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12月22日、18世紀のオペラとして、ホント、侮れない... ネブラのサルスエラ『暴力あって、責任なし』。

アルベルト・ミゲレス・ロウコ率いるスペインのピリオド・オーケストラ、ロス・エレメントスの演奏、アリシア・アモ(ソプラノ)ら、スペインの歌手たちの歌で、ネブラのサルスエラ『暴力あって、責任なし』。
GLOSSA/GCD923535

1701年、王朝交代によって大転換期を迎えたスペインの音楽シーン... フランスからやって来た新王家による改革開放(音楽鎖国政策を執る宮廷、既得権益と化した世襲の宮廷音楽家たちによる独占が、一気に自由化!)が、18世紀、スペインの音楽に大きな活力をもたらし、大いに盛り上げる!という新時代の申し子が、ネブラ(1702-68)。そのサルスエラ(スペイン伝統の歌芝居!)、1744年に上演された『暴力あって、責任なし』。

古代ローマにおける王政打倒の切っ掛けとなった"ルクレティアの凌辱"を描くサルスエラ、『暴力あって、責任なし』。題材が題材なだけにエモい音楽が展開... 時折、疾風怒濤か?という瞬間も... そう、ポスト・バロックの表情を見せ始めて生まれる余裕と充実に唸ってしまう。一方で、サルスエラとしての魅力も!散りばめられたスペイン風のエスニックさは、やっぱり、ツボ... 疾風怒濤を先取りするエモさ、古典主義へとつながる明朗さに、さり気なく盛られてくるスペイン味が最高過ぎる!で、癖が強くなることなく、さらりとスペイン味、加味されるところ、巧い!

という、ネブラのサルスエラを聴かせてくれた、ミゲレス・ロウコ+ロス・エレメントス!しっかりと地に足が着いていながら、活気があって、輝いていて、花もある演奏!聴き入るばかり... で、ルクレシアを歌うアモ(ソプラノ)を筆頭に、歌手陣が、またすばらしい!女声のみというのも特徴的で、全体がぱぁーっと明るく、それでいて、サルスエラの豊かな表情、18世紀のオペラの花やかさ、絶妙に歌い上げ、魅惑的!

しかし、ネブラの音楽、惹き込まれた。いや、18世紀のスペインの音楽が、凄く魅力的に感じられるのです。前世紀に育まれたローカル性、そのオリジナリティと、イタリアの最新の音楽を卒なくこなす、国際レベルのクウォリティ... この2つが相俟っての『暴力あって、責任なし』、18世紀のオペラとして、ホント、侮れない...

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