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【蔵探訪】 #5 大石酒造 (本格焼酎)

こんにちは。
お酒が大好きで、霧島に転勤してからというもの、本格焼酎の面白さにどんどんとハマってしまった星野リゾート社員のはしもとです。

今回の”蔵探訪”は先日の”焼酎ストリート2024"のイベントでお会いした大石酒造さんについて綴らせていただきます!
大石酒造さんの鶴見は愛飲している焼酎の1つでしたので嬉しい!!!
それもこれも焼酎ストリートのイベントあってこそのご縁!ありがとうございます!

11月2,3日 鹿児島で開催された焼酎ストリート2024

大石酒造

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#5
酒造:大石酒造
地域:鹿児島県阿久根市
創業:1899年
代表銘柄:鶴見(芋焼酎)
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大石酒造蔵見学!

焼酎ストリートでお会いした大石恭介さんにご挨拶させていただき、中に入る前に早速外でお芋発見!
白っぽい芋ではない、オレンジ芋の”ハマコマチ”とのこと。
基本的に全国的に流通されている芋焼酎の9割以上は黄金千貫という白色系のさつまいもなので、色付きのさつまいもを見るのが珍しい!

ハマコマチ 断面がオレンジ色

そういえば福岡や都内で見かける焼酎の中でオシャレデザインの”橙華”という芋焼酎があることを思い出しました!好きな芋焼酎です!

中央のオレンジのラベルと女性のラベルが橙華

しかも今回その橙華の醪があると!
あまりユニークな芋の醪を見たこと嗅いだことがなかったので大興奮!
実際に嗅いでみるとやっぱり香りが全然違う!人参とかアールグレイとかの香りを強く感じました。

ハマコマチを使った二次醪

大石酒造さんの創業年度としては1899年。
ただ、この年に酒造免許を取ったものであり、実はそれよりも前から焼酎を作っていました。実は焼酎というのが日本酒などと違い、味噌や醤油と同じように、各家庭で造られていた背景があります。
庶民に愛されていたお酒という側面があるのはこういった歴史からのもの。
この年あたりに焼酎に日本酒と同じように酒税がかかり、酒造会社がつくられてきました。

また、阿久根で造られる焼酎は昔から人気があり
江戸時代に”阿久根の焼酎”と”国分の煙草”というのがブランド化されており、当時の都(江戸)で阿久根の焼酎が愛されていたようです。
初耳でした!焼酎好きからしたらそういう歴史を知って飲む阿久根の焼酎はたまらん!

麹造り

主原料が芋の芋焼酎とはいえど、まずは”米麹”からつくります。
米麹は2日間かけてつくります。
まず1日目は回転ドラムを使用。

回転ドラム

この機械で米に水分を含ませ、その後蒸していきます。
蒸したお米に麹菌を振って、全体に麹菌がつくように回転させていきます。

蒸した米に麹菌をかけて1日ほど製麹していく

2日目はこの米麹を三角棚に移して更に発酵を促します。

三角棚:2日目に米麹を発酵させていくもの

メッシュ状の床に移した米を敷いて風の通りもつくりながら温度管理をして狙い通りの米麹に仕上げていく。
ここの温度管理のところが、とっても面白いんです!
麹菌には大きく3種類”黒”、”白”、”黄”とありますが、それぞれの麹菌によって”何時に”、”何度”、というのが細かく決まっており、乳感と温度帯を変えている
あくまで菌という微生物の活動にここのところ、まだまだわからないところだから、重点的に今後勉強していきたい!

一次醪

できた米麹と水、酵母で一次醪をつくっていきます。

石造りの一次醪の空間

一次醪は甕で発酵させていきます。
1日目と2日目では硬さが全然違う!
水にどんどん溶け出していくのはもちろん、麹の酵素の力ででんぷんが糖に変わって、同時に糖が酵母の力でアルコール発酵しているからのだろう!(並行複発酵)

4日目
めちゃめちゃ柔らかい
1日目
まだまだ硬く、櫂棒が入らない!
櫂棒:かき混ぜるための木の棒

さつまいもと二次醪

この一次醪を1週間弱発酵させてから、主原料のさつまいもを入れていきます。
大石酒造さんで基本的に多く使われる芋は、白豊芋(しろゆたかいも)という白色のさつまいも。

