大﨑 優|CONCENT

デザインマネージャー・サービスデザイナー。株式会社コンセント取締役。デザインマネジメン…

大﨑 優|CONCENT

デザインマネージャー・サービスデザイナー。株式会社コンセント取締役。デザインマネジメント・事業開発・ブランディング等の支援に従事。HCD-Net評議委員。Xデザイン学校講師。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。名古屋市出身。https://www.concentinc.jp/

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デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

デザイナーは、利益を生み出すプロフィットセンターなのか。もしくは、収益に貢献しないコストセンターなのか。 デザイナー個人にとっても、デザイン組織にとっても、重要な問いです。 プロフィットセンターとコストセンターデザイナーが売上や利益に対する責任を持ち、定量的な数字目標を掲げている。自身の評価にも数字が絡んでくる。これは、プロフィットセンターとしてデザイナーが活動しているケースです。 事業会社のデザイナーであれば、営業など他部署と同じ目線とリスク感覚で成長を目指しているよ

    • デザインは自己表現か。人と組織と社会から考える

      デザインは自己表現ではない、という指摘があります。 デザイナーは依頼された仕事を自分の作品のように扱う、という批難もあります。 私は一部に賛同しつつも、自己表現や作品という言葉が抽象的であるがゆえに誤解を生みやすく、危険をはらんだものだとも考えています。 ( ※ 本記事で表記する「デザイナー」はビジュアルデザインなどの造形分野のデザイナーだけでなく、UXデザインやサービスデザインなど広い分野のデザイナーも含めたものとしています。) デザインは自己表現ではないと過剰に意

      • デザインのキャリアのために、アサインをどう活かすか

        デザイナーは実力の生き物。だから、一つひとつのプロジェクトで経験を重ね、なんとかなんとか実力を積み上げないと生きていけない。 今回のテーマは、キャリア形成を効果的に進めるためには、プロジェクトにどうアサインされたら良いか。 実のところ、自分のキャリアのためには、アサインされるのではなく、アサインする側になるのが一番。やっぱりそうです。成長機会を自分で作りコントロールできるから。 それはそうですが、今回はそうなる前の「アサインされる」ことを念頭に進めていきます。アサインに

        • デザイン組織の最高のアサイン

          成り行きまかせのアサインに落ち、時に成果を傷つけていないか。プロジェクト要件を想いやり、メンバーの胸に突き刺さるアサインができているか。 どのプロジェクトにどのメンバーを割り当てるか。今回のテーマは、デザインプロジェクトのアサイン。組織から見た優れたアサインのしくみはどんなものか。個人のキャリア形成に優位なアサインはどんなものか。組織と個人の両面で、記事を2回に分けて考えていきます。 今回は組織の視点からです。アサインの理想に触れることで、デザイン組織の成長とは何なのか、

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        デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

          ヒアリングを超えていく、デザインの初期対応

          ヒアリングに行くのではない。最初から価値を与えること。これは、プロジェクトの初期対応でデザイナーが取るべき基本的な態度です。 今回のテーマは、デザインの初期対応。その効果的な動き方を紹介します。 デザインプロジェクトのスタートは、他者から依頼を受ける場合と、デザイナー側から提案を始める場合の2つのパターンがありますが、今回はそのうちの「デザイナーが依頼を受けるパターン」について。 初期対応の時点で、デザインの成果の半分は決まってしまいます。それくらい重要なものですが、な

          ヒアリングを超えていく、デザインの初期対応

          「新卒1年目デザイナー」だった20年前の行動と感情

          5月。新入社員はいろいろと思いを巡らせる季節です。それに合わせてか、自分の新卒1年目のことを記事にする方もいらっしゃいます。 私も見習って当時のことを書いてみようと思います。昔は良かったとか悪かったとか。そんな目を向けるのではなく、少しでも今の気づきになるように。 最初に言いますと、私が新卒1年目で行ったことの6割は、電話の取次ぎ、画像のスキャンや切り抜き、色調補正などの雑用。4割は雑誌の定型レイアウトです。地味な仕事に見えますが、それでも重要な1年を過ごしたと感じていま

          「新卒1年目デザイナー」だった20年前の行動と感情

          デザインの言語化と、その落とし穴

          会話のテンポが速くなっている。 デザインの現場を20年。自分自身や周りを見わたして、ふと思ったことです。 昔はもっとゆっくりしていました。単純に話すスピードもありますが、会話に「間」が少なくなったことも大きい。そう思います。 例えば15年前。私はアートディレクターでした。その時の会話は10秒くらい黙ったり、ゆっくり考えながら言葉を探し、時には言葉を撤回し、言い直し、なんとかなんとか喋っていました。 会話能力が低かったということではありません。言葉にならないものをじっく

          デザインの言語化と、その落とし穴

          損益分岐点から眺める デザインの風景

          デザイン会社コンセントでは、デザイン業務に対して「生産性」の指標を取り入れています。 「生産性」は、デザインプロジェクトごとの利益率を表す指標。売上に対するコストの比率を指標化したもので、プロジェクトメンバーはその「生産性」を意識しながらデザインワークを進めています。 コンセントは、2019年から「生産性」を全社に取り入れ、業績を改善することができました。以後、安定的な成長を続けています。 今回は、コンセントの「生産性」活動について。加えて、デザイナーが自律的に損益分岐

