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立ち止まって見えたもの

by 三原美奈子

肩の荷がすっと下りた

2021年がはじまり、ひと月がたちました。

2020年の年始、私は「今年は忙しくなるぞ!」と覚悟を決めていました。
フリーランスになって10年目。ありがたいことに年々忙しさが増し、加えて2020年は所属するパッケージデザイン協会の60周年でイベントも盛り沢山。パッケージデザイナーグループ「パケクション」の巡回展も数カ所決まっていました。個人的に旅にも出たい!去年行ったクロアチアがとても良かったので、今年はセルビアかスロベニア、もしくはバルト三国あたりがいいな…と、慌ただしく特別な1年になるはずでした。

それらは全て無くなりました。
その瞬間は落胆もしましたが、実は、肩の荷がすっと下りた気がしたのです。

ずっとスケジュールに追われてるうちに、何か大切なものを疎かにしてるような。自分に向き合う時間や、クリエイティビティを研ぎ澄ます時間は取れているのか。50代に入り、体力も集中力も上手に使わないとすぐガタが来ると思いつつ、日々走り続けていました。

そんな長距離走に急ブレーキがかかり、不安を抱えつつ模索していた時期に印象的な出来事があったのです。

緊急事態宣言中の2020年4月下旬に、パッケージデザイン協会でオンライン情報交換会を開催しました。現状や持続化補助金について、会員同士で気軽に話しましょうという会でした。

その会に、なんと鹿児島県の離島在住のデザイナーさんが参加してくださったのです。

「ずっとこんな機会を待っていました!」と。

目から鱗が落ちました。

私は同協会の西日本担当理事で、これまで年間3〜4本の勉強会を企画運営してきました。クリエイターも企業の方も興味を持ちそうな企画を、委員会のメンバーで考え、開催してきたのです。しかし、そこに地域の方も参加できる方法など考えたこともありませんでした。ずっと眼中になかったのです。同じ会費を支払っておられるにもかかわらず。

気づいたからには、もう戻れません。
一人でも多くの方に届けるにはオンラインがいい。リアルが無理な場合の対案ではなく、オンラインを主軸に考えるようになりました。

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以前、対面で開校していた「大阪パッケージアカデミー」も、オンラインなら全国の人に参加してもらえるのではと、急遽準備をしてSNSで募集したところ、なんと3、4日で定員に達しました。これには運営会社も講師一同も嬉しい悲鳴でした。今では北海道から沖縄まで、全国の皆さんにオンライン授業を受けてもらっています。

忙しくて無理だったこと
遠くて諦めてたこと

オンラインという選択肢ができて新しい可能性が拓け、積み残していたものに目を向けることができた一年。無類の旅好きとして気軽に移動できないことは残念ですが、余韻に浸ることはできます。これまで無事に旅してこれたことがありがたく、写真や現地のパッケージを眺めて、スルメのように噛み締める。これも走り続けていてはできない楽しみです。

この記事のトップ画像は以前旅したウラジオストク港、私のZOOM背景です。2枚目はクロアチア・ザグレブ市街、3枚目はジョージア・トビリシ中央駅と、余韻に浸ってみました。

2021年はどんな年になるのでしょう。健康に最大限に留意しつつ、ニューノーマルな時代の新しい仕掛けを考えていきたいと思います。


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三原美奈子デザイン
三原美奈子
パッケージデザイナー
公益社団法人日本パッケージデザイン協会理事
Twitter @tabiazarasi で日々パッケージについてつぶやいています。
【パケクション展覧会】「New Normal やってみた展」開催!
2021年3月23日(火)〜28日(日)@江之子島文化芸術創造センター
オンライン配信あり
https://pakection.com/

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