推し活総研2024年活動報告『推し活"5つの事実"と"10のインサイト"』
はじめに
推し活総研2024年最後の記事テーマは、
『推し活"5つの事実"と"10のインサイト"』です。
推し活総研は2024年1月に先行調査を公開し、4月に正式始動をしました。
この約1年の間に、推し活について調査・分析を重ねた結果、いくつかのポイントが見えてきたので、総まとめPDF資料を作成中です!
今回はPDF公開に先立ち、1部ポイントをまとめた記事を作成しました。
前提、推し活ってなんだっけ?となった方は、下記記事を読むと、推し活に対する解像度が一段と高まるかと思います。推し活は「一過性の流行」「1部の人がやっていること」ではないことが分かる記事になっています。
まずは、推し活に関する5つの事実から見ていきます。
推し活"5つの事実"をチェック!
推し活事実① 推し活人口は1千万人越え!10代女性は過半数が推し活中
推し活総研が1月に調査したデータによると、
現在の推し活人口は、1千万人以上と推定されます。
さらに、10~20代女性は2~3人に1人、10代後半女性の2人に1人が推し活をしていると回答。その他世代でも推し活をしている人々が一定数いる状況です。
もはや推し活は、1部の人のものではない領域まで来ているのです。
(来年1月には、2回目となる大規模推し活調査を実施予定です!)
この事実からわかる、推し活の事業ポイントは、
同じ推し活層でも、年齢・性別によって異なるアプローチ方法が必要だということです。
特に10代~20代女性の推し活には「可愛い」「SNS」といったものが重要キーワードです。推しを可愛くする・撮影してSNSに掲載するために、カフェで推し活をしたり、可愛いぬいぐるみ服やトレカケースを身に着けたりと、創意工夫の推し活が見られます。
さらに重要なポイントは、若年層の「推し活は当たり前」の感覚を理解することです。
10代女性にとって推しや推し活は、特別な行為ではなく、いつでもそばにある存在です。この感覚を理解することが、推し活の本質理解に繋がります。
推し活事実② 推しの対象はスキの対象と=(イコール)である。
推し活というと、アイドルやアニメファンを思い浮かべるかもしれませんが、実は推し活の定義は広く、上記のような、スポーツ選手応援・文房具・美容など…ジャンル問わず推し活と捉えることができるのです。
つまり、全てのスキ・趣味が推し活に繋がる可能性を秘めています。
「時間やお金をかけている好きなことがある」人の割合は約1/3、潜在推し活層とも言えます。
1部の推し活層だけをターゲットとするのではなく、広い視野を持ったターゲット選定が必須です。
推し活事実③ 推し活=グッズ購入にとどまらない!推し友との交友がキーワード
推し活の1つとしてグッズ購入があげられますが、自分の好きな推しだったら、無条件で何でも買う!というわけではありません。
コラボ商品や、推しに関連した商品を購入したいと答えた割合は、約4割程度ですが、より買いたくなる動線づくりとして、"推し友との交友"が挙げられます。
つまり、推し友と一緒にグッズ購入をして開封式、推し友のためにコラボ商品を代理購入するなど…、ただの商品購入ではなく、推し友と楽しめる推し活として動線設計をすることで、グッズの購買意欲をさらに上昇させることができます。
推し活層から一方的に搾取するのではなく、推し活を楽しんでもらう工夫が必要です。
推し活事実④ 推し活消費は「推し」に限らない。周辺消費がポイント!
