織原 一然(かずしか)_マクロ経済学考察ノート

政治経済の特にマクロ経済学について語ります。 自学自習ですがぜひお読みいただければ幸い…

織原 一然(かずしか)_マクロ経済学考察ノート

政治経済の特にマクロ経済学について語ります。 自学自習ですがぜひお読みいただければ幸いです。

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最近の記事

倫理は元来静的である―倫理と道徳2― 経済学論考 7

■倫理と道徳はこのような図解での関係なのではないか? 閃いた想念のまま、下記の図解を作ってしまいました。 お陰で三連休は大変充実していました。 これは倫理と道徳の思想における関係性を私独自で解釈した図解です。 既に何度か更新してXにも上げておりますが、今のところ上記が最新となります。 今後も更新すると思いますのでお気を付けください。 以前私は「倫理」と「道徳」を明確に分割して比較してみました。 図解はこの話の続きとなります。先ず左の倫理の分野だけを解説したいと思いま

    • 積極財政を主張するなら、夫婦別姓は選択的だろうと絶対に反対すべきである― 経済学論考 6

      ■経済とは保守思想からしか生まれない 常々、「保守思想でなくては経済を語れない」と言ってきましたが、今や 「保守思想以外経済を語ってはならない」 「保守以外の経済は全て偽物だ」 とすら思います。 保守思想以外の理論において理財を得ることができる、というのは、ミクロ経済的商品貨幣論に基づく活動を行い、国の保持してきた特性を崩壊させ、既得権益を売り払う ―レントシーキング― 竹中平蔵のような活動のことを指します。 「レントシーキング」とは、財界側が政界と癒着し、政治家に法制度

      • ベーシックインカムは極めて怪しい.9―負の所得税(NIT)―

        ・・・さて・・・ 勘の鋭い人は上を読めばもう分かると思います。 負の所得税(NIT)はBIではありません。 今回の記事で言いたいのはただそれだけです。 「負の所得税(negative income tax)」とはざっくり言いますと、富裕層は課税対象だが、貧困層は課税されずに逆に政府から給付金を受け取る、という「まっとうな累進的税制度」であると共に「貧困層への給付金制度」です。 ではこれをBIの5つの特徴「定期的」「現金給付 」「個人向け」「普遍的」「無条件」に当てはまる

        • 国債の運用と創造 経済学論考 5

          ■一般理解の時点で間違えている とあるサイトで上記のように書かれていたのですが、これは間違いです。 この間違いは「国債に対する一般的理解」から発生しています。 国債を発行し 労働市場でその国債を購入してもらい 労働市場で手に入れた購入資金を用いて政府は貨幣発行をする これが恐らく国債の一般的な理解ですが、実はこれは「間違い」なのです。 何が間違えているのでしょうか? ■貨幣を発行する前に、貨幣を集める…? 上記の1.~3.は ・10兆円の貨幣を発行するために

        倫理は元来静的である―倫理と道徳2― 経済学論考 7

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        • マガジン「経済学論考」
          7本
        • マガジン「ベーシックインカムは極めて怪しい」
          7本
        • 内生変数と外生変数について
          6本
        • 豆知識
          9本
        • マガジン「格差と社会福祉」
          4本
        • マガジン「商品貨幣論」
          18本

        記事

          ベーシックインカムは極めて怪しい.8 ―BIの実験とは?.1―

          ■ナミビアとインドの件 まだ言いたいことは尽きません。 BIENのいうBIは本当におかしいです。 上記はつまり「BIの社会実験は行われたか?」ということに対して「その事例」を答えているわけですが、まず、ナミビアのBIについて調べてみました。 こちらナミビアのBIの実験について書かれたサイトですが、「BIの実験を標榜しつつBIではない」ことがきちんと書かれています。 2年間という期間限定。住んでいる場所が限定され、60歳以下という条件もあります。これは定期的(永続的)

