答えが出せた日
昔好きだった音楽を久しぶりに聴くと、その当時のことを思い出す。
上京してホームシックになったこと、好きだった先輩に三股をかけられて失恋したときのこと。目標にしていた大会にむけて練習していたときのこと。今もそう。
いつの時代にも、そばに音楽がある。
◇
昨年末のわたしは、散々だった。
11月の末に、急遽、主人と共に働く事務所と自宅の移転が決まり、仕事をしつつ2ヶ所の引っ越し作業に追われた。帰宅はいつも10時過ぎで食事も作れず、夕飯は毎日ファミレス。メニュー表にあるもの全部を食べた。不規則な生活と偏った食事で、体重があっという間に3キロ減った。
同じ時期、仲良くしていた友人とも連絡が取れなくなり、落ち込んだ。
わたしは精神的にも肉体的にもいっぱいいっぱいだった。案の定、仕事ではありえないミスを連発して、主人にもお客様にも迷惑をかけた。
主人もイライラしているので、ちょっとしたことで喧嘩する。全部わたしのせい。こんな生活いつまで続くのか。外へ飛び出しても、実家にも帰れない。逃げ込む場所がなく、いつも近くの河川敷に行っては、戻るしかなかった。みじめで寂しかった。
そんな時わたしを助けてくれたのは一曲の音楽だった。ビッケブランカの『白熊』。
ただの現実逃避だったのかもしれない。でも、彼の優しい歌声に癒されて、たくさんの元気と勇気をもらった。彼の音楽が好きになった。
◇
音楽は面白いもので、同じアーティストでも素直に受け入れられないときもある。
2月、noteをちょうど始めたころに、彼の新曲が発売された。さっそくSpotifyで聴いた。
彼らしい明るい曲調で独特のテンポ。良い曲だった。けれど、なぜか聴いていると胸が苦しくなった。
悲しまない だってさよならじゃない
どこかの町で また会えるまでバイバイ
笑顔で見送るよ 引用 『Shekebon!』/ビッケブランカ
いまだ友人のことで落ち込んでいた。このフレーズを聴くたび胸が痛む。
歌詞の通りだとわかっているけれど、まだ受け入れられない。残酷なくらい現実を突きつけられて、悲しくなった。プレイリストで流れるたび、スキップしていた。
◇
今日、久しぶりにその曲を聴いた。
理由は、あれからずっと自分の気持ちと向き合い続けて、やっと自分なりに納得できる答えが出せたから。
久しぶりにその曲を聴いた。
すっと受け入れられた。
そうだ。その通りなんだ。どこかの町でまた会えるまでのバイバイなのだ、と。
やっと聴けた。やっと答えが出せた。
いい時も、悪い時も、そばにはいつも彼の音楽がある。
そして今日、自分の出した答えが確かなものだと教えてくれた。
今のわたしにとって、なくてはならない存在。
そばにいてくれてありがとう、いつまでもだいすきよ。
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