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宗像大社・古代祭祀の原風景 (NHKブックス 1119)


宗像大社・古代祭祀の原風景 (NHKブックス 1119)

 福岡県にある有名な神社、宗像【むなかた】大社について、書かれた本です。
 宗像大社の歴史と、その果たしてきた役割について、とてもよく、まとまっています(^^)

 宗像大社は、今でこそ、福岡県宗像市が本拠地のようになっています。
 が、その祭祀の原点は、遠い海上の島にありました。玄界灘に浮かぶ沖ノ島です。

 沖ノ島は、二十一世紀の今なお、全島が神域です。基本的に、上陸禁止です。許可を得て上陸できるのは、男性だけで、しかも、上陸前に、海で禊【みそぎ】をしなければなりません。

 これほど厳重な信仰の島は、どのようにして生まれたのでしょうか?
 その信仰の歴史は、なんと、縄文時代まで、さかのぼります。縄文時代の遺跡が、沖ノ島から発見されています。

 弥生人も、沖ノ島に来てはいたようです。けれども、弥生時代の遺跡は、あまり沖ノ島にありません。その理由は、まだ不明です。

 弥生時代が過ぎて、古墳時代になると、きらびやかな沖ノ島の歴史が始まります。
 豪華な祭祀の道具が、たくさん見つかっています。朝鮮半島や、中国大陸や、日本国内から運ばれたものです。中には、遠く、ペルシアから運ばれたガラス製品さえ、あります。
 沖ノ島が、シルクロードの結節点であった証拠ですね(^^)

 沖ノ島には、今でも、宗像大社の沖津宮【おきつみや】が置かれています。こここそが、宗像大社の本拠地です。
 本書では、この沖ノ島を中心に、宗像大社の歴史が、ひもとかれてゆきます。

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

I 古代祭祀の原風景
 第一章 沖ノ島の自然条件と縄文人
  沖ノ島の位置関係
  地形と地質
  豊かな亜熱帯の植物と動物
  唯一の上陸地
  どこから渡来してきたのか?
  なぜ渡来してきたのか?
  アシカ猟をする縄文人
  北九州と瀬戸内の影響
  弥生人の痕跡

 第二章 祭祀の時代
  ニホンアシカはどこへ行ったのか?
  祭祀遺跡の概要
  岩上祭祀の時代
  宝物満載の一七号遺跡
  葬祭が未分化だったのか?
  貴重な舶載鏡が発見された一八号遺跡
  最古の祭祀形態を伝える二一号遺跡
  祭祀の様相
  大きな鉄鋌【てってい】が出土した一六号遺跡
  鉄とクスノキ
  など

 第三章 時代とともに生きた宗像大社
  ムナカタ・胸形・胸肩・宗像
  後背地にも恵まれていた宗像氏
  大和政権の戦略的パートナー
  強化された絆
  強力無比の神威
  一〇大神社の一つに
  古代海人族ネットワーク
  胸形君徳善【むなかたのきみ とくぜん】の威光
  三女神の誕生
  神階上昇して式内社へ
  など

 第四章 宗教学からみた沖ノ島の祭祀
  再生の祈り
  魂の発見
  縄文時代の「神」
  沖ノ島の「神」
  岩上祭祀――葬祭未分化
  祀られるものと祀るものの「未分化」
  岩にのぼれる人数が限られる
  岩陰祭祀――沖ノ島祭祀の最盛期
  半岩陰・半露天祭祀――安定化と形式化
  露天祭祀――終末期の様相
  など

II 探訪沖ノ島
 特別寄稿 沖ノ島 謎があるから豊かである  夢枕 獏

 対談 沖ノ島はなぜ神の島になったのか  夢枕 獏・正木 晃
  沖ノ島に最初に来た人類
  最古の縄文遺跡
  なぜ遺跡は一〇〇〇年間も守られてきたのか?
  玄界灘周辺に生まれた文明圏
  縄文人のニホンアシカ猟のルート
  空白の弥生時代
  航海の目印だった沖ノ島
  初期の大和政権の影響
  四世紀に始まる国家祭祀
  遺跡はすべて日本側を向いている
  など

宗像・沖ノ島関連歴史年表
主な参考文献
謝辞



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