          ベーシックインカムは極めて怪しい.8 ―BIの実験とは?.1―

          ベーシックインカムは極めて怪しい.7 ―移民にも実質支給されるBI―

          こちらの「ベーシックインカムに関するよくある質問」にはインフレについての話以外に、「おいおいおい」と思わず突っ込みを入れざるを得ない話が更にあります。 つまり、外国人であろうと、一定の期間居住すればBIを受け取れる資格を得ることができるわけです。 更に、「雇用インセンティブとなるため、この国にやってくる人は誰でも、現在よりもさらに経済に貢献する可能性が高くなるだろう。」 というのは「労働力として『移民は良いこと』」という、これが前提になっているわけです。 これは無茶苦茶で

          ベーシックインカムは極めて怪しい.7 ―移民にも実質支給されるBI―

          何に対しての内外なのか?―内生変数と外生変数6―

          久々にこちらのマガジンの更新になります。 考えをまとめるのに1年以上かかりました。 余りにも久々すぎるので少し振り返りをします。 ■内生変数と外生変数の振り返り 内生変数とは、モデル(市場)の中で生まれる内生的パワーのことであり、それを数値化したものです。パンが発酵するような内部から膨れ上がるパワーですね。 それが貨幣である場合は「内生的貨幣供給論」と言い、そしてそれを引き起こす社会的な理論は「有効需要の原理」。貨幣発行理論は「市場内部で行われる信用創造」と、こうなるわ

          何に対しての内外なのか?―内生変数と外生変数6―

          ベーシックインカムは極めて怪しい.6 ―BIENが歪めるBIの定義―

          ■BIENの質問と回答から見える問題点 現在、BIにおける情報発信サイトはこちらになりますが、 こちらの「ベーシックインカムに関するよくある質問」にはインフレについて噴飯物な回答がなされています。 ■BIではインフレは発生しない!? 実は私は、BI推進派の人たちと議論をしたとき、「BIではインフレは発生しない!」と言われたことがあります。 正直、全国民に給付金を一律に行うのにインフレが起きないというのは、何を言われたのか一瞬唖然としました。 これはポストケインズ派経

          ベーシックインカムは極めて怪しい.6 ―BIENが歪めるBIの定義―

          ベーシックインカムは極めて怪しい.5―BIによるコストプッシュインフレ―

          ■BIによって引き起こされるインフレ さて、前回の記事でこのように書きました。 前記事の4.5.に出てきた上記の割り箸の値上がり、このインフレは コストプッシュインフレ(CPインフレ)でしょうか? ディマンドプルインフレ(DPインフレ)でしょうか? これまで私は何度もこのインフレの種類の違いに対し言及しておりましたし、その解決方法が違うことと同時に、貧困層への対処療法においてはCP・DPインフレ共に同じ対処方法であることも書いてきました。 CPインフレは購買力が下がり

          ベーシックインカムは極めて怪しい.5―BIによるコストプッシュインフレ―

          ベーシックインカムは極めて怪しい.4―格差是正とは何か?お箸の例え―

          ■経済政策とは格差是正のこと 経済政策とは、貧しさ故に死者が増えないことを企図した政策のことなので、基本、貧困層対策に主眼が置かれますし、その対策は貧困層と富裕層の経済的(金銭的・福祉的)格差是正こそが経済政策、と呼ばれるものになります。 逆説的に、格差を是正しない金銭的・福祉的政策や、格差を拡大するような政策は経済政策ではない、ということになります。 経済政策を謳って、実際には格差を是正しない偽物の経済政策のなんと多いことか、と実に嘆かわしいのがこの日本の現状です。 言

          ベーシックインカムは極めて怪しい.4―格差是正とは何か?お箸の例え―

          「議論」に勝つ方法 経済学論考 4

          ■「議」とは「言」により「義」を見出すための論である 「義」とは辞書では「条理。正しい道。道理にかなった行為のこと」とのことで、儒学では思考の思想として語られる「仁」と合わせて「仁義」と表現することがあるほど重要な要素です。 仁を「真実の愛」とするなら、「義」は「仁愛のために行う行為」を示していると私は理解しています。 では「議」とはその「仁愛のための行為」を「知るために論じる」ということだと言えます。 逆説的に言うと、「『仁愛のための行為』を『知るために論じる』」のでな

