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ひとは何にお金を払っているのか?サービスサイエンス#1

 2024年4月から福井県立大学院の社会福祉学科へ入学し、社会福祉を学び始めました。社会福祉の仕組みや制度、歴史をよくわからないままオレンジで働いてきたので、「社会福祉・医療人類学」の学びは、現場に直結していて、いつも講義は前のめりの姿勢でいます。振り返ると8年前に大学に入学してから、目まぐるしく変化していました笑

 2016:化学を学ぶ→2019:人類学に出会う
→2021:医療法人オレンジへ入職→2022:知識科学・人類学を学ぶ@JAIST
→2024:社会福祉・医療人類学を学ぶ@福井県立大学

(詳しくは↓の2つをお読みいただけたら)

 この記事では、知識科学領域の講義で学んだことをまとめながら、オレンジで取り組んでいることと重ねてみたいと思います。

知識科学は,従来の文系・理系といった,伝統的な学問分野の区分けにとらわれない, 複数分野を横断する学際的学問分野です.
複雑・混迷をきわめる現代社会において,単一の学問分野だけで対処可能な課題は,すでにほとんどありません.
たとえば,環境問題.その解決には,自然科学の知識はもちろん,経済学などの社会科学的な知識も当然必要です.
たとえば,プロダクトデザイン.発想力,ものづくり力,そしてマーケティングの能力など,多岐にわたる能力が必要です.

https://note.com/orngmkondo/n/n0938858db622

オレンジの事業の多くは、サービス業を生業にしています。

外来・訪問診療      医療サービス
施設(医ケア児・お年寄り) 福祉サービス
カフェ          飲食サービス
みんなの保健室      ???

オレンジが暮らしのニーズベースで取り組んでいる地域医療ではどのようなサービスを提供しているのか?ニーズに対して、どのような便益を提供しているのか?

「サービスサイエンス」という視点から考えていく。サービスという捉えにくいものを少しだけ、捉え方を変えることで新しい発想ができそうだと思い、noteにまとめることにしました。

世の中の大きな流れ

↑の図について少し⏬で紹介しています。

 18cの産業革命で工業が発展した、いわゆる「ものづくり」の時代ののち、情報通信技術の発達と共に、情報・知識の時代、「サービス業」の割合が増えてきています。もともとPCを製造していた企業が今では、システム開発やソリューション提案にも手を広げているのもその流れだと思います。

ひとは何にお金を払っているのか?


例えば、人は車の何にお金を払っているのか?

これを考える上で2つの見方があります。

①グッズ・ドミナント・ロジック(Goods-Dominant-Logic/GDL)

 モノを中心とした(従来の)経済活動の考え方。モノとサービスは分けて考える。ものづくりの時代では、「製品に全ての価値を入れました。あとは勝手に使ってください」。貨幣と価値交換が行われるという考え方をする。この考え方では、モノ=有形 サービス=無形という分類が行われる。モノに事前設計された価値を詰め込まれ、消費者はその価値を消費する。(その結果、過剰品質:実際に消費者が必要・活用できる範囲以上の価値も詰め込んだ製品が生まれていった)

Q:人は車の何にお金を払っているのか?
→ガソリンを入れて、アクセルを踏むことでタイヤが駆動し移動するという便益に対してお金を払っている。

②サービス・ドミナント・ロジック(Service-Dominant-Logic/SDL)

 サービスを中心とした経済活動の考え方。モノも顧客に対しサービスを提供しているという考え方。たとえ、モノが取引されていても裏には情報が動いていて、仕事が動いている。モノではなく情報を動かす時代だから現代にはSDLで考えた方がしっくりくることが多い。SDLでは、モノを含む、全ての取引はサービスとして捉え、受け手がその価値を感じて初めてサービス(製品も)を購入しようとする。
(製品に価値を入れて終わりではない/GDL)

Q:人は車の何にお金を払っているのか?
→雨の日にも快適に移動できる(service)という便益に対してお金を払っている。
(とするなら)
→快適に移動できるためには、電気自動車だとより静かでいいよね。そもそも所有しなくて、カーシェア・タクシーで良くない?と発展していく。

SDLで見ると何がいいか?

 モノもサービスを販売するappliance(機器,goodsと分けるため)として捉える。何らかのサービスを販売するapplianceとして捉えてみると、目の前の人だけではなく、世界中の人も巻き込んだサービスを作ることができる。

例えばユニセフは「社会課題」と紐づけたファンキーな自販機を作りました。

「発展途上国に清潔で安全な水を提供しよう」というUNICEF(ユニセフ)の募金キャンペーン「DIRTY WATER Campaign」では、この現実を広く世の中に知ってもらおうと、汚水の自動販売機「「DIRTY WATER」をニューヨークのど真ん中に設置することにしたのだとか。実際、多くの人々がこの自動販売機で足を止め、ペットボトルの水を買ったり、モバイル端末やウェブサイトを通じてUNICEFに寄付するなど、この問題に目を向け、アクションを起こしはじめています。

https://www.ecozzeria.jp/archive/news/2010/10/11/greenz_dirty_water_vender.html

 SDLで捉えることで、対象が目の前の人だけではなくなり、たとえ無人の機器であっても、人とのつながりを感じることができるたり、社会課題の解決につながるような仕掛けを考えることもできそうだ。

p.s
・とある診療所に設置しているガチャガチャの中の景品

GDLでは、
クリニックに受診した子供が、診察した後にもらえるコインでガチャガチャを引いたら出てくる景品。

SDLでは、
体調がしんどい時、予防接種で痛いことをされた後のご褒美という便益(サービス)を提供するapplianceとして捉えることができる。

それによって、ガチャガチャを引く子供にどんなサービスを組み合わせたら面白いだろうかという妄想が広がったり、景品の中身やガチャガチャを引けるまでの導線、仕組みづくりもできそうだなあと感じています。

 サービスサイエンスを学ぶと、自分達が提供しているサービスは、顧客にとってどのような便益を提供しているのか?どのようにしたらもっと良い価値を作れるのか?という部分を整理できるようになると実感しています。このシリーズをnoteにまとめながら自分の実践を振り返り、言語化していきます!

次回はこちら↓


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