見出し画像

坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async レビュー

この映画(以下async)は、坂本さんが2017年4月にニューヨーク、パーク・アべニュー・アーモリーで開催した二夜限りのライブパフォーマンスの様子を収録したもの。「Ryuichi Sakamoto: CODA(以下CODA)」と同じくスティーブン・ノムラ・シブル監督による。ライブは100名の観客を前に行われ、天井には高谷史郎さんによる映像が映し出された

「async」の中の観客と同じく、映画を観ている私たちは坂本さんの所作から何かを読み取ろうとしたり、映像に目をやったりして何かを“理解”し、“受け取ろう”とする。そうした意識は、街のざわめきや、坂本さんのスニーカーが床と擦れて発する音によって溶かされていき、気がつくと非同期な響きの海に漂っていた。ライブの最後に奏でられた「garden」では、映画のあちら側もこちら側も溶け合っていて、時間も距離も空間も超越した響きの海の中にいた(寝ていたんじゃなくてw)。連れて行かれて、今もそこにいる。

「CODA」を観る前なら、ジョン・ケージやナム・ジュン・パイク、アート・リンゼイといった坂本さんが敬愛するアーティストや仲間からの影響を感じて(浅薄に読み取って)、分析のまねごとをして“理解”しようとしただろう。「CODA」を観た後は音や響きの探求した果ての姿として受け取れる。

…と、どれだけ言葉を連ねても伝わらないだろう(もどかしいね)。この映画が公開されるのは2週間限り。響きの海で会いましょう。

坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK: async 公式サイト

Top Image : James Hadfield / Flickr / Creative Commons


※この記事は、noteの使い方を知る習作として書いてみました。

この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?