おっさん大学勤務医

40代半ばの大学病院勤務医です。 地方都市で生活に困らない程度の収入で、妻と3人の子供…

おっさん大学勤務医

40代半ばの大学病院勤務医です。 地方都市で生活に困らない程度の収入で、妻と3人の子供と毎日平和に暮らしてます。 ハイパーな先生の多い循環器内科で比較的ユルく生きてます。 モットーは自然体。 休日はゴルフかアマチュアオーケストラでバイオリン弾き。 趣味は学会旅行と寝当直。

最近の記事

芥川賞作家医師の「サンショウウオの四十九日」を双子娘の父でもある臨床医が読んでみた

芥川賞を受賞した作家であり医師である朝比奈秋さんの受賞作品である「サンショウウオの四十九日」を寝当直中に読破した。 結合双生児といえば我々の世代だとベトちゃんドクちゃんが有名だが、その中でも特に特殊な一つの脳を二人が共有する頭部結合双生児である濱岸杏さんと瞬さんの微妙な掛け合いで小説が進む。 二人の父親も伯父と特殊な双生児である胎児内胎児であり、実はさらに嚢胞にもう一人の弟がいた(三つ子ともいえる)。 手塚治虫の漫画・ブラックジャックに登場するピノコは奇形腫なのでこの嚢

    • 出る杭が打たれる業界

      沖縄で開院した小児科クリニック。診察時間は平日午後1時から同9時まで。非常勤も含めた4人の小児科医で、県内の小児科専科のある医療機関の多くが対応できていない夜間外来も受け入れる。さらにクリニックが休診となる火、金曜日、診察時間が限定される土、日、祝日は、往診サービスも行っている、とのこと。 ちなみに院長は39歳女性医師。 おそらく高い志を持った人たちの、一つの挑戦だと思う。とても応援したいし期待している。 が、しかし、これを良しとしない人々は居るに違いない。例えばこの新

      • 身の毛のよだつ天才エピソード

        ピアニスト・研修医 沢田蒼梧氏の中高時代の天才エピソードを読んだ。 ある程度は予想していたが、正直ここまでとは思っていなかった。 英語でいうと respect や amazing を通り越して、もはや horrible と言ってよいのかも。 知らない人のために書くと、ピアニストとして2021年第18回ショパン国際ピアノコンクール本大会二次審査進出。2018年ジュネーブ国際音楽コンクール最年少ベスト16入選。学業ではT中学校・高等学校6年連続首席卒業。東大理IIIも楽勝だ

        • クリニックに通って薬を飲み続ける医療は終わるのか?

          RNA製剤注射薬といえば新型コロナワクチンで有名になったが、その類似薬、SiRNA製剤が医療業界では密かに脚光を浴びつつある。 遺伝性アミロイドーシスや肝性ポルフィリン症といった特殊な疾患では既に広く使われ、大きなインパクトを与えている。 コレステロールの高い患者さんは日本にもたくさんいるが、ここでもこの薬剤が普及しつつある。一般的に高コレステロール血症といえば内服治療になるが、心筋梗塞を起こした人の再発予防などにはかなり厳しく悪玉(LDL)コレステロールを下げることが求

        芥川賞作家医師の「サンショウウオの四十九日」を双子娘の父でもある臨床医が読んでみた

          戦勝祈願

          某学会学術集会で神戸に来ました。 夕方一足先に学会会場を出て、明日の大一番の戦勝祈願に、楠木正成公ゆかりの湊川神社へ。 それにしてもセンタープラザはB級グルメの宝庫。一人飯には有難い。 明日は医局メンバーで食事会です。

          悪いのはどっち?

          先日愛知県の市民病院が、4年間の時間外勤務手当の支払いが不十分だったことを認め、その差額(計8億円)を支払うとともに今後の手当を見直すと発表した。救急患者を多く受け入れる、多忙な市民病院である。 「当直業務の際に時間外手当を払っていなかった」 職員に支払うべき手当を支払っていなかったなんて、何と酷い病院なのか!と思われるかもしれない。 法律上は夜間の救急患者対応(外来・処置・手術)を「当直」として扱うと「やや高めの手当」が発生する。一方で「宿日直許可」さえとってしまえば「

          宿日直許可ってナニ?

          読売新聞の記事、医師の働き方改革の中の宿日直許可に関する記事。 今日偶然目にしたものだが、これはマスコミには珍しく、本当に非常に正しい記事だと思う。 解説すると、 「働き過ぎ」とされる日本人勤務医の労働時間を制限するため、医師の働き方改革を来月から導入する。 いろいろ詳細なルールが定められたが、今回問題となっている「宿日直許可」の概要は以下である。 ① 当直をした医師は、その翌日は午前勤務までとし、午後は帰宅させなさい、これを守らない場合は管理者が法的に処罰される

          宿日直許可ってナニ?

