東京都若年被害女性等支援事業住民訴訟の状況

暇空氏により東京都若年被害女性等支援事業に関して合計5本の住民訴訟が行われているにもかかわらず、東京都及びWBPCの牛歩戦術もあり期日が間延びし、忘れがちなので状況を整理する。


Ⅰ 進捗状況整理

東京都若年被害女性支援事業の住民訴訟の進捗を整理すると以下のとおりである。若草は全く進捗しておらず牛歩戦術の極みにある。なお、BOND及びR4については暇空氏側のターンとなっているが既に書面の提出・期日は行われているのではなかろうか。

東京都若年被害女性等支援事業の状況一覧

Ⅱ 各訴訟の現時点での論点

Ⅱ-1 令和3年度WBPC契約

「領収書等の証拠を出す・出さない」が争点となっている。Colaboやぱっぷすの訴訟指揮も領収書の提出を促しており、補助参加してないBONDの訴訟でも👨‍⚖️が経費の立証を気にしている。裁判所が領収書等の証憑を自ら確認することなく東京都等の「言い分」を鵜呑みにして判決を下すとも思えず、提出することになると考える。個々の支出の合法性の議論はその後になろう。
領収書以外には、ぱっぷすの精算関係の動きに注目したい。精算に際しては都に給付の確認の義務がある(地方自治法)。それをすることなく精算を行ってた場合は、契約時だけでなく事業履行時も法規を蔑ろにした杜撰な契約管理をしていたことになる。

R3 ぱっぷすの検査・精算に関する処理

Ⅱ-2 令和4年度WBPC契約

(1)契約は無効か?
この記事のとおり随契に必要な手続きがなされておらず、契約手続きが違法となる可能性は高い(これが合法であれば談合以外は全て合法になってしまう)。ただ、これまでの行政訴訟では契約手続きが違法であっても、判例(最高裁昭和 62年3月20日判決)もあり契約自体が無効とされることはなかった。東京都も同判例を援用し行政の裁量権の範囲であり合法としている。
しかし、令和2年9月8日に最高裁が上告棄却した香芝市の家庭ごみなどの収集運搬業務委託契約の訴訟では、最高裁昭和 62年3月20日判決を引用することなくプロポーザルの事前内定認定(直接的な証拠無し)や類似事業で入札が行われていたことから契約自体を無効としている。
令和4年度WBPC契約は、必要な随契手続きが一切なされてないこと令和3年度は企画競争で調達しており資格要件を満たす団体が4団体以外にもあったことを考えると契約自体が無効となる可能性がある。
また、令和3年度契約において不適切な事業計画、実施状況報告、検査・精算処理が確認された場合、不法な契約管理を前提として都及び団体が令和4年の随契モドキ契約をしたことにもなり契約自体の適切性が更に毀損されるだろう。
なお、Colabo代表仁藤氏が「競争入札はそぐわない」と記述した著作があったように記憶している。ご存知の方がいれば著作名をコメント頂きたい。
(2)4500万は過大か?
継続事業や業務では通常は前年度実績、見積もりをベースに調達価格(予定価格)を算定する。しかし、R3業務については監査や再点検を経ても2600万+α程度の経費しか要していない。

R3年度事業の監査・再調査・点検結果

また、監査や準備書面で増額理由とした「事業を取り巻く環境」、「相談者の増加」には具体的な根拠がないことも判明している。東京都が4500万への増額が適切だったことを立証するのは困難であろう。

増額根拠に関する開示請求結果

なお、再調査で増額理由としていた「団体からのヒアリング」は住民訴訟の準備書面からは削除された。「市場価格の調査」か「当事者間での不当な価格吊り上げ交渉」かの見極めは非常に微妙である。このため、通常は複数社からの見積もりを徴収し、単価等のチェックをするのである。R4事業では見積徴収さえしておらず不当な価格吊り上げと解釈されることを危惧したのではなかろうか。


訴訟関係暇空氏noteリンク

R3 Colabo

R3ぱっぷす

R3BOND

R3若草

R4 WBPC


変更履歴

  • 2024/3/17 各訴訟の現時点での論点の追記・修正

  • 2024/03/24 R4WBPC訴訟 原告第1準備書面等追加、若草 1/31暇空氏ポスト追加

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