメ系まで、政治や選挙を題材にしたものが多数あります。 そうした文化の端々から、人々が政治を自分の生活に影響するもの、放置すれば今より悪くなってし

          【大月書店通信】第183号(2024/4/30)

          あっと驚く刑務作業の世界(3)横浜刑務所の製麺

          製麺工場がある唯一の刑務所横浜刑務所(神奈川県横浜市)には、なんと刑務所では全国唯一の製麺工場があり、受刑者による乾麺の製造が行われています。 取材に対応してくれたのは小山田勝(おやまだ・まさる)さん。作業専門官として、受刑者への乾麺作りの指導と、商品の企画、開発を行っています。 まずは横浜刑務所の製麺の歴史を伺います。 乾麺の製造を始めたのは、ある「ピンチ」がきっかけでした。刑務所の改築に際し、それまで横浜刑務所の目玉だった石けんの刑務作業が、他の刑務所に移転することに

          あっと驚く刑務作業の世界(3)横浜刑務所の製麺

          【大月書店通信】第182号(2024/3/29)

          「大月書店通信」第182号をお届けします。 春、卒業式~入学式、入社式の季節になりました。春は、新たな「学び」を始めてみたくなる季節でもあります。 今月の新刊『 大学生が推す 深掘りソウルガイド』は、大学ゼミでの「学び」のなかから生まれた本です。企画の始まりは、2022年秋のソウルでのゼミ合宿。街を踏査(タプサ)しているときに、有名な観光地やその周辺のあちこちに、「日韓」の歴史を知ることができる空間や物があるのに気づいたことがきっかけです。これを知らないなんて、とっても残

          【大月書店通信】第182号(2024/3/29)

          【大月書店通信】第181号(2024/2/29)

          「大月書店通信」第181号をお届けします。 この2月でウクライナ戦争の開始から2年。そして昨年10月からのパレスチナ・ガザでの戦闘はまもなく5か月になろうとしています。停戦を求める世界の声を無視して殺戮が続くことに無力さを感じている人も多いでしょう。 イスラエルの作家アモス・オズのエッセイ集『わたしたちが正しい場所に花は咲かない』(大月書店、2010年初版。現在品切)を開いてみました。 自分たちは常に正しいと考える「狂信者」への処方箋としてオズが提示する「想像力とユーモア

          【大月書店通信】第181号(2024/2/29)

          【大月書店通信】第180号(2024/1/31)

          「大月書店通信」第180号をお届けします。 今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」で、注目が集まる、紫式部と藤原道長ら平安朝の人々。 道長といえば、「この世をば わが世とぞ思ふ」とうたった傲慢な権力者。しかし、史料の再解釈によって、そのイメージが大きく変わりつつあるのです。教科書が書き換えられる可能性もあります。 今月の新刊『深化する歴史学――史資料からよみとく新たな歴史像』は、古代から現代まで、歴史研究が進展していくなかで見えてきた新しい知見を、「史資料」に注目し、わかりやす

          【大月書店通信】第180号(2024/1/31)

          【大月書店通信】第179号(2023/12/30)

          「大月書店通信」第179号をお届けします。 今年最後の配信となりました。 読者の皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか。 終わらないウクライナ戦争に続き、パレスチナ・ガザでの目を覆うような破壊。 世界各地で続く自然災害と「地球沸騰」と形容される温暖化の進行。 国内では自民党政治の底なしの退廃と社会システムの劣化が各所で噴出しています。 どこをとっても暗くなるニュースばかりですが、これらが夜明け前の暗さであることを願うばかりです。 今年最後の新刊は『 Q&A多様な性

          【大月書店通信】第179号(2023/12/30)

          【大月書店通信】第178号(2023/11/30)

          「大月書店通信」第178号をお届けします。 「大月書店通信」は今号で第178号目です。毎月1回の配信で、約15年間にわたって皆様にメールマガジンをお届けしてきました。メルマガにも歴史を感じます。 そんな「大月書店通信」ですが、今月号より、リニューアルいたしました。 前号まではテキストのみのメールをお届けしていましたが、今号からはメールがHTML形式となりました。レイアウトなどが大きく変わり、画像の配置なども可能になったので、見て楽しめるメルマガになっていると思います。

