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子宮外妊娠で物理的に死にかけた話

以前に子宮外妊娠を経験し、38日間に及ぶ腹痛と出血と貧血の末の、卵管摘出と我が子の中絶を余儀なくされメンタル•フィジカル共にずたぼろになったことがある。

いまはそれから時間も経ち、子供も産んで、かなり立ち直ったのでここに経験談を書くことにした。

こんなのわざわざ公にするようなことではないと思い躊躇したが、子宮外妊娠が疑われるけどまだ気付いていない方がもしもこの記事にたどり着いたなら、たった一人でも早期発見の助けになりたい。

そして、これから妊活をする•している方はこういうこともあるんだと自己防衛のために頭の片隅に知っておいて欲しい。

ちなみに、「あんときマジで死んだわー」みたいな比喩表現じゃなく、実際に物理的に死にかけたよ、って話。


※注意※
「生々しい話苦手」「血とかホント無理」「ドラマの手術シーン見れない」などという方はそっと閉じてください。


▼子宮外妊娠の確率

子宮外妊娠の確率はわずか1%だそうだ。全妊婦の1%。つまり全人口を母数にしたらめっちゃくちゃレア。だから私は自分には関係ないと高を括っていたのがそれが大きな間違いだった。


▼子宮外妊娠とは

正式名称は異所性妊娠(いしょせいにんしん)というが、ここでは子宮外妊娠で統一する。意味は全く同じ。

受精卵が卵管→子宮→子宮内膜へと移動して子宮内膜に着床するのが正常妊娠。

ごく稀に、子宮までたどり着かなかったり行き過ぎたりして、受精卵が子宮の外に着床してしまうことを子宮外妊娠をいう。

そんなレアな疾患なだけあって、見つかりにくい。見つかりにくいくせに、見つからずに子宮外で胎芽が育ち続けてしまうと着床した箇所が破裂をして大量出血の後に急死することもあるそう。


▼様々なパターン

着床する場所が子宮外といっても色々ある。卵管、卵巣、頸管、腹膜のどこかだ。

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また、治療法としてはほとんどが手術を必要とする。着床した胎芽を臓器ごと摘出するか、臓器は残して胎芽のみ摘出するかのどちらか。手術の方法は開腹手術か腹腔鏡手術。これらは、着床した場所、妊娠週数、出血の程度などによってその都度医師が判断すると言われた。


▼時系列まとめ

8月29日〜8月30日(妊娠4週)
生理予定日より数日前に茶色いおりものが出る。それ以外に不調はなく様子見。

8月31日(妊娠5週)
茶色いおりものとピンクの血が出る。妊娠超初期の症状がある。熱っぽい、だるい、胸が張る、胃がムカムカする、など。

9月1日(妊娠5週)
ピンクの血のみ出るようになる。もしかして妊娠かもと思い市販の妊娠検査薬を試してみるも陰性。産婦人科に診察予約を入れる。

9月2日〜5日(妊娠5週)
鮮血と下腹部全体に鈍痛。生理痛とはちょっと違う感覚。生理痛は子宮が痛む(私の場合)が、もっと広い範囲で下腹部全体が痛む。

9月6日(妊娠5週)
産婦人科受診。
妊娠検査薬の結果を伝えると【無排卵月経】もしくは【初期流産】と診断される。
「そのうち出血止まるから大丈夫ですよー、3週間以上血が止まらなかったらまた来てください」と言われ特に処置も薬の処方もなし。

9月7日〜17日(妊娠6〜7週)
鮮血と鈍痛。出血量は日によって増減するも出血は止まらず。少ない日で生理4日目くらいの出血量、多い日で生理2日目くらいの出血量。このあたりから貧血がひどい。

9月18日〜25日(妊娠7週)
鮮血と激しい腹痛。この頃の出血は毎日生理2日目くらい。歩くスピードがおばあちゃんくらい遅い。通勤に1.5倍の時間がかかる。

9月26日(妊娠7週)
相変わらずの出血と腹痛に加え、貧血で仕事中ずっと眠い、疲れやすい。

9月27日(妊娠7週)
産婦人科再受診。
妊娠検査にうっすーく陽性反応が出る。【流産】との診断結果。「一度は妊娠成立しているからhCG値が出ているけど、この週数にしては値が低すぎるから既に流産している」とのこと。貧血なのに採血されてキレる。

9月28日〜29日(妊娠8週)
出血止まらず原因も分からずメルタン病む。ロキソニンもボルタレンも全く効かない。

10月1日(妊娠8週)
お腹痛すぎて仕事にならない。貧血で会社を早退。

10月2日(妊娠8週)
めまいと腹痛で歩くのがやっと。自転車は振動が辛くて乗れない。電車は駅着くたびにホームの椅子で座り込む。

10月3日(妊娠8週)
歩いた時の足の着地の振動が痛い、すり足でなんとか移動。

10月4日(妊娠8週)
産婦人科再々受診。
ここで初めて院長先生に診てもらう。妊娠陽性反応が前回よりも強く出る。エコーで見ると子宮に胎嚢が確認できず。これは【子宮外妊娠】だろうから明日朝一で大学病院へ行きなさいと紹介状をもらう。

