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貴重な一人時間でモネに会いに。

三連休の最終日モネに会いに上野へ。

それは急遽決まった。

三連休に入る前日の木曜夜9時頃。
娘が寝て、平日一人育児が終わったなぁとまったり緑茶をすすっていた時だった。ふと夫が一言「三連休の内に一人でどっか行って来て」と。

実はこの日の私、午後急に心がシャットダウンして、笑顔を作ることができなくなった。こうなる予兆はあった気もする。前回の闇noteに綴った暗い重い気持ちをずうっと引きずっていたし、ハイハイ&つかまり立ちを始めた娘はリトルモンスター化しているし、なんだか体調も前回の生理から気持ちと同じように重だるく、なんなら軽い眩暈も。

『一人になりたい』とずーっと思っていた気がする。そんな私にとっては喉から手が出るほどに欲しかったオファー。一人になって、カフェでも行って、ゆっくりと考え事をしたり、本を読んだり気ままに過ごしたいなとすぐに思いついた。でも、私の頭の中には私の願いを叶えてくれそうな場所は思い当たらなかった。とにかく今住んでいる場所は人が多すぎる。どこのカフェも人でいっぱい。座れたとしてもテーブル間隔が狭すぎるし、ドリンク代も場所に対する満足感が低い場合は無駄に高く思えてしまう。色々と考えた結果、夫に「行きたい場所がない」と伝えた。すると徐にスマホで何かググり始めた夫。「これは?」と差し出された画面に映し出されていたのは『モネ 連作の情景』という企画展だった。

私は小さい時から音楽に触れて生きて来たのと、絵が下手過ぎるのとで美術という芸術分野に対して全く興味を持たずに大人になった。そんな私がモネと出会ったのはポーラ美術館。箱根へ温泉旅行に行って、観光ついでになぜかほぼ足を踏み入れた事のない美術館へ。そこで出逢ったのが【睡蓮】と【睡蓮の池】。その美しい色調の風景画に私はすっかり魅了された。西洋絵画というとモナリザみたいなこってりとした色調の人物画とか宗教画ばかりだと思い込んでいた無知な私には、この2つの絵はとんでもない衝撃だった。

その後原田マハさんの【楽園のカンヴァス】を読み、益々美術に興味を持つようになったんだけど、やっぱりモネは私の中で特別だった。それを確固たるものにしたのは2015年に東京都美術館で開催された【マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展】で観た【印象 日の出】。
あの絵を見た時の感動は今も覚えている。色の重なりあい、ちょっと絵の具が盛り上がっている筆跡にライトが当たって、それらが本当に日の出に照らされた水面の煌めきに見えて、鳥肌がたった。写真より、リアルより感動する風景があることに驚いた。

夫に差し出された企画展のHPを見てみると『100%モネ』、『国内外40館から代表作を出品』の文字。ふつふつとテンションが上がって、絶対混んでいるのは分かっていたけど、すぐさま「これに行く!」と夫に伝え、予約サイトでチケットを取った。

そして予約の日。
いつもより少ししっかり目にメイクをして、黒のBEAMSBOYの少しクラシカルな雰囲気のブラウスに袖を通し、俳優板谷由夏さんのブランドSINMEで買ったグルカパンツを履いた。お気に入りの2着を着て、顔が少しまともになっただけでもなんだか気持ちが少しルンっとした。最近の私は娘の涎まみれ、襟元をめっちゃ引っ張られるという理由から適当なTシャツとスウェットパンツという出で立ち(さすがに散歩に行くときは着替える)だったから。好きなものを着るって大事。

いよいよ上野に到着。本当にたくさんの外国人観光客がおるなぁと横目に見ながら、上野の森美術館を目指して足取り軽く歩いていく。前回美術展へ行ったときに100円玉がなくてロッカーに荷物を預けられなかった反省を活かして、今回はしっかり100円玉を忍ばせた財布も携えて。

そして完璧な状態で館内へ。
想像通りたくさんの人、人。
「列を作らずお好きなところから見て下さい」というスタッフの方の声が全く届かず、長蛇の列が出来ていた。以前の私は律儀にならんでた気がするけど、海外生活でこういう所は少し図太くなったようで、上手く人の波を掻き分けながら自分のペースでモネの絵を楽しんだ。モネの絵って近くでみて筆跡とか色の重なりをみるのも面白いけど、個人的には少し引いたところで観るのが好き。すべての色が混ざって本当に美しくみえる。水面の反射の描写とか本当に凄すぎて…(語彙力)。美術の超凡人な私からすると想像も出来ないくらいの色彩と繊細な光がモネの眼には映っていたんだろうな。

今回私のお気に入りは【モナコの港(夜明け)】と【ヴェンティミーリアの眺め】(モナコ国立新美術館蔵とグラスゴー・ライフ・ミュージアム蔵)。港の絵は【印象 日の出】を思い起こさせるような水の煌めきと色のグラデ―ジョンがキュンっとするし、ヴェンティミーリアの絵はひたすらに色彩が美しく、少しコスタブラーバを彷彿させる風景で、見ていて癒されるし懐かしい気持ちにさせてくれる。残念ながらどちらの絵も簡単に行けるような場所に所蔵されてないという事実。二度とこの絵には会えないかもしれないと思うとなかなか前から動くことが出来なかった。

絵からふわーっと伝わるヨーロッパの空気と色彩に癒されて会場を後にした。その後はミュージアムショップ内をひたすらうろうろ、気になるものを片っ端から手に取ったり離したりを繰返して、厳選した展覧会の思い出を持ち帰った。


持ち帰った子たち

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この日は夫の有難い一言でだいぶリフレッシュさせて頂いた。
おかげで今週はリトルモンスターとも上手く向き合えている。まだもやもやはたくさん抱えているし、体調も完全ではないけど。

でも最近、素敵な本を読んで書くことの大切さを感じたので、またなるべくnoteを書こうと思う。そうすることで、もやもやも浄化されるっぽいから。

とにかく展示されている絵は全てモネ。そして世界各地の美術館からはるばる海を越え無事に日本でお披露目されているという事実を思うと本当に奇跡のような展覧会。是非、機会があらば足を運んで下さい。

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