          勤務医は他の業界のサラリーマンより好待遇なのか

          医者になったばかりの20年前は、同世代の他の業界の人の給料など知らなかった。 他の業界の友人はたくさんいるが、他人に給料を聞くことなどない。 そもそも私の妻も他の業界で働いているが、自分の妻の給料を知らない(笑) が、最近はSNSの発達で、年収チャンネルや給与明細買取屋などといったデリカシーのない記事(や動画)ができたので、他の業界の待遇が容易に分かるようになった。 勤務医の年収はこちらのリンクの通り。 まあ平均すると大体当たっていると思う。 このサイトにはいろんなデ

          勤務医は他の業界のサラリーマンより好待遇なのか

          稼いでいる人が威張らない文化

          雨の休日、朝から職場にきて、なかなか平日できない研究仕事をしている。 ひとり静かな医局の電子カルテの前で、自分のPCやファイルを広げて、患者データを整理する。 単純作業をする時はそれだけでは時間の無駄なので、必ずイヤホンで何かを聴いている。 何を聴いているか?最近はYouTube番組の中で「流し聴き」に適したコンテンツをあらかじめダウンロードしている。 よく聴いているのは、PIVOT、ReHacQ、高橋洋一、ホリエモン、中田敦彦など、政治、経済、国際情勢、ビジネス情報

          稼いでいる人が威張らない文化

          医療の値段は年々変わります

          今年6月からの診療報酬改定が発表された。 このNHKの記事を読むと、「初診料」、「再診料」、「入院基本料」引き上げ、人件費ベースアップへ、となっており、引き下げられた加算や管理料等に関しては一言も書かれていない。政府に忖度した情報操作が甚だしい。 実は今回、特に内科開業医にとっては渋い改訂となり、エムスリー(医師専用サイト)の掲示板は荒れている(笑) コロナ禍では発熱外来やワクチン等でお世話になる医師会(開業医)の機嫌をとっていたが、新型コロナがひと段落したので気を遣う

          医療の値段は年々変わります

          一大学勤務医のまったり休日

          好天の日曜日、犬山城へ。(多分初めて?)。 名鉄電車に揺られて木津用水駅で下車。 何も考えずにGoogle Mapの高評価で選んだお寿司屋さんが、非常に美味しくてコスパがよかった!昼間から日本酒も呑む。 そのまま30分歩いて犬山城下町へ向かいます。 犬山城下町をふらっと歩く。 そして国宝犬山城に到着、そのまま天守閣に上りました。 織田信長の叔父、信康が築城、その後城主は転々としながら小牧長久手や関ヶ原の戦いの重要拠点。 現在は国宝5城、現存12天守、日本100名

          一大学勤務医のまったり休日

          これって被災地支援?

          昨日、楽天お買い物マラソンが開催されていた。 2月に父、3月に母の誕生日、とちょうどタイミングがよいので、ふるさと納税で石川県の被災地域に寄付し、返礼品を実家に送り届けてもらうようセットした。 誕生日プレゼント、楽天ポイント、被災地支援と一石三鳥になった。 そんなプレゼントでいいのかって?毎年その場の気分で祝ったり祝わなかったりなので、親も大して期待もしていないので大丈夫。 本来なら見返りを期待しない純粋な寄付がいいんだろうけど、これは普通の家庭ではなかなか続くものじ

          これって被災地支援?

          救急車を有料化した三重県松阪市が今後どうなるか

          非常に興味深いニュースが流れてきた。三重県松阪市は、「救急搬送された後に入院に至らなかった患者」に関して、1人当たり選定療養費7700円を支払うことになったとのこと。この選定療養費が実質的に救急車利用料に当たるようだ。 このニュースをみて、「ついに来たか!」と思った。(良くも悪くも) 有料化に至った理由は「軽症例の搬送が多いこと」とのこと。 確かに基幹病院に勤務している医者は皆同じように思っているだろう。 タクシー代わりに救急車を利用する患者が何と多いことか。 軽症

          救急車を有料化した三重県松阪市が今後どうなるか

          「がん保険は要らない」は本当か、現役大学病院医師が考える

          経済評論家の山崎元氏が食道癌で亡くなった。 亡くなる直前のインタビューがホリエモン氏等のYouTubeに挙げられたばかりであった。 山崎氏は進行した状態で食道癌が見つかった 健康診断は全く受けていなかったとのこと。 そのうえで、やっぱり「がん保険は要らない」と主張している。 山崎氏は入院中は個室で原稿書きをしていたので、贅沢費としての差額ベッド代は必要だった。 しかし医療費そのものは、手術や抗がん剤にいくらお金がかかっても、一定額以上(その人の所得による)は高額医

          「がん保険は要らない」は本当か、現役大学病院医師が考える

          岡田康志氏とホリエモンの対談をみて

          岡田康志氏は灘中高、東大医学部史上最高の天才として有名。 私自身はその神童としての伝説は多く見聞きしたが、医学者としての講演を聴いたことがなかった。 これはよい機会、と思い、今日ヒマだったので一気に見た。 持ち前の頭脳を生かし、ちゃんと医学研究分野で大活躍されていた。 従来観察可能であったものより微小な物質やその動きを見るために、光学顕微鏡をアップデートされた。そしてこれを活用して「実際にミクロの世界をみる」ことによって未知であった様々な生命科学を解明された。 その

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          学会中に頭をよぎる今後の日本の医療費問題

          米国心臓病学会(AHA)で発表・聴講のためフィラデルフィアに来ています。いろんな研究結果が出て、本来医学の進歩を喜ぶべきなんでしょうが、米国に来ると物価の高さと相まって、いつもなぜか暗い気持ちになるのは次のような理由です。 今回の学会で、現在糖尿病のみに保険適応のある「やせ薬」を、糖尿病のない患者に使うと心血管病による死亡が減ることが証明され、「肥満は治せる病気になった」などと称賛されました。長嶋茂雄氏や小渕恵三氏が患った心房細動からの脳梗塞の、高価な新規予防薬 (Xa阻害

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