ロビン・フッド物語
イギリスの義賊、ロビン・フッドの入門書です。
日本語で、ロビン・フッドについて書かれたものでは、この本が一番、コンパクトにまとまっていて、わかりやすいと思います。
一九九八年に出版されていますが、二〇一〇年現在でも、優れた入門書です。
ただし、映画などのメディアについては、当然ながら、二〇世紀末までの作品しかフォローしていません。
まったく同じ『ロビン・フッド物語』という題名の本が、もう一冊あります。そちらは、ローズマリ・サトクリフ女史の著作です。伝統的なロビン・フッドの伝説を、再話したものです。
首尾一貫したストーリーのある「お話」を読みたい方は、ローズマリ・サトクリフ女史の著作のほうを選んで下さい。
本書のほうは、「お話」ではなく、解説書です。
普通の日本人は、ロビン・フッドという名を聞いたことがあっても、具体的にどんな人物なのかは、知らないことが多いでしょう。
この本を読めば、基本的なことはつかめます(^^)
ロビン・フッドの物語は、何回となく舞台化され、小説化され、映画化され、アニメや漫画にもなっています。
それだけ、魅力のある物語だ、ということですね。単なる子供向けの童話、として無視するのは、もったいないです。
以下に、本書の目次を書いておきますね。
まえがき
主要登場人物
序章 物語の舞台を歩く
1 「ロビン・フッド・ページェント」の賑わい
2 シャーウッドの森を訪ねて
3 クリスマス・パントマイム
第1章 中世バラッドの世界
1 特異なバラッド――『ロビン・フッドの武勲』
2 物語のあらすじ
3 『武勲』で描かれたもの
4 写本の時代のロビン像
第2章 ルネサンス演劇にあらわれたロビン
1 五月祭の主役として
2 シェイクスピア時代の演劇
第3章 近代の民衆のメディアのなかで
1 新しいメディア――ブロードサイド・バラッドとガーランド
2 豪放磊落【ごうほうらいらく】さはどこへ?
3 ロビン、海を渡る
4 新発見のバラッド写本をめぐって
第4章 音楽劇、スペクタクル、パントマイム
1 音楽劇がさかんになる
2 スペクタクル趣味とパントマイム
第5章 ロマン主義の時代
1 バラッド集と詩
2 民族的英雄像――『アイヴァンホー』にどう描かれたか
3 新しい女性像――『メイド・マリアン』の現代性
4 イーガンとデュマの小説
第6章 児童文学の世界へ
1 世界に広まった傑作『ロビン・フッドの愉快な冒険』
2 二〇世紀の諸相
3 日本にどう伝わったか
4 ロビン、一揆の指導者に――村山知義の劇
5 戦後日本のロビン童話
第7章 映像のメディア
1 サイレント映画からアニメまで
2 評判になった映画、印象に残った映画
終章 ロビン・フッドとはなにものか
あとがき
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