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二人のためのレシピ|6.自家製ツナのニース風サラダ
地中海沿岸、南仏のリゾート地、コート・ダジュール。「紺碧海岸」と訳されるエリアに位置する観光都市ニースの名を冠した「ニース風サラダ」は、日本のビストロやレストランでも定番となっている、フランスのご馳走サラダです。
実際にニースで楽しまれているサラダ、要するに“風”ではない本場の「ニースのサラダ」は、ごくシンプルな生野菜が中心のサラダだと聞きます。
一方日本でよく知られているスタイルは、ツナや茹でたじゃがいもなど食べごたえのある具材と、オリーブ、トマトといった温暖な土地が育む産物を取り合わせた豪華な一皿。古くから風光明媚な土地として知られた街への憧れが、お皿にぎゅっと表現された美しいサラダです。
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今日のレシピのポイントは、手作りのツナ。
缶詰でしか食べたことがないという方も、自分で作ってみると意外に難しさがなく、そのおいしさはひとしおです。
今、心にいるその人とご一緒に、ぜひどうぞ。
自家製ツナのニース風サラダ【材料】2人分
〈手作りツナ〉
・マグロ(お刺身用さく)…約200g
・塩…2g
・こしょう…適量
・サラダ油…100g〜
〈サラダ〉
・水耕レタス、サラダ菜など…1/2個
・バジル…1枝
・トマト…1〜2個
・じゃがいも…2個
・インゲン…10本
・ゆで卵…2個
・アンチョビ…2〜3枚
・オリーブ…10粒
〈ドレッシング〉
・オリーブオイル…30g
・酢…15g
・塩…2g
・こしょう…適量
フランス料理でサラダは、本格的なフルコースの「一品」として数えられる重要な位置付けのお料理です。今日は手作りのツナがポイントの豪華なサラダですが、代わりに味付け(ドレシッング)はごくシンプル。それによって一つ一つの具材の個性がより際立ちます。少しずつ気温が上がり、新鮮な生の野菜がおいしく感じるこれからの季節にぴったりの、爽やかで瑞々しいお料理です。
手作りツナの作り方
⒈マグロに塩、こしょうを振り、塩がなじむまで冷蔵庫で10分ほど置きます。
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⒉表面の塩が溶けて見えなくなったら、マグロから出た水分をキッチンペーパで押さえます。不要な水気は、生臭さや傷みやすくなる原因になるため、取り除くことを心がけると料理がきれいな味わいに仕上がります。
フライパンにサラダ油を底から5mmほど入れて、マグロを入れ、マグロがぎりぎり浸る程度の油を足して、弱火をつけます。
5分ほど経つと、油が温まって身の色が縁から白く変わってきます。決して焦らず弱火のまま、2分ほど加熱を続け、裏返してさらに3分加熱します。
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⒊火を止めて、油に浸した状態で一度冷ませば手作りツナの出来上がりです。作ってみると、拍子抜けするほどあっさりと作ることができます。
元々身が柔らかく火が通りやすい魚の油漬けは、急激に焦げたり硬くなったりもしないので、お肉の料理に比べると油の温度管理も少し気が楽です。
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お好みでにんにくや、ローリエなどのハーブを加えたり、オリーブオイルを使うレシピもあります。ただ、あまり個性をつけすぎてしまうと、食べるときにアレンジがききにくくなるので、私はごくシンプルに塩こしょうだけで作ることが多いです。そうしておくと、お醤油にも白いごはんにも合いますよ。
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サラダを準備します
⒋葉野菜は、ボウルに入れて何度か水を取り替えながらきれいに洗います。そのまま10分ほど水に浸しておき、葉っぱがシャキッと元気になったら、ザルに上げて水気をよく切り冷蔵庫で冷やしておきます。
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⒌次に、じゃがいも、インゲン、卵を茹でます。茹でるものがたくさんあるときは、どうにかして一つのお湯で済ませたいところですが、素材の取り合わせによっては難しいこともあります。
今回の場合は、じゃがいもはじゃがいもだけで、インゲンと卵は同じお湯を使って順番に茹でていきます。
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じゃがいもは、3cm角に切って、出てきたデンプンをさっと洗ってから、鍋にじゃがいもがかぶる水、塩2つまみと入れ、蓋をして中火で茹で始めます。お湯が沸いてきたら蓋を少しずらして弱火にし、コトコトと静かな火加減で、柔らかくなるまで7〜8分茹でます。
デンプン質の多い芋類は、火が通るとほくほくとして崩れやすくなるため、いきなりお湯に入れて茹で始めると、中まで火が通るまでの間に表面だけが早く柔らかくなり過ぎ、くずれ始めてしまいます。そのため水からゆっくりと温度を上げていき、芋の外側と内側の加熱スピードにできるだけ差ができないようにするのが、じゃがいもをきれいにおいしく茹でるコツです。
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芋が芯まで柔らかくなったら、鍋の蓋をずらして隙間からお湯を捨て、蓋を外して軽く鍋を揺すって湯気を飛ばせば、ザルを使わなくても上手く水気が切れます。お芋の硬さの見方は、楊枝や竹串で刺してみてすっと刺さるか、または一つ食べてみるのが一番確実です。