          「議論」に勝つ方法 経済学論考 4

          ベーシックインカムは極めて怪しい.3―ユニバで竹中と踊れ―

          ■UBIの改造 さて、「『無条件』という有条件」という矛盾のせいで、その制度自体に非常におかしい矛盾を生じさせているBIですが、この矛盾の中、日本では奇妙な改造された論理として構築していた時期がありました。 UBIというのはユニバーサルベーシックインカムの略で、本来はBIの5つの特徴の 「4.普遍的 (Universal): 資産調査なしにすべての人に支払われる」 この部分を詳細に特徴づけて表現するために用いられる単語です。 これなのですが、何故か日本のネットでは 「

          ベーシックインカムは極めて怪しい.3―ユニバで竹中と踊れ―

          ベーシックインカムは極めて怪しい.2―「無条件」のはずが様々に条件が付くおかしなBI―

          ■何よりも、先ず矛盾 さて、前回は「ベーシックインカム(BI)の5つの特徴」はその5つの中で成立不可能な矛盾が発生しており、その矛盾を無理やり成立させようとすると、政府が独断でBIを施行したり、停止したりすることができる、そのような「独裁性が強まる」話をしました。 BIの議論はとかくこの5つの特徴の中にある「5.無条件」が最も矛盾を発生させる因子となります。 ■「5.無条件」により崩壊するBIの定義 例えば、BIの提案をすると、 「しかしだとすると、このような弊害が

          ベーシックインカムは極めて怪しい.2―「無条件」のはずが様々に条件が付くおかしなBI―

          ベーシックインカムは極めて怪しい.1―定期的が永続的になる矛盾―

          ベーシックインカム(BI)と言われるもの、基本所得制や基礎的所得制度と言われるこの制度は年々、その存在感を増しています。 特に、国民の所得が劇的に減り、日々の生活に困窮している日本にとって、BIは施行されれば夢の制度である、と思うでしょう。 しかし、私は疑いを持っています。 ■ベーシックインカム(BI)の5つの特徴 BIには以下5つの特徴があります。 定期的 (Periodic): 一定の間隔で支払われる (例えば毎月ごと)。1回限りではない。 現金給付 (Cash

          ベーシックインカムは極めて怪しい.1―定期的が永続的になる矛盾―

          「倫理と道徳」という「思想の無い経済学」の恐怖 経済学論考 3

          ■本能への反逆 本来、事物には優劣はありません。 優先順位を付けるのは差をつけることであり、優位と劣位を設けることであり、区別であり、ややもすれば「差別をすること」の源泉です。 勿論、これは極端な表現ですが。 しかし一方で、それは真実であり、強い説得力があります。 だからこそ、その極端さが現出しないように制御をかけて、優位と劣位に極端に差を設けることがないようにする逆のベクトルへの働きを「善い」と人は感情的・倫理的・道徳的に判断します。 それが人間が抱く「倫理と道徳」、

          「倫理と道徳」という「思想の無い経済学」の恐怖 経済学論考 3

          経済学の前に「倫理と道徳」 経済学論考 2

          アダム・スミスは元来、経済学者ではなく哲学者であり、国富論の前に出版されていたのは「道徳感情論」という倫理哲学書だというのは意外と知られていません。 そう、経済学には前提として「倫理学」が必要になるのです。 さて、この倫理と似た言葉で「道徳」という言葉があります。 皆さん、倫理と道徳の違いをご存じですか? 私も良く分かってはいません。実は何度も興味を持って調べるのですが、いつの間にか頭から抜け落ちるのですよね。倫理と道徳が似ているからなのでしょうか? そう、倫理と道徳は似て

          経済学の前に「倫理と道徳」 経済学論考 2