          損益分岐点から眺める デザインの風景

          デザイナーは自分の学びを設計する

          知るべきことが多くて多くて、学べ学べとあせっていても、混乱極まり手につかない。 こんな状況、デザイナーなら誰しも身に覚えがあるのではないかと思います。もしくは若い読者ならこれから訪れる試練なのかもしれません。 技術が、社会が、デザインが。変化しつづけるその先端で、デザイナーは学びを重ね、成果を出し続けなければいけない。変化するのは自分自身も。年齢もポジションも状況も。今後のキャリアを考える中で、目の前のことをやっているだけでは手詰まりになってしまう。 学ぶことが多すぎて

          デザイナーは自分の学びを設計する

          デザイナーは「営業」をどう考えるか

          「営業」という言葉が好きなデザイナーは少ない。 ひとつは単純な誤解です。「営業さん」はビジネススーツを身にまとい、お客様に頭を下げて何かを売る人。デザイナーは何かをつくり出す一方、「営業さん」は何もつくらない。そんな、古典的かつステレオタイプな「営業さん」像にまどわされて、本質が身に入ってこない。興味がわかない。自分とは関係ないものだと思ってしまう。 デザイナーからは「私は人見知りなので、営業みたいなことはできない」とキッパリと言われたこともあります。「数字が苦手だからデ

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          デザインと、価格と、キャリアの話

          「デザイナー35歳定年説」というものがありました。 35歳になったらデザインをやめて別の仕事をするという話です。若い自分は恐ろしげに感じましたし、逆に「一生、手を動かしてものづくりをするんだ」と奮起したものでした。 似た話は今でも続いているらしく、業界の都市伝説としてひたひたと続いているようです。30代になったらライフステージや体力面から難しくなったり、感覚が市場と合わなくなる人が出てくるのは漠然とイメージできる。30代になったら、ディレクターやプロデューサーと言った川上

          デザインと、価格と、キャリアの話

          Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

          先日、私が講師を担当しているXデザイン学校リーダーコース、2023年度のプログラムが終了しました。今回は、私が受け持った講座を振り返りと、今の時代に必要なデザインリーダーの学びについて書いていこうと思います。 Xデザイン学校リーダーコースとはXデザイン学校は、UXデザイン・サービスデザイン・デザインリサーチ・デザインマネジメント等を対象にした社会人の学校。社会を良くするための広範なデザインの学びと、それを研究する楽しさを追求できる場です。私は2017年からアドバイザー・講師

          Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

          心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

          デザインの仕事で生き抜くためには、人格なんか変えてやる。40代、氷河期世代の私はそう思ってきました。 自信なくボソボソ話すから信頼されない。それを変えてきた若手時代。 冷静だけど淡々としていて面白くない。それを調整してきた中堅時代。 偉そうで皆に物を言わせない。そうならないように踏ん張る今の時代。 今回のテーマは、デザイナーの人格。成果のために人格を見つめてきた記録です。人格と言うとちょっと大げさですが、言ってみればキャラクター。仕事のキャラクターを調整しても、本来の

          心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

          デザイナーの「へこまない」話法

          へこむ。くやしい。自分が情けない。 「デザイナーは感受性が高いので傷つきやすい」なんて言う人もいる。それが正しいかは脇に置いて、私もへこんだことは何度もあります。 今回は、自分がへこみ続けてきた経験から、デザイナーの自衛の策である「へこまない話法」を考えていきたいと思います。デザインに関わる若い方に届いてほしい。そんな遠い目をしながら。書いてみます。 「一方的に言われる構図」に熟練するまずはじめに、デザイナーは被弾する。前からも横からも撃たれる。意見を浴びせられる。そん

          デザイナーの「へこまない」話法

          成長のために「デザイン中毒」を手なづける

          デザインの作業は楽しい。あっという間に過ぎていく。1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年。そして、10年がいつの間にか過ぎている。 私のキャリアの最初の約10年は、ビジュアルコミュニケーションのデザイナーでした。その10年間ずっと、時間を忘れる「フロー状態」にあったように思います。 楽しかったのと同時に、時間の使い方としては後悔もしています。約10年間、目の前のデザインの仕事だけに没頭したので、30歳をすぎてもいわゆる「ビジネス」の知識や感覚に乏しかった。目の前のデザインのみ

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          効果的なデザインアウトプットの説明方法

          デザイナーが、依頼者にデザインアウトプットの説明をする。毎日のようにある光景です。 ただその際に、アウトプットの質は高いのに説明が上手くいかず、意思決定が良からぬ方向に行ってしまう。依頼者もデザイナーも損をしてしまう。そのようなケースがあります。 これは各所で起こっており、社会全体のデザインの価値を下げているのではないか。説明技術を底上げし、世の中のデザインをもっと魅力的にできないか。そのような勝手な思いから、効果的なデザインアウトプットの説明方法について書いていこうと思

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