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先生が先生になれない世の中で

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雑誌「クレスコ」に好評連載中の教育研究者・鈴木大裕さんの教育事情レポート。
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2022年10月の記事一覧

先生が先生になれない世の中で(16)教育現場における「構想」と「実行」の分離(5) ~そして職人が消えていった~

先生が先生になれない世の中で(16)教育現場における「構想」と「実行」の分離(5) ~そして職人が消えていった~

「法隆寺最後の宮大工棟梁」と呼ばれた故西岡常一氏が住んでいた奈良県斑鳩町の西里は、法隆寺に仕える職人たちの村だった。彼らの生活は保障され、彼らは法隆寺を守っていた。日頃から法隆寺を見てまわり、悪い所があれば自ら直す。仕事がない時には農業をしつつ、常に寺のこと、先のことを考え、良い木があれば何年も乾燥させて次の修理に備えていた。

昔、宮大工の棟梁は、木を買わずに山を買っていたと西岡は言う。自ら山を

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