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二人のためのレシピ|8.きのこのオムレツ

卵を混ぜる音、バターの香り。
いつかの旅先でのホテルの朝食を思い出し、こみ上げる懐かしさや流れた月日への憂いそれらを全てとじ込めて、日常のひと時を豊かなものにしてくれる黄金の組み合わせではないでしょうか。

背筋の伸びたコックさんが、フライパンの柄をトントンと叩きながらリズミカルにオムレツを返す手際の良さには憧れますが、たとえそれができなくても、卵とバターさえあれば心配なし。そこへ季節の具材をたっぷり加えたなら、朝食ばかりでなくディナーにも十分なボリューミーでおいしいオムレツがちゃんと作れます。

風が少しひんやりと感じ始める頃、食べたくなるのはきのこのオムレツ。年中スーパーで目にするきのこも、やはり本来の旬である秋になればどことなく主張が感じられ、互いに呼び合うのだから不思議なもの。

卵が焼ける音、家中に漂うバターときのこの豊かな香り。
今、心にいるその人とご一緒に、ぜひどうぞ。

きのこのオムレツ【材料】 2人分

・卵…3個
・きのこ…150g
・にんにく(みじん切り)…1かけ
・塩…ひとつまみ

・粉チーズ…10g(大さじ1と1/2)
・牛乳…15g(大さじ1)
・バター…30g

・パセリ
・お好みの付け合わせ、フライドポテト、サラダ、ハムなど

みんな大好きなオムレツは、元はフランス料理です。卵だけで作る上品なプレーンオムレツも美味ですが、具材をたっぷり包み込むタイプならランチにぴったり、ハムやチーズを並べてディナーでも十分満足できるボリューミーな一品になります。きのこは水分がなくなるまでしっかり炒め切り、旨みと香りを凝縮させると味も見た目も美しく仕上がります。


きのこのオムレツの作り方

⒈きのこを準備します。
今日は洋風料理にもなじみやすい、ヒラタケとマッシュルーム、ブナシメジを選びました。石づきを切り落として、ヒラタケは大きなものがあれば手で裂き、マッシュルームは7〜8mmに厚めにスライスします。
きのこは水分が多く加熱するとかなり小さくしぼむので、やや大きめ厚めを心がけて、量も多めに準備してください。

きのこの種類は他に、エリンギ、舞茸なども合います。1種類でももちろん構いませんが、2〜3種類を組み合わせて使うと異なる食感と風味が楽しめておすすめです。

⒉卵をボウルに割り入れ、粉チーズ、牛乳を加えてよくよく溶きほぐしておきます。粉チーズの使用はお好みですが、コクと旨みの調味料として私はいつも入れています。(粉チーズを使わない場合は塩少々を加えてください)

⒊きのこを炒めます。
フライパンにバターの半量(15g)を中火で溶かし、きのこ、にんにくのみじん切りを入れ、塩をひとつまみ振って炒めます。ざっと混ぜてバターが全体に行き渡ったら、水分が多いきのこは急に焦げたりしないので、あとは1〜2分おきに時々混ぜながら様子を見ていれば大丈夫です。

オムレツの他に付け合わせを添える場合は、このあたりで準備を始めておきます。今日はフレンチスタイルに、山盛りのフリット(フライドポテト)と、サラダを少し添えようと思います。

きのこの炒め始めはかなり水分が出てきますから、それを煮詰めてきっちり飛ばすことがこのオムレツでは何より重要。仕上がりにかなり違いが出ますので、水分がなくなるまでしっかり炒めてください。

⒋フライパンの底に水気が見えなくなったら、パセリのみじん切りを加えます。そこへ溶いておいた卵の約1/3を加えて炒め合わせ、卵がとろりとしたら半熟のうちに器に一度取り出しておきます。この工程も今日のオムレツのポイントです。

具材を加えるオムレツの作り方には大きく2つ、卵と具を混ぜ合わせて一緒に焼いていくタイプと、具を芯にして外側を卵で包むタイプがありますが、今日は後者の具を卵で包むタイプで作っていきます。

先に具材を少なめの卵で軽くとじておき、それをきれいな卵で包むことで、全体に一体感があり、かつ外側は柔らかな卵が優しく包む日本的なスタイルに仕上げることができるのです。具のきのこがポロポロとこぼれにくくなるので、包む際の作業性も良く、食べる時にもとても食べやすくなります。

⒌同じフライパンで、オムレツを仕上げていきましょう。(フライパンの汚れが気になる場合はキッチンペーパーで軽く拭いてください)
残りのバター(15g)を中火で溶かし、バターが泡立ってしっかりと温まったところに、残りの卵を今一度よくかき混ぜてから全て入れます。 

オムレツを焼くフライパンは、やはりフッ素樹脂加工のものがくっつきにくく気軽で、仕上がりもきれいです。

外側から固まってくるので、中に中にと集めるようなイメージで、ゴムベラで混ぜながら加熱します。

卵に流動性が無くなって下の面が固まり始めたらごく弱火にして、取り出しておいたきのこ炒めを中央にやや横長にのせます。スムーズな作業に不安がある場合は、ここで火を完全に消してしまってもよいでしょう。

フライパンを向こう側に軽く傾け、手前から奥へ向かってヘラで卵をかぶせていきます。向こう側の卵も軽くかぶせるようにしますが、ここで完全に包む必要はなく、卵の縁がフライパンからはがれていれば大丈夫です。できればオムレツ全体を奥側に押して少し寄せておくと、お皿に移しやすくなります。

⒍フライパンの柄を下から逆手に握り、フライパンの向こう側の縁とお皿をくっつけてから、フライパンを伏せてお皿にオムレツを移します。フライパンに触れないように、火傷には十分気をつけてください。

この動きで自然に繋ぎ目が下になり、卵が具材を包み込んでくれます。形が気になる場合は、お皿に移してからキッチンペーパーをかぶせて手で軽く整えれば、さらに美しい仕上がりにできます。

これで、きのこのオムレツの完成です。

今回は、フレンチスタイルにたっぷりのフライドポテトと、サラダを少し添えて、メイン料理としてボリューミーに盛り付けました。パンと白ワインがあれば十分、夜ならハムやチーズ、パテなどを並べるとさらに満足度が高まります。

オムレツは特にソースがなくてもバターの風味で十分においしく食べられますが、もう一味欲しいという方はケチャップや、付け合わせの方にマヨネーズなどを添えると良いと思います。ちなみに私はフライドポテトにはマヨネーズ派です。

外側の卵はつるりとなめらかで上品な舌触り、その内側からとろりと卵でまとまったきのこがたっぷり現れ、食感も味わいも変化が豊かで楽しい一皿。ボリュームはあるけれど、具がきのこなので食べた後が軽やかです。

ごはんと一緒に食べるなら、バターを混ぜ込んだバターライスにすれば相性はばっちり。卵焼きとごはんの組み合わせもご馳走です。

日本の卵料理は、半熟やふわとろといった柔らかい仕上がりが人気。一方フランス式のオムレツでは、具材を混ぜ込んでしっかり焼いた、見た目も質感も素朴なタイプを多く目にします。初めは少し意外に感じましたが、こんがり焼いた卵の香ばしさもまた格別。

季節によって具材を変えれば楽しみはどんどん広がります。ぜひお好みの焼き加減を見つけて愉しんでみてください。

それでは今日はこのへんで。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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