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「貨幣の信用」と「貨幣の価値」4  ―金本位の信用は、交換できること―

それでは、前章で示したいくつかの貨幣(あるいは通貨のように動く商品)の「貨幣の信用」がもし「壊れる」としたら、を説明してみます。

金本位制の場合
貨幣は金との交換が必ず、絶対に行われる(兌換)ということで信用が保たれている。
⇒ということは
「貨幣と金との交換が停止される」ことが「信用が壊れる」ことである。

ビットコインの場合
ビットコインは日本円との交換が必ず、絶対に行われるということで信用が保たれている。
⇒ということは
「ビットコインは日本円との交換が停止される」ことが「信用が壊れる」ことである。

米ドルとの固定相場制が維持されているレバノンポンドの場合
レバノンポンドは米ドルとの交換が必ず、絶対に行われるということで信用が保たれている。
⇒ということは
「レバノンポンドは米ドルとの交換が停止される」ことが「信用が壊れる」ことである。

中国元との通貨スワップを結んでいる韓国ウォンの場合
韓国ウォンは中国元との交換が必ず、絶対に行われるということで信用が保たれている。
⇒ということは
「韓国ウォンは中国元との交換が停止される」ことが「信用が壊れる」ことである。

ここまで読んでいただくと分かってくると思うのですが、
「貨幣の信用」は「信用を保つためのに行われる『交換』が停止される」と、いとも簡単に

崩壊

します。

どんなに金の価値が高かろうが、米ドルが価値が高かろうが、交換されなければおしまいです。
大切なのは「価値」ではなく「交換」することができる「信用」なわけです。

ビットコインなんて「取引停止」と政治家が発言すれば、あっという間に紙切れになるでしょう。

通貨スワップも中国が「やっぱり通貨スワップ止めます」と言えば、韓国ウォンの貨幣の信用は無くなるでしょう。

レバノンポンドは実際、米ドルとの取引が停止された結果、2020年に財政破綻しました。

例外は金本位を停止したにもかかわらず、信用が失われなかった日本円や米ドルのような「管理通貨制度の国債を発行している国際通貨」のみなわけなんですね。

「価値が高いこと」なんて「貨幣の信用」の前には些細なことなのです。

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