推し活消費と聞くと、真っ先にIPグッズの購入や、イベントコンサート出費をイメージするかと思います。
しかし、推し活消費は上記にはとどまらず、むしろその周辺活動への出費が推し活市場を理解するうえで、注目すべきポイントだといえます。
"推し"に会いに行くイベントやコンサート前には、美容室やネイルサロンに行く、洋服を新調するといった動きが見られます。
また、推し友と一緒にカフェやご飯を楽しむことも楽しみの1つです。
その他にも、普段の買い物でも"推し色"や"推し概念"に関連する商品を購入したり、推しの言語を理解するために語学勉強や習い事をしたり。推し活消費は多岐に渡ります。
上記のような、推し活層が当たり前のように「普段やっていること」「楽しんでいること」である関連情報や周辺情報をキャッチアップできているかが、推し活事業を進める上で、とても重要です。
推し活層のカスタマージャーニーを正確に掴むことで、"推し"にだけではない、新たな消費ポイントを見つけることができます。
推し活事実⑤ 先人を見てまねする!推し活はキャズムを越え拡大
コロナ禍を通して、SNSでの推し活発信が活発化したのが契機に、推し活層は急増しています。
新たな「推し活」的楽しみ方を見つけた人がSNSで発信すると、それに続き、真似する人々が続々と出てきました。
例えば、アフタヌーンティーで推しのアクリルスタンドやぬいぐるみと撮影する「ヌン活」×推し活や、トレカケースやうちわを自分好みにデコる「トレカケースデコ」「うちわデコ」、ぬいぐるみを観光スポットやお出かけに連れていき、撮影する「ぬい活」など。
推し活の楽しみ方は、日々目まぐるしいスピードで進化し、SNSを通して拡散されています。
そして、推し活人口は徐々に拡がりを見せ、幅広い年齢層に拡大しています。
注目はシニア層の「シニア推し活」。日本相撲協会からは、お相撲さんの推し活グッズが登場しています。その他にも野球やサッカー、バスケットボールといったスポーツ分野でも、推し活グッズが見られるようになっています。
推し活総研では、今までも度々お伝えしている内容ですが、
推し活は一過性の流行ブームではなく、もはや"日常"であり、"生活の一部"になっていて、推し活人口は今後も拡大していく予想です。
ブームに乗っかろう!ではなく、推し活市場への理解と丁寧なアプローチを中長期的に捉えて実行することが大事です。
推し活総研が分析!推し活層のインサイトとは?
推し活で「自己形成する」「発信する」「つながる」
推し活総研では、上段でお伝えした5つの事実から見えてきた重要インサイトは
「推し活=自己表現」と考えています。
上記アンケート結果を見ても、推し活層の中では、推し活を通して、自分という人間やアイデンティティを形成する様子が見られます。
また、自分の"スキ"を外部に発信し、コミュニティでつながりを持つようになっています。
【企業側が押さえるべきポイント】
・自己表現がしやすい"場所"の提供
→企業として、発信活動をより活発に行えるような環境を作る
・自己表現の"余白"を残す
→企業として、カスタマイズ要素がある体験や企画を提供する
・同じ"スキ"を共有し、共感できる相手に
→企業として、IPを起用する際には、「起用理由」「企業側の想い」を推し活層に届ける
自己表現例①:
こちらの事例では、人用のフォトスポットを用意するのではなく、ぬいぐるみサイズのフォトスポットを用意することで、推し活を通した自己表現の場を提供しています。
自己表現例②:
カバンのぬいぐるみキーホルダー、痛バッグやネイル、アクセサリーを、自身でカスタマイズし、推しを取り入れる様子がSNSで頻繁に発信されます。
自己表現例③:
推し活層は、学校や職場といった、いわゆる"場所"起点でのつながりに加え、推し活コミュニティ上で、同じ"スキ"を共有し、共感し合える相手とのつながりを求めている傾向があります。
企業も例外ではなく、推し活層の"スキ"を共有することで、新たなお客様とつながりを持つことができるといえます。
最後に(所長:多田夏帆)
この一年間、様々なアンケート調査や座談会を通し、推し活をされている方々の社会に与える影響の広がりを強く感じました。
例えば、数年前までは珍しいモノごとと見られることが多かった「痛バッグ」や「本人不在の誕生日会」、「ぬい活」などもこの1年でより一般的になったと感じます。
その需要に気が付いた企業が推し活に関連したサービスや商品を供給し、「推し活」がさらに社会に受け入れられた一年になったと思います。 推し活は今後も、日本社会にさらに浸透し、経済や文化の発展にも寄与していくことでしょう。
私たち総研は、そんな成長をたどる推し活文化がファンにとっても企業にとってもサステナブルに発展することを目指して活動しています。ファンの声を企業に、企業の想いをファンに届け、双方の架け橋となり、双方にとって価値ある関係を築けるよう、引き続き活動を続けてまいります。
これからも推し活の可能性を信じ、一緒に新たな未来を創り上げていきましょう。
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