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「普通に読める文章」を書くこと

今の時代はとにかく情報の鮮度ばかりが優先されていて、無数の「書き手」があふれる世の中になりました。
ただそれと同時に、ニュースサイト等で「読みにくい文章」が世にあふれるようになったとも感じています。

ライターは「日本語を書ければ名乗れる職業」であるのは事実です。
ですが、そこに「プロ」と「そうでない方」の線引きは確実に存在します。

今回は、「普通に読める文章」に詰まったプロの技術を「一段落」・「一文」・「一単語」の3つの視点からご紹介します。

<一段落>構成順の工夫を知る

伝えたいテーマ・エピソードを「どの順番で伝えるか」は、読者の印象に大きな影響を与えます。

例えば、シンプルに時系列で伝えると、淡々とした印象になりやすいので、状況を正しく説明するのに効果的です。

逆に、「現在」を書きながら、途中で回想シーンに入って「過去」に戻り、「現在」に戻るといった時系列の場合。これは、現在と過去の対比がより明確になるので、情景がドラマチックに見えてきます。

構成順を工夫することは、読者をどのような心情にしたいのかを考えること。つまり、読者の集中力を高めていく工夫といえます。


<一文>修飾語と被修飾語の関係性を見る

読みやすい文章を書く上で一番難しいと思うのが、「修飾語と被修飾語」の関係性です。
会話だと声の抑揚で表現できますが、文章の場合、この関係性が明確でないと、読解に時間がかかり、頭を使ってしまう文章になります。

例文を作ってみましたので、見てみましょう。

【原文】
特に、こだわりがすごい○○さんが作る料理の中でも、ビーフシチューが美味い。

という文章があった場合、「特に」という言葉は
・「こだわりのすごさ」にかかっているのか
・「ビーフシチューの美味さ」にかかっているのか
不明瞭な文章になっています。
これをはっきりするには、

【「こだわりのすごさ」にかかる場合】
こだわりが特にすごい○○さんが作る料理の中でも、ビーフシチューが美味い。
【「ビーフシチューの美味さ」にかかる場合】
こだわりがすごい○○さんが作る料理の中でも、特にビーフシチューが美味い。

と修飾したい語句の直近に持ってきてあげることで明確になります。

「どういう順番で単語を置くと、一発で内容を理解してもらえるか」。
単語を上手に並び替える能力も、ライターとしては必要なスキルです。


<一単語>ひらがなと漢字の使い分けに注目する

媒体での決まりがない限り、ライターは普通、ひらがなと漢字を使い分けています。普段何気なく変換してしまう文字も、ひらがなで表現することで柔らかさを出したり、読みやすくなったりするものです。

例えば、

2020年の目標は、様々な場所に赴いて、色んな人に出会うことです。
2020年の目標は、さまざまな場所に赴いて、いろんな人に出会うことです。

という文章だと、下の文章の方が読みやすいと思いませんか?

文章は読みものとはいえ、「読みたくなるか」の第一印象は視覚です
そのため、漢字を使うか、ひらがなを使うか、カタカナを使うか、ライターは「文章全体のバランス」を見るスキルも求められます。

一単語の漢字一つをとっても、ライターのこだわりがあるということを気にしながら読んでみると、文章の違った面白さが見えてくるのではないでしょうか。

まとめ

ライターが書く「文章」は、
・一段落では「読者の集中力」
一文では「文章の理解しやすさ」
一単語では「言葉の持つイメージ」
を意識したテクニックが細やかにちりばめられています。

だからこそ「普通に読める文章」には価値があり、誰にでも書ける文章ではないといえるのです。

日本語を扱える誰もが文章を書けるだけに、絵のデザインと違って、これらのすごさは伝わりにくいものです。
文章を学ぶ必要性が、こういったことから少しでも伝われば幸いです。

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