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#48-2 農業体験が広がるには?

前回の記事にて、農業体験に参加したい人と実際に参加した人の割合の乖離が大きいことがわかりました。

なぜそういった状態になっているのかを考えていきます。

今回は、○○農業公園での収穫体験といったものではなく、個人の生産者が実施されている農業体験をメインに考えます。

なぜ参加しないのか?

購買行動モデルとしてAISASという考え方が使われます。

  • Attention(認知):広告やSNSで商品(サービス)を知ってもらう

  • Interest(関心):商品の魅力を伝え、関心を持ってもらう

  • Search(検索):商品の情報をインターネットで検索してもらう

  • Action(行動):購買を促し、行動に移してもらう

  • Share(共有):SNSや口コミサイトでシェアしてもらう

農業体験の関心と実際の参加が乖離する理由をこの観点で考えてみます。

農業体験に参加しない理由(令和2年 食生活及び農林漁業体験に関する調査)

多くの方が、参加しない理由として挙げたのは「参加する方法がわからないから」です。

つまり、AISASのAttention(認知)が届いていないことが乖離の大きな原因と思われます。

ではどうして参加する方法がわからないのでしょうか。

検索方法が合致しない

農業体験に参加したい人は、まずはGoogle先生に「農業体験 ○○(地域名)」といった形で入力するのだと思います。
すると次のような結果が出てきます。

「農業体験 大阪」での検索結果

そして、この先をみていくと
多くが「○○農業公園」といった大型農業施設の内容が出てきます。

そして一部が個人生産者の「○○体験」ですが、たいてい「受付期間外」であったり「リクエスト予約」であったりと中々巡り会えません。。。

なぜか。

こういったサイトには掲載料やマッチング手数料がかかります。

後半にも記載しますが、生産者の大半は体験で収益を上げるわけではないので、サイトに掲載する生産者は一部に限定されます。

では、どう検索するのか

私のこれまでの農業体験イベントの認知手段は次のとおりです。

1位:SNS(Instagram、Facebook)で生産者(主催者)が発信している

2位:SNSで主催者以外がシェアしている

3位:生産者からの紹介や直接の声掛け

←ここに大きな壁→

4位:プラットフォームでの検索(農泊netなど)

5位:googleなどでの検索(「大阪府 農業体験」etc)→HP閲覧

たいていの農業体験はSNS経由で認知しています。

生産者サイドからしてもSNSは、「無料」「手軽」「少しでも関わりや関心のある人が来てもらえる」「拡散力がある」ため活用しやすいです。

つまり、全く生産者と繋がりがない人は、SNSでどうにかして見つけるところが大きなハードルになります。

参加に踏み込みにくい

うまく、農業体験の情報を掴めたとしても、内容の詳細が載っていないので躊躇してしまうことも多いです。
(Searchの部分で断念するケースです)

参加する側は
①この生産者はどんな人だろうか(気難しい人ではないだろうか)
②子供を連れて行ってもいいのだろうか
③実際にどんな作業をするのだろうか
④やり方がわからないけれど教えてもらえるのだろうか
⑤一見でも参加していいのだろうか

などなど、気になる部分がたくさんあります。

そこでこれらを調べようと農園のホームページやSNS投稿を探しますが、判断できる材料が見つからないこともよくあります。

生産者側の事情

生産者が農業体験イベントを開催する目的としては
①参加者と交流して農園のファンを作る、その時間を楽しむ
②人手のいる作業を手伝ってもらうことで作業がはかどる
③体験で収益を上げる
といったことが挙げられますが、③を目的としている人はごく少数だと思います。

③を目的とするには多くの人に来てもらう必要があり、そのための駐車スペースやトイレ、手洗い、といった環境整備が難しいからです。

また2~3人で対応されている生産者が大半ですので、人が来すぎても対応しきれないといった事情もあります。

どうすればいいのか?

体験に参加したい人が取るとよい行動

認知の方法
①Instagramで #農業体験 、#農業体験イベント などと検索して探す。

②農泊ネットなど行政や外郭団体がしているページから探す。

そして、体験に参加した際に、現地で会った生産者に
「他にもこういう体験参加したいのですが、どなたかされている方知りませんか?」と聞く。

地道ですがこの方法がいいと思います。

体験に来てほしい生産者がすること

一方で体験参加者を増やしたい生産者は次のことを気を付けるのがよいです。

  • SNS募集の際に#農業体験 など検索者がヒットしやすいようにする

  • 自分の顔写真(笑顔とか)をHPかSNSに掲載

  • 過去の体験の雰囲気を発信する、可能であれば過去の参加者の声を載せる

  • どんな体験内容か具体的に詳細を記載(×農作業→○芋の引き抜き、トマトの植え付け)

  • 初めての方がOKなのか

  • 子連れがOKなのか

  • アクセスは車でもいいのか

  • 申し込みはDMよりもGoogleフォームなど入力フォームにする

などなどです。

・農業界は「気難しいおじさん」がやっているイメージがやはり多いので、そうじゃないことを伝えること、

・初対面の人にDM等で質問するのはハードルが高いのでなるべく不明点はないようにすること

・DMはハードルが高いのでフォーム入力にすること
これらを意識するのが親切だと思います。

素敵な生産者に1人巡り合うことができれば、そこからの紹介で輪が広がっていくと思います。
ぜひ第一歩を踏み出してみてください(^^

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