見出し画像

12月18日、古典主義の時代の教会カンタータ... 花々しくハッピーなE.W.ヴォルフのクリスマス・カンタータ集!

マイケル・アレクサンダー・ウィレンズ率いるケルン・アカデミーの演奏と合唱、ゲオルク・ポプルッツ(テノール)ら、ピリオドで活躍する歌手たちを揃えての、E.W.ヴォルフのクリスマス・カンタータ集。
cpo/555524

エルンスト・ヴィルヘルム・ヴォルフ(1735-92)。
中部ドイツの小さな街、グロッセンベーリンゲンで生れ、早くから音楽の才能を開花、実家から遠くないゴータとアイゼナハのキムナジウムで学び、学生たちの合唱長を務める。そこでは、C.P.E.バッハ(1714-88)の作品を取り上げ、作曲家からも称賛、以後、親交を持つまでに... さらにイェーナ大学に進み(1755)、学内のコレギウム・ムジクムで指揮者として活躍。またライプツィヒを訪れ、ポスト・バッハを担った次世代、ヒラー(1728-1804)らと交流。その後、ナウムブルクにてポニッカウ家(ザクセン選帝侯の廷臣)の音楽教師となり、間もなくヴァイマルを訪れると、先のヴァイマル公妃で、摂政、アンナ・アマーリア(やがてゲーテを招聘し、文化都市、ヴァイマルの礎を作った! )に引き留められ、宮廷楽団に加わる。で、コンサート・マスター(1761)、オルガニスト(1763)を経て、1772年、楽長となる。

というE.W.ヴォルフのクリスマス・カンタータ... 『ようこそ、待ちに待った日』、『怒れ、民衆よ』、『喜べ、すべてのキリスト教徒よ』、『ようこそ、最も美しい日』の4曲。いつ作曲されたかはわからないようだけれど、それは大バッハ(1685-1750)がライプツィヒで大量に教会カンタータを生み出した後の教会カンタータ... まさにポスト・バッハにして、中部ドイツ、ルター派の伝統も受け継がれる音楽、なかなか興味深いのです。

E.W.ヴォルフは、ハイドン(1732-1809)の3歳下だけに、古典主義。アリアの流麗さは、まさに古典主義の時代の花々しさに彩られる。一方で、教会カンタータというルター派の礼拝のための音楽には伝統の型があり... レチタティーヴォの語り聞かせる感覚、コラールの実直さからは、大バッハの記憶が蘇り、この新旧のハイブリット感がおもしろい!で、旧来の教会の厳粛さに、古典主義が醸すクリスマスのハッピー感が何気に絶妙!

そんな、E.W.ヴォルフのクリスマス・カンタータを聴かせてくれたウィレンズ+ケルン・アカデミー。いつもながらの端正さな演奏... そして、麗しい合唱!クリスマス感、素敵に彩ってくれます。で、歌手陣の花々しさ!ちょっとオペラ味も見せつつ、古典主義の時代のルター派の教会カンタータ、魅力的に展開する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?