車の懐の深さ

自由か不自由か

私は車とは
不自由な乗り物だと思っている。

同じ方角に走らなくてはならないし、
道路がないと進めないし、
信号が青なら進まなくてはならないし、
逆に赤なら止まらなくてはならない。
速度も周りに合わせる必要があって、
駐車場がなければ
行きたい場所へも行くことができない。

一方で、車は自由だと言う知人もいる。
言うには、
電車と違って好きな時に
好きなところへ行けるからだそうだ。

比較対象

私は何と比べているかと言うと、
徒歩や自転車。

徒歩は時間はかかるけど、
好きな方角へ進めて
いきなり止まっても、走っても、
周りに迷惑さえかけなければ自由だ。
道を間違えても
先へ進まないといけない車と比べて、
徒歩なら気付いた瞬間に
止まってスマホで調べればいい。
（まぁ方向音痴の私は迷子を隠したくて歩き続けるけど）
（そしてもっと迷うけど）
（でもこれは別のはなし）

また自転車であっても、
確かに軽車両だから徒歩よりは制限がかなりある。
でもその身軽さは雲泥の差だ。

車と電車を比べたらどちらが自由なんだろう？
私はやはり電車かな。
決められた道を進まなくてはならないのは
車も電車も同じだし、
ふとこの町に、この店に
立ち寄ろうと思い立った時、
即座に動ける余裕がいいと思う。

どこに違いがあるのか

私の主張もわかる人にはわかってもらえると思う。
逆に全くわからない人もいると思う。

——ではなぜそこに違いが生じるのか
運転することが
好きか嫌いかだという結論に至った。

実は私は車の運転が得意ではない。
嫌いではないけれど、
そこまで面白くないのだ。
３０分か４０分程度が限界で、
運転すること自体に飽きてしまう。
この時間があれば
一体他になにをできただろうと考えてしまう。

車自体は好きだから
助手席に乗ることは問題ない。
運転しないのであれば
長時間であっても
楽しく過ごすことができる。

車の方が自由だと行った人は、
車の運転が大好きで
かなりの長距離を
自分で運転して旅行に出かけるような人だ。

運転すること自体が好きであれば
確かに苦痛にはならない。

噛み合わない

結局のところ
互いに理解し合うのは無理な話だ。

比較対象が違う、
好きと感じるポイントも違う。

この件で言い争うような出来事には
発展しなかったけど、
少なくとも私はどこか
引っ掛かりを残すきっかけになった。

感じ方は人それぞれで
色んな人がいるなぁと思いつつ、
好き勝手という
少し乱暴な言葉を用いるのであれば、
——好き勝手に移動したいのか
——移動しながらも好き勝手に過ごしたいのか
どっちもどっちだろうか。

結局のところ

車は便利な道具。
楽しく使えば行動範囲が広がって
与えてくれるそれらの経験は
かけがえのない思い出になる。

振り返った時、
車の運転は得意ではなかったけど
きみとは色んなところへ行ったよねと
言ってさよならできるくらい
——乗りたいときに乗る
そんな自由な気持ちでありたいなと思う。