          【大月書店通信】第178号(2023/11/30)

          【大月書店通信】第177号(2023/10/30)

          「大月書店通信」第177号をお届けします。 大手デパートでは61年ぶりとされるそごう・西武労働組合のストライキで、久々に労働争議が全国ニュースになりました。 本来、働く人が賃金や職場環境を改善するための重要な手段である労働組合ですが、近年は組織率も低下し、存在感をなかなか示せていません。そんな中でそごう・西武の争議は労働運動の意味をあらためて考える機会になりました。 労働組合が誕生したのは産業革命期のヨーロッパ。児童労働も含む過酷な搾取、貧困と不衛生、そして官憲による容赦

          【大月書店通信】第177号(2023/10/30)

          先生が先生になれない世の中で(32)  ~マニュアル化する社会の中で②:『不適切にもほどがある!』~

          「おい、そこのメガネ! 練習中に水飲んでんじゃねぇよ! バテるんだよ水飲むと! けつバットだー! 連帯責任!!」 時は昭和61年(1986年)、中学教師で野球部顧問の小川は、地元では「地獄の小川」として恐れられる存在だ。選手がエラーしたら「うさぎ跳び一周」、体罰は「愛のムチ」、教室でもタバコスパスパ……。そんな主人公がある日バスを降りたら、令和6年(2024年)にタイムスリップしていた……。これがTBS系ドラマ『不適切にもほどがある!』の設定だ。 「意識低い系タイムスリッ

          先生が先生になれない世の中で(32)  ~マニュアル化する社会の中で②:『不適切にもほどがある!』~

          先生が先生になれない世の中で(31)  〜マニュアル化する社会の中で:奈良教育大附属小学校「不適切指導」事件~

          「奈良教育大学附属小学校では、今年1月に、学習指導要領に基づく授業時間が不足するなど、不適切な指導が明らかになりました」――あなたもネットやテレビでそんな報道を目にしたのではないだろうか。国が定めている、教えるべき内容を奈良教育大附属小(以下、附属小)では教えていなかったことが発覚。新任の校長が教職員に是正を求めたが受け入れられなかった……。そんな内容を聞いたら、それはダメだよね、となるのがふつうなのかもしれない。 実は、「不適切指導」が指摘されている附属小には、私は少しだ

          先生が先生になれない世の中で(31)  〜マニュアル化する社会の中で:奈良教育大附属小学校「不適切指導」事件~

          先生が先生になれない世の中で(30)~高知 教職員と議員のつどい②~

          教員の労働環境は子どもの学習環境であり、学校における働き方改革は、国、行政、議会、教職員、そして保護者が同じ方向を向けないわけはない。昨年12月、『高知(若手)教職員と議員のつどい』の一つの成果として、国が定める標準授業時数を上回るいわゆる「余剰時数」の問題が、高知県内12の市町村議会にて同時多発的に取り上げられた。さまざまな議会の関連議事録からは、今後進むべき道筋が見えてきた。 余剰時数の削減に向けた議論がイマイチ噛み合わない議会に共通していたのは、教育委員会の非協力的な

          先生が先生になれない世の中で(30)~高知 教職員と議員のつどい②~

          先生が先生になれない世の中で(29)~高知 教職員と議員のつどい~

          「もし機会があるならば、教育現場の声を直接議員に伝えたいと思いますか?」――そんな私の一言から、あるイベントが昨23年8月に高知市で実現した。その名も、『高知(若手)教職員と議員のつどい』。当日は、小中学校、特別支援学校、養護、栄養など、若手教職員に加え、高知全域から約20名の議員が参加した。党派関係なく、さまざまな市町村議会から議員が集まり、中には県議会議員の姿も見えた。 前半は、それぞれの立場の教諭がグループごとの「課題と要望」をプレゼンしたのに対して、議員側からの質疑

          先生が先生になれない世の中で(29)~高知 教職員と議員のつどい~