見出し画像

〈詩〉夜でもないのに泣いている。

鳴いてるだけか。

其を泣いていると
断じたのは、誰か。

飛んで火に入る泣きもせず
其は、ただ、鳴いている。

其らの世界とセカイは
同じたった一つだから。

ううん、そうじゃない。

抑、胸と心を(現を幻で)
分けたりしない。だから、
絶対の唯一を生きている。

どのような草も紙にはなりえず。
どのような水も喉しか潤さない。
あらゆる光に希望も絶望もしない。

僕らはどうかしら。

愛を込めたらラブレター?
数字を載せたら紙幣かな?
絵を描くならキャンバス?
鼻を噛むのはちり紙、
尻を拭くのはロール。
やわらかだったり、
こわばっていたり、
スケープゴートは、
すべて等しく紙として喰った。

僕らはそれを見て、
神に祈りを捧げた。

その一つは、
聖書だったから。

紙にも、神にも、
清いも、悪くもないのにね。

それに載っける心
とかいう実は胸の
生み出すセカイに
清濁の色々がある。

黒を悪と断じ、
白を善と断じ、
紙に神を降臨させて、
そこに手を置き、
もう片方を胸に置き、
そうして、祈る。

世界とセカイは違っていき、
なのに、重なっているから、
それに名を付けた。

神が創ろうが、
人造だろうが
石は石のはずなのに、
段を成していようとも
上下の意志などなかったはずが、
僕らは、世界を、セカイで、
切り裂いた。

こっちは白。
こっちは黒。
黒は悪。
白は善。
ときには裏切り、
黒を善としてみたり、
白を悪としてみたり、
灰色は好かないし
分からないも嫌い
第三とかコピーは
キャッチしない。

何度も、何度も、
切り裂いた。

石段を登ったところで
門を潜り、鳥は居らず、
水は飲まずに手を雪ぎ
捨て流し、
人ではない、人が造った
紙の上の神が歩くはずの
真ん中だけは空けておき、
端を歩く。

其らが走っていく。

あれは、犬か。
いや、猫か。
少なくともさ、
人ではない。

であるなら、
あれこそ、神か?

誰か、真ん中を、
神が歩くの
見たこと、ありますか?

僕はあります。
なぜなら、そこを、
歩いた物こそ
神であるなら、
ついさっき、
犬が歩くのを、
この目で、
しかと、見たのです。

あれこそ、
神であるべきだんしょ?

ねぇ、誰か、
あれは、猫ではなかったかしら?

であるなら、
猫が神になるだけの
そんなセカイを、
石で 出来た 狐が笑う。

いいえ、あれは、狛犬です。

なれば、やっぱり、
神は、犬ではないか。

白い石を踏みながら、
砂利、砂利、砂利と
歩きます。

カエルが一匹飛びました。
其は、緑をしています。

ほうら、白でも黒でもない。
されど、灰でもない。

夜でもないのに泣いている。

鳴いてるだけか。

其は夜こそ鳴くと、
断じたのは、誰か。

光に希望も絶望もせず、
飛んで火に入る泣きもせず
其は、ただ、鳴いている。

焼かれているのは、
お前か、俺の心か。

其は、
夜でもないのに鳴いていた。

世界はたったのひとつ、
其を焼いていた。

火を
赤とも言えるし、青とも言える
僕は、セカイで切り裂いていく。

空っぽを重ねた色を
空とか言うから、見上げちまう。

空を
赤とも言えるし、青とも言える
僕は、世界を切り裂いていく。


【 詩 集 】


【 哲 学 】


【 エッセイ 】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?