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映画「アフターサン」感想 父娘×バカンス×ラストの暗闇

正直よく分からなかった。父娘のバカンスが映されているだけであり、物語が大きく動くことはない。父の闇の部分も不完全だし、娘の気持ちも思うほど分からないから、え?ここで終わり感が半端ではない。父親が抱えていた闇は何だったのか?何者にもなれなかった的な想いなのか。謎をもっと突っ込んでほしかった。

確かに、雰囲気と少数のヒントから登場人物の人生をイメージするのは、作品の醍醐味ではある。想像力がかきたてられるからだ。とはいえ、物語に起承転結がないと中々に難しい。わたしとしては、もっと強い転の物語が欲しかった。二人のバカンスをただ眺めていて、あまり没入感はない。また、子供の頃の家族旅行は思い出すことはできたが。

印象的だったのは、ラストの、父親カラムが娘のソフィーを見送ってから、空港の外に出るシーンだ。真っ暗な部屋に向かうのだが、空港でいきなり真っ黒になる部屋があるとは思えない。カラムのその後の人生、おそらく割とすぐに亡くなったのだろう。成長したソフィーがビデオカメラを見返すシーンもあり、物語の中でもそのようなことが暗ににおわせている。

ちなみに、カラムのラストシーンで、ビデオカメラを丁寧にしまうのが、物語を閉めているようで、また、彼の人生を象徴しているようで、後で怖くなった。

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