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行ってきました「情報社会世界サミット大賞」授賞式inチリ!(Part 2 プログラム紹介編)

前回のnoteでは、我々が提供する世界の一次情報の一元化サービスRuleWatcherが今回受賞した「情報社会世界サミット大賞 (World Summit Award (WSA)」のグローバル会合と授賞式が行われたチリについて記した。

今回はそのグローバル会合と授賞式の様子を綴りたい。


情報社会世界サミット大賞(WSA)とは

情報通信が刻一刻と変化する中で、世界では情報を「持つもの」と「持たざるもの」との格差(デジタル格差)が拡大…。その現状に対応するため、国連は情報社会に関する共通ビジョンの確立を目指して「世界情報社会サミット(World Summit on the Information Society(WSIS)」を開催している。

その第1回目は2003年にジュネーブで開かれ、デジタル格差の是正に向けて、言い換えればWSISのゴールやSDGs達成に向けて、WSAが発足した。
現在WSAは、ICTを活用して社会課題に立ち向かうプロジェクトを表彰すると共に、同じ志を持つマルチステークホルダー(開発途上国/先進国の起業家・企業・NGO・政府・専門家等)のコミュニティ形成に重きが置かれている。

舞台に上がった受賞者たち = 世界中から集まった同志たち

各々の課題感、視点の異なる考察をシェアするスピーチタイム

そんなWSAグローバル会合は、チェアパーソンPeter A. BRUCK氏のスピーチで幕を開けた。

彼は言う。2015年、国連事務総長は、我々は間違った道を歩んでいると言った。2023年には、SDGsに関しても後退しているという発言があった。ではどうやってその間違った道から外れられるのか、前進するためにはどのような別のやり方ができるのか。どうテクノロジーを使用して末端の人々にインパクトを与えるかを考えるために始まったWSAは、視点を変えて学び考える場を提供する。

Peter A. BRUCK氏。美しいパタゴニアの写真を背景に。

インパクト投資コンサルタントによるスピーチもあった。彼は言う。新たな技術は2019年以降、大企業からでなくイノベーターから出てきている。そして物事を始めるのも、政府ではなくイノベーターになり、そこに政府が連携するようになってきている。あるアンケートでも、88%のインパクト投資家が、経済的なだけでなく社会面環境面でのリターンがあり、予想以上の結果を得られたと答えていた。次の数十年はインパクト起業家の時代である

大企業にコンサルテーションを行なってきた経験を持つMarcus East氏

ワシントンの博物館で自分のルーツであるアフリカンアメリカンの苦難の歴史に言葉を失った後に見た黒人スキューバダイバーたちに心を奪われ、海に潜り大西洋で難破した奴隷船の発見と記録に取り組むようになった探検家のスピーチには、会場皆の心が揺さぶられた。

彼女はまず皆に目をつむって周りの存在を感じるよう促した——きっと彼女が、無念にも亡くなってしまった人々を海の中で感じているように。
そしてとても穏やかに話し始めた。

印象的だった表現がある。
「My relationship to myself」。

自身のルーツにかかる歴史を探ることは、自分と関わっていくことでもある。「Find history」「Back to memory the historical facts」。記憶、記録されなかった事実を掘り起こすことで、それが歴史の、人類の記憶の一部となっていく。

Tara Roberts氏の記事はこちらのナショナル・ジオグラフィックのページから
読んだり聞いたりできます。

我らがオシンテックCEOも、受賞者代表の1人としてスピーチを行い、現代の多岐に渡る社会課題要因に対応するひとつの手法としての「Tankyu(探究)」を紹介した。子供の好奇心に、本質や真理を探る哲学者の追求心を加えた概念である。人間は今後どうAIを使っていくのかが問われるこの時代、益々重要になってくる人間の知性とも言い換えられるだろう。


