#53: こんなときだから♪シューマン×大林宣彦〜「ノベレッテ第1番」

シューマン:8つのノヴェレッテより 第1番(1838)
#50 -56のテーマは「名シーンに刻まれたあの1曲ー映画とクラシック音楽」

先月,残念ながら映画監督の大林宣彦氏が亡くなりました。
大林監督といえば尾道三部作が有名ですが,本日ご紹介する『ふたり』は,新・尾道三部作の1作目にあたる作品です。

原作は赤川次郎。成績優秀,ピアノもスポーツも得意な姉とそんな姉を頼ってばかりの妹。ある日,姉は不慮の事故で死んでしまいます。しかし,妹には姉の声が聞こえてきます。奇妙な共同生活の元,姉の助言を得ながら,妹はさまざまな困難を乗り越え精神的に成長していきます。

今日お送りするシューマン作曲のノベレッテ第1番は,妹がピアノの発表会のために練習し披露する曲として演奏されます。姉が演奏するはずだった曲なのですが,姉のアドバイスを受けながらだんだんと上手くなっていく様子がとても印象に残っています。また,古き良き家屋といいますか,畳にグランド・ピアノって子供ながらにオツだな,って思っていました。

畳×グランドピアノ×シューマン

という掛け合わせが,グッときたのを覚えています。
しかも,シューマンの8つのノヴェレッテから第1曲目というマニアックな選曲。
ノヴェレッテとはノベル,つまり小説の意味で,文学に精通したシューマンらしい作品です。

ちなみに,妹の実加を演じた石田ひかりは,この作品で銀幕デビュー。姉を演じた中嶋朋子とともに瑞々しい女学生を演じています。

大林監督の追悼の意も込めて,もう一度みたい作品です。

今日もみなさんにとって,素敵な一日でありますように!
———————————
『ふたり』(1991, 日本)
監督:大林宣彦
主演:石田ひかり,中嶋朋子


この記事が参加している募集

#私のイチオシ

50,822件

最後までお読みいただきありがとうございます。サポートは取材費として活用させていただきます。