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休職して自分が僧侶タイプだと気付いたITエンジニア

「みんなを率いてリーダーシップを発揮して魔王を倒す」
これがドラクエでいう勇者だ。40年ぐらいの間、私は自分を勇者タイプだと思ってた。勇者であり続けているつもりだった。でも、違った。

最近になって、やっと気付いたこと。

私は勇者ではなくて、僧侶だということ。ドラクエでいう僧侶は、力は弱く体力も無いが、回復魔法に長けていて、傷ついた仲間を助ける役目だ。蘇生だってできる。強大な敵との戦いには欠かせない。

優等生だった

小学校低学年の頃、ミニ四駆が流行った。当時、東京・恵比寿に大きな模型屋があり、みんなが行きたがった。自転車で片道30分はかかる。交通量も非常に多い場所だった。私は事前に行き方を調べ、10人ぐらいを率いてこの大冒険を無事達成した。

その頃は学級委員だった。イベントごとは率先して企画・実行していた。でも敏感だったから不安だった。皆の満足が欲しかったが、それは無理な話で、一部の「あいつは真面目だ」という声に苦しくなり、高学年になると学級員を降りた。どうして自分だけこんな思いをしないといけないのか。そう思っていた。自分を勇者だと思いこんでいたのは、この頃までのたった数年間の印象が強かったからだろう。

中学以降はもう優等生ではない。表舞台からは遠ざかった。ただ、何かを企画して実行するのは変わらず好きだった。だが今思うと、何かイベントをする時、必ず誰かをリーダーにたてていた。リーダーは特に何もしなくてもいい。人気があって、おもしろくあってくれればいい。細かいことは全部任せてくれ。自分はそんな参謀的なポジションが心地良かった。
リーダーをたてて、横で1番手で支える役だ。

手元に置いておきたい

大学4年生の頃。一緒に就職活動していた同級生から、おすしくんは手元に置いておきたいタイプだと言われたことがある。そう言ってくれた人は典型的なリーダータイプで、その人の周りには人が集まるタイプだった。私はそう言われて嬉しかった。今でも覚えているくらいだ。

上司を支える

自分が活き活きと働いてた頃を思い出してみる。上司と一緒に行動し、上司を支えるポジションだった頃だ。雑務全般も率先してこなしたと思う。残業も多く、親会社や顧客からのプレッシャーもあったが頑張れた。自分の役割を見いだせた仕事ができていたのだろう。良い仲間との仕事は頑張れる。

「いずれはお前が先頭に立つのだよ」

その上司に言われ続けた言葉がある。
「いずれはお前が先頭に立つのだよ」
「はい」と答えつつも、これを言われるといつも胸が締め付けられ、膝や太ももが疼いた。上司の姿に自分をあてはめ、「ああ、あれを自分がやるのか」と戦々恐々とした。その時はまだ自分を勇者だと勘違いしていたので、その言葉をすべて重く受け止めていた。

自分は僧侶タイプだ

またドラクエでの例えで恐縮だが、僧侶は力が弱く、体力も無い。このイメージがネガティブだったので、子供時代には全く人気の無い職業だった。だからドラクエごっこしても、僧侶はやらない。
でも、間違いない。私は僧侶タイプだ。

仲間の傷つきには誰よりも早く気づく。
適切な魔法を使って回復してあげる。
自分を犠牲にできる。

昨日、こどもと話しているとき、「パパは僧侶タイプなんだ。体力はあんまり無いけど、傷ついた仲間を回復する魔法が得意だ。攻撃魔法は得意じゃない」と言った。すると、嫁は「そうね。」と言った。何気ない相槌に驚いた。あれ、僧侶タイプってバレてたの?てっきり勇者として見られてると思ったのに。

受け入れた瞬間

自分を僧侶タイプだと言えた。「言語化できるってことは、自分の中で乗り越えた証拠です。」(この言葉好き。あの漫画のセリフをパクリました)
今までだったら、「勇者かな。いや、武闘家だな。」と言ってただろう。そんな強くないじゃん!なんて言われた日には、ムキになって反論してただろう。

中年僧侶タイプに仕事はあるのか

私はITエンジニアだ。40歳を過ぎたおじさんに、参謀的な仕事はあるのだろうか。このまま復職したらプロジェクトリーダー(PL)を期待される。若いエンジニアを率いてくれと。正直言って、苦手なポジションだ。だが、私の年齢とキャリアからいって、今の会社ではPL以外に私の居場所は無いだろう。

私は誰かを支えるポジションがいい。その位置なら自分の能力を発揮できる自信もある。だが、そんな都合の良い役割は思いつかない。歳をとった僧侶に活躍の場はあるのだろうか。どなたかご存知でしたら教えて下さい。

リーダーとは

PLは苦手だけど、少し違う考え方も芽生えてきた。それは「リーダーは勇者タイプじゃなくてもいいのではないか」ということ。世の中にはリーダーはたくさんいると思うけど、勇者タイプの完璧なリーダーなんてそんなにいないと思う。胸に手をあててみる。ほら、あの人は全然仕事しなかったし、あの人は人を使うのがうまかっただけだ。打合せでは寝てたし、よろしく!と部下に任せまくりだった。でも、不思議と嫌じゃなかった。

僧侶タイプでリーダーをやってもいいんじゃないか。目立つのがリーダーじゃなくて、部下の戦士だっていいじゃないか。それをうれしく思う僧侶リーダー。

おそらく、私には先頭を突っ走って引っ張るリーダーはできない。やるなら、みんなで足並みを揃えて進むリーダーでいこうと思う。常に監視して、傷ついた仲間を回復する。

あれ。書いてて、なんだかやれそうな気持ちになってきた。

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