大人数で対話する仕掛け:フィッシュボール・セッション

グローバル会合では、大きな会場で壇上の話を聞く以外に、

  • 「気候危機をハッキング」

  • 「社会的結束」

  • 「インパクト・アントレプレナーシップ」

という3つのテーマに分かれての参加型ワークショップやディスカッションも行われた。ここでは筆者が参加した「社会的結束」についてのセッションについて記したい。

まず注目すべきはそのスタイルである。「フィッシュボール(金魚鉢)」と名付けられている大人数でも対話ができるスタイルで、中央の円に座った人々は口を開いて話をし、それを取り囲む人々は話を聞き会話に加わりたい時には中央に移動する(金魚鉢に入る!?)。今回の会場は劇場型であったため、壇上に椅子が置かれ、そこでパネリストがまず話を切り出し、2つの空いている椅子に入れ替わり立ち替わり話をしたい人が客席から移動してくる、という形式であった。
その2つの椅子に座った人々がどう話し出すかも特徴的で、若者、女性に先に話す優先権が与えられている。その両方が席にいた際には司会が「我々は民主的だよね」と言って、どちらに先に話してもらいたいか、客席の皆が手を挙げて多数決で決めるのである。なんという徹底ぶり!

昨年のインターネット・ガバナンス・フォーラムで見た、WSAによるフィッシュボールの説明

「社会的結束」についてはまず、パネリストの1人が行なったスピーチ内容を振り返ることから始まった。ICTを使ってインドの農民をエンパワーする活動をしているOsama Manzar氏は言う。この25年間、デジタルは私たちを社会的結束とは逆の方向に向かわせた。

「Internet kills democracy.」

インターネットに繋がれる人々だけが情報にアクセスがあり、彼らが得た情報のみが、繋がっていない人々に伝わっていく。それが例え信頼できない情報であっても。従ってインターネットにアクセスができないコミュニティを導く門番が必要だ。
これに対して別のパネリストは、門番は検閲にもなりうるので脅威であると返す。そして、インターネットに繋がる人々を如何に誘導していくかが重要との話になる。しかしもし社会的結束を壊すのであれば、デジタルがなくても生活は成り立っていくのだから、デジタルは使わなくてもいいのだとインドの方から発言がある。この発言はなかなか挑発的で、デジタルを取り入れなければ更に社会全体からは取り残されていくのであるから、本来は導入していくべきであると彼が考えているのは明らかである。しかし技術や新しいものばかりに目が奪われ、人間そして社会をないがしろにしては本末転倒であることを、皆に再認識させてくれた。

発言し終わったら席を次の人に譲る。どんどん入れ替わる。

2日間にわたる受賞プロジェクトピッチ

会場に着いた時から参加者の間でよく交わされる会話「あなたのピッチはいつ?」。受賞プロジェクトのピッチのことなのだが、8つの部門ごとに5つ、計40のプロジェクトが受賞しているため、全てを一度に行うことは難しく、3ヶ所に分かれ2日に渡って行われる。ピッチに慣れていない方も多く、この会合に来る以前からオンラインでのメンタリングもあるものの、皆一様に緊張して臨む。我らがオシンテックCEOのピッチ、是非ご覧あれ!

あたたかい授賞式

そして最後の夜は皆思い思いのオシャレをしての授賞式。楽しげな司会の声と音楽、絆を深めた仲間の熱気と声援と拍手が空気を温める中、名前が呼ばれていく。「次はビューティフル・カントリーから来た方々です!」ああ私たちだなとすぐに思った。
日本から到着してすぐだったらそうぴんと来なかったかもしれない。しかしチリで世界中の人々の日本への想いを聞いたり感じたりし、私たちが住む国は少なくともここではビューティフル・カントリーと思われているのだと認識し始めていた。(そして日本の人々は、その自然の美しさや平和への強い思い、本質を見極めようとする姿勢など、本来持っているけれども失われつつある重要な要素を再認識し、取り戻していかなければならないと、強く感じた。)

我らが社長と番頭さんとメンバーの魂が込められたサービスRuleWatcherの受賞。世界から求められていることを強く実感し、これから益々社会、地球に貢献していきたいと気持ちを新たにした!

我らが社長と番頭さん、オシンテックチームメンバーみんなの力、
そして応援して下さる方々全てのお陰で頂いた賞

ではどのようなサービスやプロジェクトが本会議で受賞していたのか、、、次のnoteに続く。


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