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隠したくなるものは買わない


隠したくなるものは買わない。

誰かに伝えたくなるような
見ていて楽しくなるような
本当に好きなモノなのか

吟味してから買うようにしています。

工務店仲間が集って、
同じく九州の工務店仲間のOBさま宅へ

暮らしの見学に訪れた際の
住まい手の談話です。

お話を伺ったのは、
異なる工務店のOGでありながら、

いずれもキッチンは壁側にあり、
いわゆる対面キッチンではない。

そして、
システムキッチンではなく、
造り付けてあるなど、共通点は多い。

造り付けと言っても、引き出しは無く、
オープンと呼ばれる空間や
棚板があるだけ。

棚の中には、必要なものだけが、
選抜されてそこにある。

とても片付いている、というより
持ち物がとても少ない。

ダイニング側には、念のため
キッチン下が丸見えにならないように
造り付けられた作業台は、ある。

けれども、

作業台の上には何も置かれてなくて
下の棚に、家電もすっぽり納まっている。

無論ここにも、引き出しや扉は、ない。

できるだけワンアクションで
気持ちよく家事が叶うように、

子供たちやみんなもそれに
参加しやすいように、

引き出しや扉はむしろ、
無い方がよいのだと云う。

(↓写真左は私、ではなく工務店仲間の浪江さん)

その道具、台所用品は
用の美に溢れたモノで、

ただ美しくデザインされた
今風のモノではなくて、
毎日ちゃんと活躍してくれる
コトをつくるものばかり。

ご飯を炊くための道具、什器。
珈琲をいれるための道具、什器。

そんな風に、分けて収納してあって。
引き出しも、扉も無いから、見えている。

それらが並ぶ様は、コトを想像させて
なんだか、お腹が空いてくる…

というくらいに、炊事という営みの
尊さを語ってくれているようで
なんだか頼もしい。

隠して収納するなんて勿体ない。
そんな風情である。

出産、子育てを機会に、
みんながストレスフリーになる
暮らし方に、少しでも近づくために。

余計なものを置かずに、吟味して
人生の荷物、暮らしの備品を減らすこと。

靴も、衣服も、食物も。

本来必要な量に備蓄を留めることで
収納という名の部屋を減らすことが
できれば、

小さな家つくりは、豪邸をつくるより
もちろん、家計にも優しい。

ちゃんとそこにあるのに、足さない。
というか。足るを知る、なんて
説教くさい話でもなくて。

ママやパパが思考をチェンジすることで
相方も、子供たちも、その生き方を
応援するように、手に取るものを
吟味するようになったりして。

中々難しいとは思うのだけれど、
生き方が変われば、住み方、暮らし方
も変わって。

住まいの在り方もまた、
ありのままで美しい佇まいに
なったりするのかもしれません。

(絶品パイと、枝から削って作ったという楊枝)

断捨離を大きな声で語る大家より
家つくり、そして暮らしつくりの
先輩たちの中に、キラ星のような
名手はちゃんといて。

彼女たちに教わることは、
とても意義のあることだと

オッチャンたちの足元は
目からはがれ落ちた鱗で
いっぱいになったのでした。

そんな、鱗だらけにしてしまった
住まいには「乾杯の家」という
名前が付いています。

名付け親はもちろん、
穏やかに、子育てと暮らしを愉しむ
住まい手その人、なのです。

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