10月5日(妊娠9週)
大学病院受診。緊急手術からの緊急入院。ここは後で詳しく書くこととする。

10月9日
退院

10月15日
職場復帰


▼緊急手術当日

主人に車を出してもらい朝一で大学病院へ。サロン代わりに来ているご老人達が病院が開いた途端から受付に行列をなしている。。。

紹介状を受付に提出し4時間くらい待ったところでやっと診察に呼ばれる。

診察してすぐに「これは【子宮外妊娠】に間違いありません。ご主人ともお話を。」と言われ夫と詳しい話を聞く。

女医さんから言われた内容ざっくり
•現在、妊娠9週である
•右卵管に着床している
•妊娠継続は不可能なので諦めること
•腹腔鏡手術により卵管ごと摘出する
•もう内蔵破裂寸前、いつ死んでもおかしくない
•歩く振動でも内臓破裂を起こしそうだからオペまで歩行禁止(車椅子移動)
•なぜここまで放っておいたのか(怒)
•オペ室が空き次第緊急手術となり入院
•卵管を片方摘出しても、今後自然妊娠は望める

冷や汗が止まらなかった。そこからは車椅子に乗り、ファストパスのごとくご老人たちをズバズバ抜かして怒涛の検査を受ける。

検査が終わり入院する部屋に通された途端。「30分後にオペ室が空くので準備してください。」と言われ、手術着に着替えたりメイクを落としたりバタバタ準備をする。

手術室には、「珍しい症例なので勉強させていただきます」と執刀医とは別の医者が見学に来ていた。

全身麻酔のマスクをつけられてからは数秒で意識を失い、数時間後に「終わりましたよー」の声で目が醒める。夜中に目が覚めて初めて冷静になり、(やっと腹痛と出血から解放された)という安堵と、(もうお腹に子供はいないんだ)という虚しさが入り混じり涙が止まらなくなった。


▼子宮外妊娠の症状

•4週目あたりまで妊娠初期症状と同じ
•妊娠5週目あたりから生理とは明らかに違う腹痛
•痛みの場所は子宮ピンポイントではなく下腹部全体横に広く痛む(個人差あり)
•徒歩でも自転車でも車でも振動が響くように痛い

【生理との違い】
•生理痛用に市販されている鎮痛剤が全く効かない
•抑揚がなくだらだらと出血が続く
•剥がれた子宮内膜が出てこない

【正常妊娠との違い】
•妊娠検査薬での反応が通常妊娠よりも弱い。hCG値が検出はされるものの妊娠週数の目安数値より少ない
•基礎体温が高温期と低温期が定まらず乱高下する
•妊娠7週を過ぎてもエコーで胎嚢が確認できない

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(↑理想的な基礎体温グラフ)

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(↑子宮外妊娠中の実際の基礎体温グラフ)


▼子宮外妊娠の原因

はっきり分かっていない。原因不明。

クラミジアに感染している場合や、以前に卵管に疾患があった場合、また高齢だとリスクが高まるそうだが私はどれも当てはまらなかった。

そもそもの症例が少ないから原因究明が難しいと説明された。


▼子宮外妊娠かもと思ったら

すぐに病院に行って下さい!そして私は誤診があったので、何かおかしい、全然症状が改善しない、と思ったらセカンドオピニオンも受診して下さい。

前回の生理日、排卵日、性交日、出血があった日など分かることは記録しておくと良いです。お医者さんの判断材料になるので。あと基礎体温も出来れば測るといいです。

仕事も家事も休んでください。仕事が滞ろうが、家事が滞ろうが、誰も死なないですよね。でも、無理して内臓破裂したら死ぬこともあるんですよ、本当に休んで下さい。

私の書いた症状はあくまで私個人のもので、個人差があります。ご自分の「いつもと違う」「なんかおかしい」という自分の感覚を信じて下さい。


▼最後に

子宮外妊娠の恐ろしいところは、(痛くてもうダメだ救急車呼ぼう!)みたいな状況ではなく、(まあなんとか騙し騙し生活できるな)くらいの感じで内蔵破裂寸前だったことです。

静かにすぐそこまで死が迫ってるんです。早期発見で必ず助かるので、疑われる場合は一刻も早く病院に行って下さい。

私はストレスと過労で流産を1回、原因不明で子宮外妊娠による中絶を1回、経験しました。

どちらも当時はショックでたまらなかったし、人に話すのはとても勇気がいりました。でも、こんな経験でも誰かのお役に立てば幸いです。

みなに幸あれ!!


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