白豊の醪
白色の芋なだけに白い

実はこのお芋はでんぷん原料用のさつまいもです。
阿久根という土地が昔からでんぷん加工の産地でもあり、周辺で作られている芋のほとんどがでんぷん用のさつまいもであり、大石酒造さんもその芋を使って芋焼酎を造られていたようです。

蒸留

二次醪を10日ほど発酵させて蒸留していきます。
大石酒造さんには蒸留機が2つあり、1つは大きな一般的な蒸留機。
もう1つが5代目手作りの兜釜蒸留器!
めちゃめちゃ見たかったもの!!!
二つ蒸留器を使い分けて焼酎を仕上げていきます。

元エンジニアの5代目お手製

大石さんの経歴

大石酒造は、今回ご案内いただいた大石恭介さんのご実家ではなく、奥様のご実家とのことで、恭介さんは約3年前から働いているらしいです。
では大石さんは元々何をされていたのか?
なんと、焼酎蔵で働いていたわけではなく、大学から大学院、その後もずっと理系の研究職についていたとのこと!
しかも大学院を卒業されてから10年間デンマークで研究員をされていたようで、大石さんの経歴の話だけでまず面白い!
10年経ち、日本へ帰国することが決まった際に、お子様が過ごしやすいよう都会ではなく田舎を選び、奥様のご実家である阿久根の大石酒造に勤めることに。

Hi-Five

そんな経歴、特異な背景のある大石さんが作るお酒も面白い角度のものあります。
その一つが”Hi-Five オーガニック焼酎(有機JAS認証)2023"

Hi-Five
高品質(High quality)な5つの原料を使用している芋焼酎

有機の芋、有機の米で造られた芋焼酎。有機JASマークが付いている芋焼酎は恐らくこの芋焼酎が初めて!
芋:有機ベニハルカ
米:有機米コシヒカリ一等米
本来なら通常芋の10倍高い!有機の食用のベニハルカを栽培している農家さんから、規格外のものをいただいて生産されたナチュールの芋焼酎です。
デンマークでは有機の食材が生活に馴染みのものであり、焼酎造りにおいても有機の芋でつくりたいという想いから造られたもの。
香ってみると、今まで飲んできた紅芋の中でも華やかで甘い!大石さんの優しさを感じる美味しさを感じます。
ナチュールの働きが大きくなっている現在、海外輸出も見越しての生産とのことでしたが、是非注目されて欲しいし、実際にほぼ売り切れ状態でとても人気なよう!!

今の社長が5代目で、40年前までは1ラベルのみ”鶴見”だけだったのを、5代目から少しずつ焼酎を増やしていき、今では色々な切り口でつくられ、何十種類もの焼酎があります。
現在はリキュールやスピリッツの免許も取られたとのことなので、今後も面白いお酒をつくりそうです!必見です!!!

試飲もたくさんさせていただきありがとうございました‼︎

阿久根の紹介

大石酒造のある阿久根市は鹿児島県の左上、熊本県の県境とも言える場所にあります。(霧島からは大体2時間)
鹿児島全体にも言えることですが、阿久根はその中でも食の宝庫だなと感じています。
特に好きなのが阿久根のウニ、初めて阿久根に来た時に食べたウニ丼のボリュームと美味しさに、衝撃を受けたのを覚えています。

@潮騒
ウニの時期が決まってるので注意

あとは西海岸ということもあり、夕陽が格別に綺麗に見られるところです。
特に脇本海浜の夕陽がおすすめ!

脇本海浜の夕日
ここに星野リゾートの施設がほしい!

おみやげにはイワシビルがおすすめ!

イワシビル
阿久根の佳いものが集まるお土産屋さん

最後に

大石さんの優しさと、阿久根の自然に癒された蔵見学となりました!
改めて、鹿児島は東西南北の全方位で魅力的な町、文化、地酒があるなととても感じます!

鹿児島に来た際は是非とも阿久根にも足を運んで欲しいです!!!
阿久根は界 霧島とOMO5熊本の間あたりなので、転泊される際は是非立ち寄ってみてください!


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