湯気が収まったら、下味を兼ねて、温かいうちに全体に軽く塩とオリーブオイルを振り、ざっくりと和えておくと乾燥が防げます。
次に、インゲンと卵を、一つのお湯で順に茹でていきましょう。鍋に湯を沸かして塩2つまみを加え、インゲンを入れて5〜6分茹でます。一般に緑の野菜は、色味と歯ごたえを重視して「茹で過ぎないように」と言われることが多いのですが、しっかり柔らかく茹でた野菜は甘みがぐっと引き出されて、とてもおいしいものです。
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インゲンが柔らかくなったら網ですくってザルに上げ、軽く塩を振って、そのまま湯気を飛ばしながら自然に冷ましておきます。
緑の野菜の色を保つために「色止め」といって、茹で上がった野菜を水に取って急冷する方法がありますが、色よく仕上がる代わりに、水に浸ければ当然味は少し水っぽくなります。
柔らか過ぎてはいけない、色が鮮やかでなくてはいけない、という料理の暗黙の決まりごとを忘れれば、柔らかめに茹でて自然に冷ますのがおいしいと私は感じます。
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次に、同じお湯で卵を茹でます。少しインゲンの色がお湯に出ていますが、後々一緒に食べるものですし特に問題はありません。お湯が沸騰したところに、冷蔵庫から出したばかりの卵を静かに入れ、蓋をぜずに卵がコツコツと軽く動く程度の火加減で茹でていきます。
ポイントは「熱湯」に「冷蔵庫から出したばかりの卵」を入れることです。
卵料理はとてもデリケートで、温度によって仕上がりが大きく変わりますが、「熱湯」と「冷蔵庫から出したばかりの卵」は、家では最も温度が安定していて予想がつきやすい組み合わせです。
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卵を熱湯に入れてからの茹で時間と硬さの目安は、概ね次の通りです。お好みで変えてみてください。
・7分(超半熟)…切ると黄身が流れ出すくらい柔らかい
・9分(やや半熟)…黄身の色は鮮やかだけれど固まっている
・13分(固茹で)…黄身がやや白っぽくなりしっかり固まっている
茹で卵は、茹で上がったら水に取って、何度か水を取り替えながらすぐに冷やします。これは余熱で火が通り過ぎるのを防ぐためと、急冷する方が後で殻がつるっと剥きやすくなるからです。
これで下準備が必要な具材は整いました。
盛り付けましょう
⒍大きめのお皿に、しっかり水気を切った葉野菜を敷きます。葉を食べやすくちぎるときは、あまり力を入れず葉っぱの繊維に沿ってスッとはがすような感覚でちぎると、ふんわりとして見た目にもおいしさがわかるきれいなサラダになります。
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バジルは水に長く浸けておくと黒く変色してしまうため、盛り付ける直前にさっと洗います。
その上に、準備した具材、くし形に切ったトマトを盛り付けていきます。具材はあまり散らさずに種類ごとにまとめて置いていく方が、それぞれの色味や質感が際立ってシャレた雰囲気が出てきます。
このサラダにぜひ盛り込みたい食材が「アンチョビ」です。
カタクチイワシ科の小魚を塩漬けにして熟成させたアンチョビは、塩気と旨味が強く、具材というよりは味付けの一部として、少量加えるだけで見事なアクセントが加わります。
もう一つ、このニース風サラダにつきものなのが「ブラックオリーブ」。
熟してから収穫される黒いオリーブは、若いグリーンオリーブに比べて渋みやクセがなく、コクのある穏やかな味わいです。ニースのある南フランスは、オリーブの名産地としても知られています。
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⒎具材はとても豪華ですが、ドレッシングはごくシンプルに。酢に塩を加えて溶かし、そこに少しずつオリーブオイルを加えながら都度よく混ぜ合わせます。オイルが全量入ったら、最後にこしょうを振り入れて完成です。これが「ビネグレット」(日本ではフレンチドレッシング)と呼ばれる、基本のドレッシングになります。
これでニース風サラダの出来上がりです。
ニース風サラダの愉しみ方
食べ切れるかと心配になるほど盛りだくさんですが、さっぱりとしたドレッシングにそれぞれの具材の個性が引き立ち、きっとなんの問題もなくペロリと食べられてしまうと思います。
ドレッシングのお酢の種類はお好みですが、私はいつも純米酢で作っています。酢の代わりにレモン汁を使っても爽やかでとてもおいしいです。
あえてドレッシングを準備せずに、卓上にオリーブオイルと塩こしょう、酢やレモンを置いて、各自好みで味付けしながら食べるのも面白いものです。難しく考えず、冷奴にお醤油をかけるのと同じような感覚でお試しください。
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ツナ、アンチョビ、オリーブと、塩気のある具材が盛り込まれていますから、ドレッシングや調味料はあくまでそれらの味わいを補う程度で十分です。パンと冷たいロゼワインを合わせて、心ゆくまで愉しんでください。
それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
お読み頂きありがとうございます。 これからもおいしいお料理とおいしいお酒をたくさんお届けします。