江戸「うつろ舟」ミステリー
本書の題名、または表紙の絵を見て、「あれのことだ」とぴんと来た方なら、本書は必読です!
「あれ」とは、「うつろ舟の蛮女【ばんじょ】」事件のことです。オカルト好きや、歴史ミステリー好きのあいだで、知られる事件ですね。
おそらく、本書は、この事件について、最も詳しく調べたものです。もはや、本書を抜きにしては、「うつろ舟の蛮女」事件を語ることはできません。
「うつろ舟の蛮女」事件とは。
江戸時代の日本、常陸【ひたち】の国(現在の茨城県)に、不思議な形の舟が漂着しました。なんと、円盤形をした舟です。
その舟には、外国人らしき、美しい女性が乗っていました。言葉は通じません。彼女は、一つの箱を大事そうに抱えていました。
当時の日本は、鎖国政策を取っていましたね。本当に外国人が漂着したとなれば、大騒ぎのはずです。当然、政府の偉い人に報告され、それなりの対応がされたでしょう。
ところが、この事件で語られるのは、不確かな噂ばかりです。当時の政府の正式な記録には、それらしい事件は、ありません。
それにしては、この事件の話は、繰り返し、さまざまな(民間の)記録に現われます。
いったい、この事件の真相は、何なのでしょう? 本当に外国人が漂着したのでしょうか? それとも、ひょっとしたら、宇宙人の記録? あるいは、いたずらだったのでしょうか?
という、謎に迫ったのが、本書です。
結論は、ぜひ、本書をお読み下さい(^^)
歴史好きの方、ミステリー好きの方、UFO好きの方に、お勧めの本です。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
まえがき
第1章 UFO元年
1 現代UFO伝説と「うつろ舟」伝説
2 ケネス・アーノルド事件、ワシントン州
3 ロズウェル事件、ニューメキシコ州
4 古UFO伝説
5 フェルガノ洞窟岩絵、ウズベキスタン
6 オーロラ事件、テキサス州
第2章 そもそも何が起きたのか?
1 『兎園小説』「うつろ舟の蛮女」と『梅の塵』「空船の事」
2 文書を探して
3 事件現場「原舎浜」は実在したか
4 江戸に伝わる「うつろ舟」伝説
5 エイプリル・フール
6 江戸時代の常陸国
7 文化文政時代
8 明治まで続いた「うつろ舟生首」伝説
第3章 「うつろ舟」の形状
1 なぜUFOに似ているのか
2 対馬に伝わる「うつろ舟」伝説
3 伝説は歴史になりたがる
4 伝説の終焉?
第4章 漂着現場「原舎浜」が判明!?
1 新資料の発見
2 郷土史研究家、佐藤次男氏の論文
3 新記事の内容
4 文書の年代
5 事件現場の地名
6 舎利浜
7 「常陸国うつろ舟」と現代UFO神話
第5章 伊能図を探せ!
1 「常陸国鹿島郡京舎ヶ浜」
2 東京国立博物館
3 『忠敬先生測量日記』
第6章 気仙沼の「うつぼ舟の舟板」は本物か?
1 「うつろ舟」の断片発見!
2 天台宗観音寺
3 「うつぼ舟の舟板」は本物か?
4 ホテル一景閣、気仙沼市立図書館
5 調査の結論
第7章 伝説の仕掛け人は?
1 資料をまとめると
2 誰が「瓦版刷り物」を書いたのか?
3 「常陸国うつろ舟UFO伝説」現地調査
4 筆跡鑑定
5 UFO伝説と滝沢馬琴
第8章 さらなる資料現る!
1 岩瀬文庫『漂流記集』
2 新資料の事件現場
3 失われた記録
4 新資料の信頼度
5 新たな馬琴黒幕説
第9章 伝説の再検証
1 キーワード照合
2 「宇宙文字」
3 ウンモ星UFO伝説
4 女性搭乗員のミステリー
5 『鶯宿雑記』と大黒屋光太夫
第10章 形状のミステリー
1 UFO形状の起源を探る
2 伝説に伝わる「うつろ舟」の形状
3 丸い「うつろ舟」
4 リング構造物
5 江戸時代の潜水艦「うつろ舟」
6 UFO形状の根拠は薄弱
第11章 ミステリーは解けたか?
1 さまざまな仮説の検証
2 ひとまずの結論
3 「UFOファン」VS「懐疑派」
付録 うつろ舟伝説の原資料
あとがき