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正しくないという美しさ(「一人称単数」を読んだ感想文)


ハロー、u子です。

6月なのに35℃超えの猛暑。蒸し暑さに耐えきれずクーラーを解禁。
そんな日に、村上春樹さんの「一人称単数」を読みました。

これまで何冊か村上春樹作品を読んでいますが、毎度うまく掴めません。
それでも面白くて読んでしまいます。

今回は短編集だったのでなおさら、するりと読み終えてしまいました。

それでもどうにか掴みたくて、振り返った先で「文学って、正しくあるべきものでしたっけ?」と問いかけられている気がしました。



小説に対して、過剰にテーマや教訓が求められていると感じます。わたしも求めてしまいます。

「あなたの人生のバイブルに」「本物の親子愛」「温かくて泣ける」「まさかのどんでん返し」
こんなキャッチコピー、簡潔にまとめられた帯、裏表紙の要約。どれも分かりやすくて、本を選ぶときに助かります。

一方で、まとまりすぎていて本を読みたくなくなるときもあります。


一人称単数に収録されている短編は、不思議なお話ばかり。
乱暴に言えば「正しくない」のオンパレードです。(たとえば猿と会話したり、女性に対して一番醜いと表現したり)

すべてを串刺すようなテーマはなく、するりするりと進んでいきます。
それでも読み終えた後に「面白かった」が残る。これが一番の不思議です。


文学において比較的理にかなっていることが果たして美点であるのかどうか、そこには疑問の余地がある。

p.107『 ウィズ・ザ・ビートルズ  With the Beatles』


テストでは正解が求められ、ビジネスではロジックが求められる。
小説を読むときぐらい「正しくあること」から離れてもいいじゃないですか。


さて、この稚拙な感想を書くのに、いつもの倍以上の時間がかかりました。
まだまだ掴みきれていないようですね。村上春樹……ふーん、おもしれー男……。
(そして、正しくまとめようとしている自分に気付くのであった)


おしまい。

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