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12月23日、それまでのオラトリオの歩みの集大成!ヘンデルの『テオドーラ』、今さらながらに、感服。

マクシム・エメリャニチェフ率いるイル・ポモ・ドーロの演奏と合唱、リセット・オロペサ(ソプラノ)、ポール・アントワーヌ・ベノス・ジアン(カウンーテナー)らによる、ヘンデルのオラトリオ『テオドーラ』。
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オラトリオの大家、ヘンデル(1685-1759)の、最後のオラトリオ(『イェフタ』)のひとつ前のオラトリオ、1749年の作品、『テオドーラ』。ハンブルクで、イタリアで、才気煥発させて、ロンドンに渡って、オペラがイケイケで、オペラがダメなら、オラトリオに活路を見出しての、到達点... 改めて『テオドーラ』を聴けば、実に、感慨深い。

古代ローマ帝国領、シリアのアンティオキアを舞台に、ローマの神々を忌避し逮捕されてしまうキリスト教徒のテオドーラと、彼女に恋し、キリスト教に改宗したローマの軍人、ディディマスが、信仰と、2人の愛を守るため、殉教する悲しい物語... 前半はオペラを思わせるドラマが織り成されるも、やがて、静かに信仰を見つめるという展開...

18世紀も折り返しという中での、しっかりとしたバロックで聴かせるヘンデルの音楽、オールド・ファッションにも感じられるのだけれど、その保守性が見せる安定感たるや!盛期バロックを精力的に活動してきての熟練度に唸ってしまう。かと思うと、終わりに向けて、カリッシミ(17世紀、オラトリオを確立したローマの作曲家... )の頃に還るような表情も見せ、オラトリオ元来の深み、じっくり響かせるような... いや、まさに、それまでのオラトリオの歩みの集大成!今さらながらに、感服。

という、『テオドーラ』をしっかり聴かせてくれたエメリャニチェフ+イル・ポモ・ドーロ。このオラトリオ、こんなにもすばらしかった?!という充実の演奏と合唱。彼らならではの息衝く感覚はもちろん、終わりに向けての深まり、見事。で、実力派、揃えた、歌手陣がすばらしく... テオドーラとディディマスの2人を歌うオロペサ(ソプラノ)、ベノス・ジアン(カウンーテナー)はもちろん、イレーネを歌うディドナート(メッゾ・ソプラノ)など、脇もしっかりと固めて、聴き入ってしまう。いや、もう、3枚組の長丁場も、一気に聴いてしまう。

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