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中国企業のサステナビリティレポート紹介(2)

前回に続き、今回も中国企業のサステナビリティレポートを紹介したいと思います。

中国移動 (正式名称: 中国移动通信集团有限公司、英文名称: China Mobile Communications Group Co.,Ltd)

会社概要: 同社の設立は2000年4月で、通信キャリアとしては最大手の国有企業で、フォーチュン500では65位(2020年)にランクされています。

グループ従業員総数454,332人になり、同社が抱えるモバイルユーザーは9.42憶人に達し、2020年の営業収入は7,681億元(≒ 13兆853億円)になりました。

サステナビリティレポート:
レポート名は「2020 貢獻數智新力量 中国移动有限公司可持续发展报告」で、全70ページで構成されています。

レポートはなぜか中国語の簡体字でなく繁体字で書かれているのですが、レポートのテーマは「デジタル化された新しい力への貢献(中国語原文:贡献数智新力量)」です。

中国移動には「責任信号」モデルという同社の戦略モデルがあるのですが、そちらにも「社会責任、経済責任、環境責任」が明記されており、SDGsの理念とも合致しています。

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本レポートのテーマは以下のとおり大きくは4つあります。

- 疫病(=新型コロナ)を防ぐ「生命線」の死守(中国語原文: 守护疫情防控“生命线”。
- インフラのデジタル化を加速し、様々な業界にエンパワーメント(中国語原文:加快数智基建赋能百业。)
- 人を基本とした包容力の推進(中国語原文:推进以人为本包容可及。)
- 地球の生態系を守り続けるための助力(中国語原文:助力保护地球生态永续。)

通信キャリアという位置づけからも「数智基建(インフラのデジタル化)」を通した貢献が大きくなりそうです。

同社のサステナビリティレポート全文はこちらからダウンロード可能です(中国語)。英語版はこちら

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南方电网 (正式名称:中国南方电网有限责任公司、英文名称: China Southern Power Grid Company Limited)

会社概要: 同社の設立は2004年6月で、こちらも国有企業で、フォーチュン500では105位にランクされています。

同社の従業員数は289,735人(2019年時点)、営業収入は5,775亿元(≒ 9兆8,405.9億円)になり、総供給電力量は1兆1,068億キロワットを誇ります(いずれも2020年時点)。

同社は発電、送電がメイン事業ですが、広東省、広西省、雲南省、贵州省、海南省、香港、マカオに向けて電力供給をしています。

サステナブルレポート:
レポート名は「2020年企业社会责任报告」で、全46ページで構成されています。

同社の電力総設備容量(≒総発電量)は3.5億キロワットで、うち火力発電が1.5億キロワット、水力発電が1.2億キロワット、原子力が1961万キロワット、風力発電は2618万キロワット、太陽光発電が2241万キロワットで、再生可能エネルギーにも注力しています。

また、カーボンゼロへも取り組んでおり、2020年には二酸化炭素を7.2億トン、二酸化硫黄を520万トン排出削減したそうです。

同社は電力会社ということもあり、カーボンゼロなど環境面での貢献がおおくなりそうです。

同社のサステナビリティレポート(中国語)の全文はこちらからダウンロード可能です。

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〇 中国五矿 (正式名称: 中国五矿集团有限公司、英文名称:China Minmetals Corporation)

会社概要: 同社の設立は1950年で、金属鉱業最大手の国有企業で、金融、不動産などの事業も手掛けており、世界38の国や地域で事業展開をしています。す。フォーチュン500では92位にランクされています。

同社の2020年末時点で、従業員数は約20万人で、営業収入は7,016億元(≒ 11兆9,600.5億円)になります。

サステナブルレポート:
レポート名は「中国五矿2020年可持续发展报告」で、全56ページで構成されています。

同社のレポートは下記6つのパートから構成されています。

- 価値創造(中国語原文: 价值创造)
- 革新(のための)エンジン(中国語原文:创新引擎)
- 安全なインフラを築く(中国語原文:安全筑基)
- グリーン低炭素(中国語原文:绿色低碳)
- 従業員の幸福(中国語原文:员工幸福)
- 美しい社会(中国語原文:社会和美)

グリーン低炭素に関連し、同社は総電力消費を2019年比で13.5%削減し、CO2排出は24.5%削減したそうです。

また、従業員の幸福の項では、女性従業員に関する言及があり、4万人超の女性従業員がいるようですが、2019年から2020年にかけて全体の従業員数は増えているのに、女性従業員数は減っていて、当然その比率も減っているので、何を訴えたいのかは理解できませんでした。

同社は鉱業関連ということもあり、やはり環境面での貢献がメインになってきそうです。

同社のサステナビリティレポート(中国語)の全文はこちらからダウンロード可能です。

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さて、今回も前回同様3社ほど中国企業のサステナビリティレポートをご紹介しました。飲食系、自動車、IT、通信キャリア、電力、鉱業と紹介してきたので、次回以降ではまた異なる業界のサステナビリティレポートを紹介していきたいと思います。

※中国を中心としたアジアのサイバーセキュリティ事情、業界動向について綴っている姉妹ブログの方もぜひ!

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