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「休学×移住」余白のある町で、チャレンジを重ねる大学生にきく【おてつびとインタビューVol.31】

今回は、大学休学中におてつたびに参加し、そのまま山形県西川町に移住した深野まどかさんにお話を伺いました。

●これまでに参加したおてつたび●
青森県十和田市「一般社団法人十和田奥入瀬観光機構
山形県西川町「CASE


おてつたびがきっかけで、山形県西川町に移住

ーー現在、どんなことをしているのでしょう?

2023年4月から、西川町役場の「つなぐ課」で1年間、会計年度任用職員として働いています。3月におてつたびで西川町を訪れたのですが「もっとこの町にいたいな」と思ったので、思いきって残ることにしたんです。赴任して7か月が経ちますが、今は主に西川町のインスタグラム運用と、複数の課で動いているプロジェクトの進捗管理を行っています。

また、町のオープンチャットやファンクラブサイト、HPへのイベント掲載の確認をしたり、町長室の来庁者対応をしたりもして、お仕事は多岐に渡っていますね。

「やりたいことがわからない」将来に悩み、大学を休学

ーー大学生である深野さん。これまでどんなことを学ばれてきたのでしょう?

昔から「人の役に立つ仕事がしたい」と思っていて、医療系の仕事に就くのが夢でした。そこで保健室の先生の資格を取ろうと思い、養護教諭の免許が取れる看護大学に進学したんです。

でも、いざ看護の実習が始まると「自分のやりたいことと違うかもしれない」と少しずつ違和感を感じるようになってしまって。実習は半年間ぶっとおしで休みもなく、ハードな日々が続く中で一度立ち止まりたくなって休学することにしたんです。

なんとなく参加したおてつたびで転機が訪れた

ーーおてつたびに参加されたきっかけは?

元々は遊び目的でした。まだ休学を考える前、大学の冬休みに友達と一緒にスキーに行きたいねって話していて。でもお金もないしどうしようかなって探した時に見つけたのがおてつたびです。遊びながらお金をもらえるのが魅力的でしたが、その時は日程が合わなくて申し込みませんでした。

今回休学すると決めた時、ずっと家にいるのもなんだしな、とおてつたびを利用することにしたんです。

ーー初めてのおてつたびでは、どこに行きましたか?

最初に行ったのは青森県のおてつたびで、十和田湖の冬花火イベントのお手伝いをしました。湖の近くで小さなかまくらを作って、中にキャンドルを入れて、インスタ映えしそうな会場をつくったり、イベント当日に会場アナウンスをしたりして。日中はカヌーを楽しんで、観光パンフレット用に撮影してもらったりもしました。大変なことはなくて、とにかく楽しくて!すぐに次の山形県西川町のおてつたびに申し込みました

十和田湖でカヌーの撮影
夜空を彩る冬花火。たくさんの方に楽しんでいただけました

ーー次に参加した西川町のおてつたびでは、どんなことをしましたか?

西川町に到着した初日、宿泊先に行く前に地区ごとに行われている地域の対話会に行きました。そこで町長の話を聞き、うまく言葉にできないのですが「この町は、ほかの町と何か違う」と思いました。その後、宿泊場所に案内された時、担当の方から「あなたたちはインターン生と同じ立場だからね」と言われて「え!そうなの!?」と驚きました。翌日、町長室に案内されて嘱託状を手渡されて、役場のみなさんにご挨拶をしてお仕事がスタートしました。

当時、おてつたびのメンバーは私を含めて5人。みんなで町のお困りごとに対応しました。3月だったので雪深いエリアのお宅に伺って除雪作業をしたり、地域のランチ会に参加して住民の方と交流したりしましたね。

みんなで屋根の雪かき

ーー地域の方と触れ合うことが多かったんですね!

