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無料よりも良いサービスなんてあるのか?サービスサイエンス#2

「サービスサイエンス」シリーズ第2弾

 前回の記事では、

 世の中の経済活動が「ものづくり」から、サービス(コトづくり)へ変化していった時代の流れを踏まえ、、全ての取引をサービスとして捉え、受け手がその価値を感じて初めてサービス(製品も)を購入しようとする、サービス・ドミナント・ロジック(Service-Dominant-Logic/SDL)を紹介しました。

この記事では、


について考えていきます。

・サービスが増えたことで、どのような変化が起きたのか?

☆業務用コピー機は初期費用を安価に設定。トナー交換などメンテナンス代で継続
 的に利益をとっていくようになった。(製品を売って終わりではない)

☆情報通信技術の発達により、IT業界ではサービスや製品の「コピー」が可能にな
 り、以下のサービスが生まれていった。

 ・基本機能は無料で、追加の機能の利用は課金が必要。(office、canvaなど)

 ・「名作映画やオリジナル作品が見放題 30日間無料体験でお試し」それ以降は
  課金が必要。(Amazon Primeなど)

 ・どれだけ動画・ゲームを楽しんでも、無料(ただし広告あり)。広告の表示を
  なくすためには課金が必要。(youtubeなど)


 つまり、サービスの社会になったことで、「ビジネスモデル」が変化してきたのである。(製品を作って売って終わりという時代とは異なる)

 ポイントは「無料(もしくは安価)でサービスを受けることができる場面で、いかに追加でお金を払いたくなるような価値(サービス)を付与できるか」ではないか。

・無料よりも良いサービスの8つの特徴

無料のサービスに対し、どのようにお金を払ってもらうか?
人は「生成的な価値」にお金を払うという。

生成的な価値=その場で生まれる価値

コピーも保管もできない。
リアルタイムで交換されるコトに価値があり、人はお金を払いたくなる。

「生成的な価値」の要素は8つある。

①即時性
<いずれも無料になるけど、作られた時に、人より早く手に入る価値>
 
映画など、いずれ無料でテレビで配信されるけど、お金を払って観にいく。
 スポーツの試合のパブリックビューイングできるバーが提供している価値も近い
 のかもしれない。
 「今」、そのサービスを購入することに価値がある。流行りやブーム?

②パーソナライズ 
<一人一人の個人に合うようコーディネートされた価値>
 
遺伝子検査で分かったその人のDNAにあった薬を提供する。

③解釈
<その人にとっての、サポートやアドバイス>
 
②に近い気がするが、フリーソフトの使い方を有料でレクチャーするサービス。
 データアナリストが提供している価値?ビッグデータに対して、どのようなこと
 がいえるのか。

④信頼性
<信頼できるかどうか>
 
数々の通販サイトが存在するが、価格の比較を全てのサイトを横断して探すの
 も、めんどくさい。だったら信頼しているアマゾンで買おう。

⑤アクセス可能性
<情報・モノの所有よりもアクセスのしやすさ>
 
ipodで音楽をダウンロードするよりもspotifyでキーワードを入れたらいつでも
 聞ける方が楽。
 家や別荘を買うよりもAirbnb(民泊仲介サービス)やAdress(住まいのサブス
 ク)でいいじゃん。
 所有することの方が手間。容易にアクセスできるコトに価値がある。

⑥実体化の魅力
<実際に足を運ばないとわからない魅力>
 
今や、お取り寄せ技術、サービスが発展しているのにどうして、わざわざお店に
 行くのか。行ってみないとわからないワクワク感がある。

⑦支援者の存在
<コアなファンは、お金を払って応援したい>
 
ライブ配信者の視聴者は、投げ銭されると喜ぶライバー(推し)の姿が見たいから
 お金を払う。
 クラウドファンディング=支払い簡単で、額が明快、何に使われるかも明らか。
 新しいチャレンジを応援したい。

⑧発見可能性
<目の前に流れてくる情報をフィルタリングして提案>
 
サーチエンジン。自分で探しにいくのではなく、探してくれる。
 アマゾンが自分に合った商品を提案してくれる。だからアマゾンを利用し続け 
 る。


 以上の8個が、無料のサービスがありふれている中で、お金を払いたくなる要素になるらしい。

 これらを踏まえると、お金を払ってでも、取引したくなる良いサービスを作ることができるのではないか。また、現在提供しているサービスに対して更なる付加価値を加えることができるかもしれない。

・地域医療の実践と重ねてみる

カフェとクリニックが併設している拠点で生まれている「信頼性」という価値

いつもランチを食べに行くカフェの隣がクリニック。

なんだか体調悪いなあ、、、
そういえば病気になった時に行ったことなかったけど、
いつも行くあのカフェで働く顔馴染みの店員さんにちょっとクリニックのこと聞いてみようかなあ。

病気になった時に、思い出されるのがクリニックであるが、元気な時、楽しいひとときを過ごした時に出会った人・場所から思い出されることに価値があるのではないか。どこで医療サービスを受けるかを考える場面において、クリニック探しは無料でいつでもどこでもできる。行きつけのカフェの隣がそういえばクリニックだったという「信頼性」「安心感」という価値もカフェで提供しているのかもしれないと思った。

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