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髪を切る、空気が動く。

この前実家に帰ったら、妹に「髪を切ってくれない?」と頼まれた。

散髪に関して何の技術もないわたしで良ければと引き受けた。

「どれくらい切る?」

「肩の上くらいかな。」

「肩の上くらいね、了解!」

ザクザク切り始めたらなんだかよく分からなくなって、気が付いたら肩の上どころかうなじは刈り上げ寸前にまで来ていた。

「あれ〜切りすぎたかも!」

「まぁ、スッキリするし、いいよ。」

内心焦りまくりのわたしに対して、妹はのんびりとしたお返事。

「はい!シャワー浴びてきな!」

半ば強引に散髪時間を終了し、お風呂場へ送りこむ。

しばらくしてお風呂から出た妹は、お夕飯の時間になっても鏡に向かって何やら髪の毛をずっといじっていた。

(やばい、取り返しがつかないことしたかも・・・)

「ねぇ、ここ、ちょびっと出てない?切ってくれない?」

クセのある髪の毛をアイロンで丁寧に伸ばして、何やら切り残しを探していたらしい。

「あれれ〜ちょっと出てる、ここも、ここも!」

私たちはお夕飯そっちのけで散髪時間を再開した。

「ちょっとこのゴミ箱、持ってて!」

私たち姉妹の息があってきた。

「うん、うん。いい、いいかな?どう?いいと思うよ、完成!」

「うん、ありがとうー」

その日のお夕飯の時間はなんだか空気が違った。

お父さん「髪切ったんだ、いいじゃん。」
お母さん「うんうん、いいね〜スッキリ!」
わたし「本当、小顔だからよく似合ってる!」
妹「うん」

身近なひとが髪を切り、新しくなって、そしたら空気もなんだか変わってしまった。

新しい、スッとする感じ。

いい、いいなぁ、この感じ・・・!

昨日、仕事に行ったら一緒に働いているスタッフさんが髪を切って、茶色買った髪の毛を黒く染めていた。

とても似合っていた。とても素敵な変化に思えた。

「すごい!似合ってます。めっちゃ好きです〜気に入りました!」

「本当ですか〜!美容師さんには黒は似合わないよって言われたんですけどね。」

また、空気が動いたように感じた。いつもとは違う風が吹いたというか・・・

いいな、この感じ、本当にいいなぁ!

その日の夕方、顔馴染みのお客様がお店に来られた。

いつもと全然違う雰囲気だ。
これまでのボーイッシュな服装からは考えられないようなふんわりとしたワンピースを着てる!

それだけ・・・?

あ!前髪が短くなってる・・・!

「髪の毛、切ったんですね〜〜!すごい、お似合いです!好きです、その髪型!」

「この方が明るく見えるかなって思って。職場の人には昭和のこどもみたいだねって言われたんですけど・・・」

ううん、全然そんなことはない。

生まれ変わった彼女はやっぱりこれまでとは違う空気を纏っているように感じられた。

なんだこれ、やっぱりすごい!いいなこの感じ!

髪を切ったひとを短期間に立て続けに目撃し、その空気の変化が羨ましくて、わたしも前髪を1センチほど切りました。

髪の毛を切ったところで中身は散髪前の人間と変わらないはずなのに、なのに、髪の毛が短くなっただけじゃない変化がきっと起こってる。

それは他人のわたしが見て空気として感じるもので、それはきっと中身の、心の変化なのだと思う。

心のどこかが生まれ変わって、その変化は自分を前に進めてくれる、そんな風に感じる。

生まれ変わったひとは素敵だ。

とても美しいと思った。

あぁ、わたしも早く生まれ変わりたい。

生まれ変わりたいのだけど、ヘアドネーションをしたいから、あとちょっと待ちますね。

秋頃かなぁ?

その頃には、散髪によって生まれ変わる以上の前進ができていますようにと願うばかりです。


髪を切ったひとが纏う空気はすごい。いいと思う、とっても好きです。




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