ペルシア神話
ペルシア(イラン)神話について、まとまって書かれた解説書です。
おそらく、日本語で書かれた資料の中では、本書が一番、よくまとまっています(^^)
ペルシア神話について知りたいのなら、まず、本書を読むべきですね。
どこの国でもそうであるように、ペルシアの神話も、時代により、内容が変わってゆきます。
本書では、古い時代から、新しい時代へと、神話を解説してゆきます。
ペルシアの神話が、一つの頂点を極めてできあがったのが、ゾロアスター教です。ゾロアスター教は、かつてのペルシアの国教でした。
それでいながら、ゾロアスター教は、民族や国を超えて、世界宗教としての顔も、持っていました。おそらく、史上初の世界宗教が、ゾロアスター教です。
ゾロアスター教は、わかりやすい善悪二元論です。絶対的善神と、絶対的悪神がいます。彼らに従って、それぞれ、良い神々、悪い神々が、おおぜい登場します。
このようなゾロアスター教の思想は、のちのキリスト教や仏教にも、大きな影響を与えました。
キリスト教や仏教の発展の様子を、本当に知りたいのなら、ゾロアスター教を抜きにすることはできません。
本書では、ゾロアスター教の亜流と言うべき、ズルワン教やミトラス教も取り上げられています。
これらの宗教や神話も、思いがけない形で、ヨーロッパや西アジアの文化に影響を与えています。
ペルシア神話を知らずして、世界史を語ることはできません(^^)
以下に、本書の目次を書いておきますね。
はじめに
ペルシア史概観/ペルシア神話の資料/神話の本質
I 古代ペルシアの神話
宇宙の絵図
古代の神がみ
風ワユ/ティシュトリヤと旱魃【かんばつ】の悪魔/
強力な汚れなき川アナーヒター/勝利ウルスラグナ/
正午の暑熱の主ラピスヴィナ/要約
祭式の神がみ
火アータル/植物の神ハオマ/要約
神的英雄
イマ/ホーシャングとタフムーラス/スリタとスラエータオナ/クルサースパ/
古代神話の要約
II ゾロアスター教の神話
神と悪魔との闘争
善の勢力
賢明なる主アフラ・マズダー/神の息子たちと娘たちアムシャ・スプンタ/
善き心ウォフ・マナフ/天則アシャ、あるいは真理/敬虔アールマティ/
望ましい統治フシャスラ・ワルヤ/健全ハルワタートと不死アムルタート/
祭られるものヤザタ
悪の勢力
悪霊アンラ・マンユ、または破壊霊/怒りアエーシュマ/アジ・ダハーカ/
悪の特質
創造神話
人類の最初の父母
神と人間
終末の神話
死後の生/その後の運命/天国/地獄
総審判
鉄の時代/最初の救世主/第二の救世主/第三の、最後の救世主
伝承の連続性
III ズルワン教――ゾロアスター教の異端
IV ミトラス(ミスラ)教の神話
V 神話と予言者
VI 神話と王
VII 神話と歴史
歴史の解釈としての神/神話からの歴史の再構築
VIII 神話と儀礼とシンボリズム
儀礼の火/葬式/神話と儀礼の認識
結び 神話と信仰
神と世界と人間の理解
訳者あとがき
引用文献
ペルシア神話関連地図
索引
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