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カタリの世界―昔話と伝奇伝承 (別冊太陽―日本のこころ)


カタリの世界―昔話と伝奇伝承 (別冊太陽―日本のこころ)

 日本に伝わる、昔話などの口承文芸について、紹介された本です。

 口承文芸そのものだけでなく、それが描かれた絵巻物や、口承文芸にまつわる伝統行事なども、紹介されています。
 おかげで、口承文芸の世界が、よりヴィジュアルに、わかりやすくなっています(^^)

 本書には、金太郎、桃太郎、浦島太郎、ものぐさ太郎、鉢かづき、わらしべ長者などの話が載っています。
 どの話にも、バリエーションが多いです。読めば、「こんな話だったっけ!?」と、驚くことが、多々あるでしょう。
 バリエーションの多さは、口承文芸の豊かさを示します(^^)

 『長谷寺【はせでら】縁起絵巻』や『熊野本地【くまのほんじ】』や『青葉の笛』のように、普通の人には、あまり知られない伝承も、紹介されています。

 題名が「カタリ」とカタカナなのは、「語り」、「騙り」など、複数の意味を持たせているからです。
 本書を読むと、日本語の音の持つ意味の深さに、感心させられます。

 文章に癖があるので、「読みにくい」と感じる方も、いるでしょう。
 最初は読みにくくても、読み進むうちに、気持ち良くなってくる文章かも知れません。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

カタリの発端
 『熊野本地』――山中誕生譚の涙

天のカタリ
 天から降って来たカタリ――天座【あまざ】の金太郎
  三上山【みかみやま】の金太郎
  多度山【たどやま】の金太郎
  三国岳【みくにがだけ】の金太郎
山のカタリ
 川上から流れて来たオハナシ――和泉村【いずみむら】の桃太郎
  日本海の桃太郎
  神話・説話の桃太郎
海のカタリ
 海が運んだものがたり――網野【あみの】の浦島太郎

座談会 舞鶴・小橋【おばせ】の昔語り

獅子舞のカタリ
 木村利太夫【きむらりだゆう】・大神楽【だいかぐら】――鏡味小仙【かがみこせん】・代神楽【だいかぐら】

変身の装置 京という呪場
 善光寺如来の申し子――神の子・ものくさ太郎のものがたり
変身の装置 鉢という呪器
 長谷【はせ】観音の申し子――日本のシンデレラ・「鉢かづき」

長谷寺【はせでら】霊験譚
 第一章 「わらしべ長者」――夢観音は”母”
 第二章 「長谷寺縁起絵巻」――縁起文の作者は菅公【かんこう】
 第三章 勧進聖【かんじんひじり】の絵解き――龍宮童子

男ガタリ 「熊野本地」異形本
 若一王子【にゃくいちおうじ】の申し子――「弁慶のものがたり」
京のカタリ 壬生【みぶ】狂言と祇園祭
 鎮花祭・御霊会【ごりょうえ】
笛のカタリ 青葉の笛
 源義平【みなもとのよしひら】と源頼光【みなもとのよりみつ】
  「青葉の笛」伝説の分布と由来

大人と「小さ子【ちいさこ】」のカタリ
 播磨国【はりまのくに】「天目一箇神【あめのまひとつしん】」分布図と下京【しもぎょう】「五条天神」

糸井文庫のカタリ
 糸井仙之助――故郷恋々
「糸井文庫」掲載作品データ

取材協力者一覧
別冊太陽「日本のこころ」既刊一覧
次号予告・編集後記



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