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岡田康志氏とホリエモンの対談をみて

岡田康志氏は灘中高、東大医学部史上最高の天才として有名。


私自身はその神童としての伝説は多く見聞きしたが、医学者としての講演を聴いたことがなかった。


これはよい機会、と思い、今日ヒマだったので一気に見た。

持ち前の頭脳を生かし、ちゃんと医学研究分野で大活躍されていた。

従来観察可能であったものより微小な物質やその動きを見るために、光学顕微鏡をアップデートされた。そしてこれを活用して「実際にミクロの世界をみる」ことによって未知であった様々な生命科学を解明された。

その一つが「人体が左右を決めるメカニズム」。繊毛の動きを観察することで人体の臓器の左右、例えば心臓が左に造られると決まる瞬間が見られる。

実は内臓逆位という臓器の左右が逆である疾患があり、その合併症とされる繊毛異常からヒントを得た研究であったとのこと。


またAIを用いて急速に進んだタンパクの解析や、20年前に主流だったヒトゲノムの解析からの難病治療への応用など、多彩な話が聴けた。


微妙に文系脳の東大卒二人が絡んできてサイエンスよりフィロソフィー寄りになりかかったところを毅然としてブレずに解説しておられた。


驚いたのは、意外にも凡人に説明するのがうまい!天才と呼ばれる人は他人にものを教えるのが下手(野球でいえば長嶋茂雄)なことが多いと思っていたのだが(笑)

日本では研究者は報われない。

なので、神童と呼ばれ東大理IIIから東大医学部へ進学した天才たちは、米国へ移住して研究者になるか、MBAなど取得してビジネスに走るか、医師免許さえ持っていればできる簡単な仕事(美容、健診・ワクチンバイト)に就く、と噂されている。実際どうなのか知らんけど。

天才であるが故にコミュニケーション能力が不足している人も多く、うっかり開業するとコミュ力だけで生きている多浪多留の三流大卒に負けることも少なくない。結局安定高収入の健診・ワクチンバイトにいそしむことになり、こうしてせっかくの頭脳も宝の持ち腐れとなる。

それだけに史上最高の天才と言われ、そのまま現在活躍されている岡田氏の講演を聴いて安心した


ところで先日、ある中学生が父親に連れられて私の外来(外勤先のクリニック)を受診した。健診でレントゲンを撮ったら「息子さん、内臓が左右逆かも・・・ごにょごにょ」と小声で言われ、かといって精密検査目的に総合病院を紹介される訳でもなく(紹介状を書く自信がなかったのか)、一方的に診察を終えられてしまったので、心配になって来た、と。

レントゲンをとると確かに心臓の陰影が通常の左ではなく中央寄りだが、これは多くの若者に見られる「心臓が立っている」だけの正常所見で、念のためエコーでいくらかの臓器をチェックしたが全く問題なし、CTを撮るまでもなかろう、と帰宅させた。

後に知ったが、この人間の左右すら分からない、文字通り「右も左もわからない」開業医さんは大変商売繁盛している大先生とのこと。本当に庶民は医者を見分ける目がないようだ。

岡田氏のように持ち前の頭脳を生かして内臓逆位のメカニズムを研究して実臨床に活かす研究者より、このトンデモ大繁盛開業医の方がよほどボロ儲けしているのは間違いなく、今後日本は本当に大丈夫なんだろうか?と思う。

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