見出し画像

仕事の帰り際、秋の風が心地よくて胸が苦しかった。

退勤してから浴びた秋の風の匂いがなぜか、懐かしくなって胸が苦しかった。東京と地元を行ったり来たりする秋口。残暑は夏の末日に殺されてしまった。

マスク越しの呼吸は息苦しい。
けれど、不織布越しの涼しい空気は喉を潤した。

灰色都会の空気には、山奥のような美味しさは感じないけど、なんだかやけに澄んでいる気がした。
空気を吸って吐いて、ただそれだけの生命活動が心地よいのは、単に暑さが和らいだから、なのか?
きっと、仕事場に慣れてきて心の余裕ができてきたのも一因だろう。

……家にいるより会社にいる方が気分が楽なのはなぜだろう。

今朝は目が覚めたら4時半で、起床予定時刻の1時間前だった。
目をつぶったまま時間が立つのを待ったけど、結局目覚ましが鳴るまで目が冴えたままだった。
いくつかの夢を見た気がする。内容は忘れてしまった。
最近よく夢を見る。そして、寝付きもあまり良くなかった。
部屋にいる時間が長くなれば長くなるほど、昨日の話で出てきた『モクモク』が頭の中ににじみ出てきて、思い出のシャボン玉を吹く。思い出の化け物は、私の中にある明日への指向性を後ろ向きに引きずる。

ともかく、家の、一番の安寧の地であるはずの自室が、今では鉄の檻の様相を呈している。
週の半分ほどある出社日はちょっとした逃避だった。おかしな生活だと思う。気が違っているのかもしれない。

もしこのまま、夜、何も考えずに寝るってことができなくなったらどうすればいいだろう。自室にいることが耐えられなくなったらどうしよう。
モクモクにうなされながら、そんな危惧の渦に呑まれていく。

でも、不安は家から出るとき、きまって留守番してくれる。
外の世界には思い出が少ないから。
できればこれからも思い出が少ない場所を拠り所にしたい。
向き合わなければならないのも分かってはいるけど。

自分の部屋は本とパソコンと、その他の思い出とか色々でごったがえしている。
雑多なものが目について、モクモクを呼び出すのなら、思い切ってゴミに出してしまうのもいいかもしれない。美化された思い出は、ときに無味乾燥な今を撫で切る。忘れたほうが楽になれるものが多すぎる。

眠る前にこうして日記を綴っておくと、現状を手掴みしている感覚になる。
掴めないもので悩んでいると、いつの間にかあっちから私の腕を引っ張って、沈めてしまう。
不安の種を見つけたら、養分は与えない。すぐに刈り取る。書く。書き続ける。

生きていて、きっと苦しいことが全てじゃない。
きまぐれな友人のメッセージに、ちょっとだけ頬が緩んでしまったのは言うまでもない。
私が案外単純な論理で動いていることを、言外に教えてくれる。勝手に気づいているだけかも。

深く考えないでいい。
楽しいのがいい。
今は楽しいものを楽しいって言って、好きなものを好きって言っていればいいと思うし、願わくば、ずっとそんな軽やかなステップの歩みが続けられればいい。

__

さて、公募が近づいてきて、本腰を入れて小説を書く期間になった。
11月完成目標で書いていく。それまでは進捗だったり、書いていて気づいた点などをこちらに掲載する。
記事の文字数は少なくなるかもしれないけれど、投稿は続けていく。
今この瞬間の言語化を大事にしていきたい。
小説が完成した暁には、読んでいただけると幸いだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?