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さぶすクラシック日誌。2022年版...

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毎日、1タイトル、スポティファイでクラシックの新譜を聴いてみた。
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#ピリオド

12月25日、中部ドイツのバロック・クリスマス・カンタータのヌクモリティー、ハート・ウォーミング!

マティアス・ユング率いるザクセン・ヴォーカルアンサンブルの合唱、バツドルファー・ホフカペレの演奏で、中部ドイツのバロック・クリスマス・カンタータ集、"Ehre sei Gott in der Höhe"。 cpo/555491 ライプツィヒのトーマスカントル、バッハの前任のクーナウの前任、シェレ(1648-1701)、ザクセン選帝侯領、チェコ国境に近い街、チョッパウのオルガニスト、リーベ(1654-1708)、テューリンゲンの小さな領邦君主、シュヴァルツブルク・ルードルシュ

12月24日、ミュゼットの田園感に、どこか切なさも覚え... シェドヴィルのソナタ集『忠実な羊飼い』。

ジャン・ピエール・ファン・ヘースのミュゼット、リュク・ポネのオルガン/クラヴサン、ロナン・ケルノアのチェロで、ヴィヴァルディ作として出版された、シェドヴィルのソナタ集『忠実な羊飼い』。 ET'CETERA/KTC1779 フランスのバグパイプ、ミュゼット奏者で作曲家、シェドヴィル(1705-82)が、1737年、パリにて、ヴィヴァルディの"Op.13"として出版してしまったソナタ集『忠実な羊飼い』。あの頃の"あるある"でして、作曲家の許可無く勝手に作品集が発売されてしまう詐

12月23日、それまでのオラトリオの歩みの集大成!ヘンデルの『テオドーラ』、今さらながらに、感服。

マクシム・エメリャニチェフ率いるイル・ポモ・ドーロの演奏と合唱、リセット・オロペサ(ソプラノ)、ポール・アントワーヌ・ベノス・ジアン(カウンーテナー)らによる、ヘンデルのオラトリオ『テオドーラ』。 ERATO/5419717791 オラトリオの大家、ヘンデル(1685-1759)の、最後のオラトリオ(『イェフタ』)のひとつ前のオラトリオ、1749年の作品、『テオドーラ』。ハンブルクで、イタリアで、才気煥発させて、ロンドンに渡って、オペラがイケイケで、オペラがダメなら、オラト

12月22日、18世紀のオペラとして、ホント、侮れない... ネブラのサルスエラ『暴力あって、責任なし』。

アルベルト・ミゲレス・ロウコ率いるスペインのピリオド・オーケストラ、ロス・エレメントスの演奏、アリシア・アモ(ソプラノ)ら、スペインの歌手たちの歌で、ネブラのサルスエラ『暴力あって、責任なし』。 GLOSSA/GCD923535 1701年、王朝交代によって大転換期を迎えたスペインの音楽シーン... フランスからやって来た新王家による改革開放(音楽鎖国政策を執る宮廷、既得権益と化した世襲の宮廷音楽家たちによる独占が、一気に自由化!)が、18世紀、スペインの音楽に大きな活力を

12月21日、ムソルグスキーではなくて、ドイツの、バロックの、『ボリス・ゴドゥノフ』に、びっくり!

イタリアの鍵盤楽器奏者、アンドレア・マルキオルの指揮、EUのユースのピリオド・オーケストラ、テレジアの演奏、オリヴィエ・グルディ(バス)のタイトルロールで、マッテゾンのオペラ『ボリス・ゴドゥノフ』。 cpo/555502 ヘンデル(1685-1759)の友人にしてライヴァル(仲良くリューベックのオルガニストのオーディションへと向かうかと思えば、オペラの上演でどっちがチェンバロを弾くかで決闘までする... )として知られるマッテゾン(1681-1764)、ハンブルクの大聖堂の

12月19日、17世紀、北ドイツ、侮るなかれ... テノールが歌う、多彩にして充実した教会音楽の数々!

古楽やバロックで活躍するドイツのテノール、リヒャルト・レッシュが、ドイツのピリオドの名手たちが結集したアンサンブル、アンサンブル・ラ・シッラの演奏で歌う、テノール独唱による、17世紀、北ドイツの教会音楽集、"Wenn ich nur Dich hab"。 Carpe Diem Records/CD16330 リューベックの聖マリエン教会のオルガニスト、トゥンダー(1614-67)、その娘婿にして後任、ブクステフーデ(1637-1707)、その弟子で、フースムのオルガニスト、

12月18日、古典主義の時代の教会カンタータ... 花々しくハッピーなE.W.ヴォルフのクリスマス・カンタータ集!

マイケル・アレクサンダー・ウィレンズ率いるケルン・アカデミーの演奏と合唱、ゲオルク・ポプルッツ(テノール)ら、ピリオドで活躍する歌手たちを揃えての、E.W.ヴォルフのクリスマス・カンタータ集。 cpo/555524 エルンスト・ヴィルヘルム・ヴォルフ(1735-92)。 中部ドイツの小さな街、グロッセンベーリンゲンで生れ、早くから音楽の才能を開花、実家から遠くないゴータとアイゼナハのキムナジウムで学び、学生たちの合唱長を務める。そこでは、C.P.E.バッハ(1714-88)

12月8日、ピリオド・オーケストラによる『我が祖国』が描き出す、チェコの情景の驚くべき瑞々しさ!