他には、ふるさと納税をPRするためのインスタグラム運用もやらせてもらいました!どんな投稿にするか一から考えて、企画書をつくって提案するんです。

西川町は町長がとっても魅力的なので出演をお願いして「町長の一日」や「早口言葉チャレンジ」といったテーマで動画撮影したりもしました。「町長、走ってください!」「こんな服装で来てください!」とお願いして(笑)試行錯誤しながら投稿を作っていましたね。

西川町長の菅野大志さん

西川町は『すっだい(やりたい)を実現する町』を掲げています。だからインターン期間中は、私たちも受け身ではなくて、やりたいことを実現してほしいと言われていました。おてつたびのメンバーでやりたいことを考えて、順番に実現させていって。学校では経験できないことばかりで刺激的な毎日でした。

西川町の魅力は、新しい空気と余白

ーー西川町に移住しようと決めたのはいつですか?

おてつたびは2週間だったんですけど、最初の1週間を過ごすうちに、“この町でもっと色々な経験がしたい”という気持ちが芽生えました。西川町って、新しい取り組みが目まぐるしく動いているんです。今は当たり前になっているファンクラブサイトや自治体初となるデジタル住民票も、少し前までは話題にもなっていなかったんですよね。予想もできないような新しい動きの中に、自分の身を置けているのがすごく楽しいんです。だから会計年度任用職員としてさらに1年間働きたいとお願いしたんです!

ーー短い期間に、ワクワクする新しい経験ができたんですね!

西川町には自分が役に立てる余白があるのかなって思うんです。私の地元は割と都会なんですけど、何か困っていることがあったとしてもどこか他人事に感じてしまって。役所も2,3回しか行ったことがないし選挙にも行かない。市長が誰なのかも知らない。でも、西川町だと町との距離が近くて地域のことを自分事として捉えられるんですよね。

また、西川町に来てからさまざまな経歴を持つ企業の方々にも出会い、世界が広がりました。今までは定年までひとつの会社に勤めるのが主流でしたが、これからは変わっていくんじゃないかなって思うんです。だからこそいろんな世界を見て、キャリアを積んでいきたいと思うようになりました。

夢を叶えるために、西川町で経験を積み重ねていく

ーーこれから、どんなことに挑戦していきたいですか?

私の夢は、病院のひとつ手前の居場所になるような「町の保健室」を日本各地につくっていくことです。医療格差のある地域の方や、なかなか病院に来れないような方が、気軽に相談に来れたり、必要なケアが受けられるようにお繋ぎできたりするような場所をつくりたいんです。

大学に復学するかはまだ決めていなくて、今はこの西川町で地域のことを学びながら、経験を積んでいきたいと思っています。

ーー最後に、おてつたびを利用してみようかなと思っている方にひとことお願いします!

将来なにがしたいかわからない人や、看護など"人とのコミュニケーションが必要な職”に就きたい人は、おてつたびなどを利用していろんな人に出会い、いろんな経験をするのがいいんじゃないかなって思います。

医者も看護師も、医療の知識だけあっても相手から信頼を得られないと思うんです。人がそれぞれ抱える想いや暮らしを知ることは、コミュニケーションに活かせるし、信頼関係を育むことに繋がるんじゃないかなって。

だから学生のみなさんは社会に出る前に、連休や長期休みなどを利用して、今しかできない経験をたくさんしておくといいんじゃないかなと思います!

編集後記

大学生でありながら、移住して役場で働くという選択をした深野さん。そのバイタリティとフットワークの軽さに驚かされました!好奇心に従って行動しつづける深野さんは、これからもご自身で道を切り拓いていくんだろうな、と感じています。

わたしは30代ですが、将来についてまだまだ悩むときがあります。深野さんのお話を伺いながら、思いきって休んだり、まったく違う場所に飛び込んでみたりするのもいいかもしれない……と思いました。

深野さん、素敵なお話をありがとうございました。また西川町のことや夢についてお話を聞かせてくださいね。

【取材・執筆:やまくぼ


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