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【パン】パン屋のくせになまいきだ。と言われないように


パン屋のくせになまいきだ。

パン屋なのにパンの事を何も投稿していなかったので、パンについても投稿をしていこうと思います。

そもそもパン製造技術とは?

パンは紀元前から食されている食品です。そもそも、なぜパンを作るのかというと、「生命を維持したい」→「エネルギーを摂取したい」→「でんぷんを消化してエネルギー源にしたい」→「パン生地に加工・加熱することで、小麦でんぷんを消化できる状態にしたい」という目的があります。近年では「でんぷんをパンとして食べる上で、美味しく食べたい」→「五感が満足するパンが食べたい」という目的も加わっていますが、元来は小麦でんぷんを消化できる状態にするための加工技術がパン製造技術なのです。

でんぷんは、植物の光合成によって作り出された植物用のエネルギー貯蔵源(ヒトでいう脂肪)です。化学的には多数のブドウ糖が結合した炭水化物ですが、そのままの状態では結晶化しており、ヒトが直接消化してエネルギー源として利用することができません。結晶でんぷんに水と熱を加えて糊化(ゲル化)させることで、初めてヒトが消化してエネルギー源として利用することができるのです。

パンは気泡構造をベースとしている

パンの断面をよく見ると、微細な穴が多くあり気泡の集合体であることが分かります。パンに限らず、アイスクリーム、卵焼き、ケーキなど、気泡構造をベースとしている食品は数多くあります。パンなどの加熱を必要とする加工食品では気泡構造は、食品全体の表面積を増やすほか、比熱を下げることで中心部までの速やかな加熱を可能とします。(火通りが良いとも言います)

もし、加熱に適さない気泡構造をしていた場合や、焼成条件が不適切な場合は「外は焦げているのに中は生焼け」といったものが出来上がってしまいます。小麦でんぷんについて、加熱に適切な気泡構造をつくり消化に適した状態まで加工する技術がパンの製造技術の一つです。

気泡構造を維持する骨格がグルテン

パンについてもう一つ重要な主人公は、小麦グルテンです。グルテンは低分子たんぱく質のグリアジンと、高分子たんぱく質のグルテニンからなる物質であり、小麦アレルギーの原因物質です。

小麦アレルギーの方は比較的多く、随所で槍玉にあがるたんぱく質ですが、極めて重要な働きをします。それは、食品の形状を維持する内骨格の役割です。パン生地が加熱された際に、でんぷんが糊化すると同時にグルテンが熱変性して焼き固まることで、焼成後も気泡構造が維持されることでパンの形が維持されます。

もしグルテンが無ければパン生地は餅のような生地となり、多彩な形状に加工することは困難なことでしょう。また加工中に気泡構造を長時間保つことが難しく、焼いても膨らまないか、ぺしゃんこに潰れてしまうでしょう。実際にグルテニンを持たないライ麦パンは、小麦パンほど膨らまず食感の重い焼き上がりになってます。

気泡構造を持つ食品は、グルテン以外のものでも卵やその他のたんぱく質を熱変性させることで骨格を作り形状を保っています。グルテンを使わずとも、たんぱく質を熱変性させて気泡構造を維持することができれば代替可能でしょう。実際に、グルテンフリーのパンでは高分子の食物繊維を使ってるケースもあります。

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