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職員同士をつなぐ教育

入院している患者さんが話していたことがあります。

「自分の寝ているベッドを挟んで、先輩看護師が新人看護師を叱っていると、あまり良い気分はしない。まるで自分が悪いことをしたような気持ちになる」と。

ケアを受ける人は「世話になる」ことだけでも、負い目に感じ、なんとなく気が引けているものです。
だから、自分のケアが元で誰かが叱られているのを目の前にするのは、良い気持ちがしないのも当然。

「仕事ができる人」の集団の中に、「未経験の人」が入ると、できない部分が目立ってしまいます。

お年寄りが楽しく過ごせる環境でありたいので、おたがいサロンの職員教育は苦手なところを指摘してできるようにするよりも、得意なところを指摘して伸ばすことを優先しています。すると、得意な分野で他の職員から尊敬され、頼られるようになります。苦手な事があっても、他の部分で頑張っているからと、お互いに認め合える関係性が作られていきます。

もちろん、苦手な部分でも仕事として最低限身につけなくてはいけない事もあり同時に指導します。でも心に無理が無いように、人に優しくできる余裕が持てるように、「得意を伸ばすこと」と「苦手を指摘すること」のバランスは、職場の上司の加減が大切です。全体を俯瞰し、個性を知ろうとして、職員を信じ、そして自分を信じる強さを持っている人間であることが必要です。

人が得意分野でその持てる力を発揮し、自分らしさを表現できるようになってくると、他の職員の良い部分も観察できるようになり、見習うようになります。すると「人から学ぶ」が自然と成立して、一人ひとりが自律しお互いに高め合う職場環境になります。職員と職員をつなぐことのできる、理性のある観察力とコミュニケーションができると良いと感じています。職員同士がギスギスとしていると、利用者さんにもその雰囲気はすぐに伝わりますから。

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