毎年恒例、プラハの春音楽祭の開幕を告げる、スメタナの『我が祖国』によるオープニング・コンサート。昨年、2021年の開幕を飾ったのは、ヴァーツラフ・ルクス率いる、チェコのピリオド・オーケストラ、コレギウム1704!そのライヴ録音... ACCENT/ACC24378 チェコを代表する作曲家、スメタナ(1824-84)。その代表作にして、国民楽派の記念碑的作品、連作交響詩『我が祖国』(1874-79)。"モルダウ"でお馴染みの第2曲「ヴルタヴァ」を含めた6つの交響詩で織り成す、

12月6日、"Signor Gaetano"、ドニゼッティとはどんな作曲家だったのか?改めて見つめ直すアリア集の興味深さ...

メキシコからやって来た、新たな逸材、テノール、ハヴィエル・カマレナが、リッカルド・フリッツァの指揮、ピリオド・オーケストラ、リ・オリジナリの演奏で、ドニゼッティのアリアを歌う"Signor Gaetano"。 PENTATONE/PTC5186886 ドニゼッティでテノールのアリアと言えば「人知れぬ涙」!は、もちろん歌われるのですが、必ずしも「名アリア集」という雰囲気ではない、"Signor Gaetano"。1幕モノのブッファ、『ベトリー、またはスイスの山小屋』のアリアに

12月5日、ナポリ楽派とロッシーニの間を埋めるマイールの、けして侮れない、充実の『アルフレード大王』!

フランツ・ハウク率いるコンチェルト・デ・バッススの演奏、マリー・ルイーズ・ドレッセン(メッゾ・ソプラノ)のタイトルロールで、マイールのオペラ『アルフレード大王』。 NAXOS/8.660483 ジモン・マイール(1763-1845)。 ドイツ、バイエルンの小さな町、メンドルフに生れ、オルガニストだった父から音楽を学び始めるマイール。その後、最寄りの大きな街、インゴルシュタットに出て、1774年、イエズス会の学校へ入り、1781年には、インゴルシュタット大学に進み、神学、法学

12月3日、シューベルトのソナタを、シューベルトが所有していたピアノで弾いて生まれる魔法!

スイスを拠点にするピアニスト、矢野泰世による、ピリオドのピアノで弾くシューベルトのソナタのシリーズ、第2弾、19番と7番... シューベルトが所有していたコンラート・グラーフ(レプリカ)で... Ibs CLASSICAL/IBS42022 18番と16番のソナタが取り上げられた第1弾に続いての第2弾は、シューベルト、最期の年、1828年に作曲された最後の3つのソナタのひとつ目、19番と、シューベルトがそろそろ学生時代を終え、作曲家として歩み出そうという頃、1817年に作曲

12月2日、グランド・オペラを予感せさせる、魅力、盛りだくさん!ケルビーニの『レザバンセラージュ』。

ハンガリーが誇るピリオド集団、ジェルジュ・ヴァシェジ率いるオルフェオ管の演奏、フランスの新世代、アナイ・コンスタンス(ソプラノ)、パーセル合唱団らの歌で、ケルビーニのオペラ『レザバンセラージュ』。 Bru Zane/BZ1050 フランス革命の前年、1788年、音楽の都、パリへと乗り込んで来たイタリア人、ケルビーニ(1760-1842)。革命の混乱で、巨匠たちがパリから離れると、その穴を埋めるように頭角を現し、時代の気分を汲み取った救出オペラ(横暴な国家権力から愛する人を救

12月1日、生誕250年、ヴィルムス、"オランダのベートーヴェン"の、ウィーンに負けない充実の音楽。

ロナルド・ブラウティハムが、マイケル・アレクサンダー・ウィレンス率いるケルン・アカデミーとともに、"オランダのベートーヴェン"こと、ヴィルムスのピアノ協奏曲を取り上げるシリーズ、第2弾。 BIS/BISSA2524 5曲あるヴィルムス(1772-1847)のピアノ協奏曲... ブラウティハムのシリーズ、第1弾では、1799年頃に作曲されたホ長調(Op.3)、1807年に作曲されたハ長調(Op.12)、1810年に作曲されたニ長調(Op.26)と、作曲年代が早い3曲が取り上げ

11月30日、ロマン派オペラ、先取りするドラマティックさ!ベートーヴェン、唯一のオラトリオ、『オリーヴ山上のキリスト』に驚かされた...

フィリップ・ヘレヴェッヘ率いるシャンゼリゼ管の演奏、コレギウム・ヴォカーレ・ゲントの合唱、セバスティアン・コールヘップ(テノール)らの歌で、ベートーヴェンのオラトリオ『オリーヴ山上のキリスト』。 1803年に作曲された、ベートーヴェン、唯一のオラトリオ、『オリーヴ山上のキリスト』。タイトルの通り、最後の晩餐後、受難を前にオリーヴ山で苦悩し祈るイエスと、山を下り捕えられるまでを描くオラトリオ(台本は、フーバーとベートーヴェンによる共同執筆... )。受難のオラトリオにしては、