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カントの人間味、好きです。

カントの人間学 中島義道


◯読もうと思った理由
•立ち読みした時、カントのイメージが違って面白そうだった。
•カント哲学というよりカント自身に興味が湧いた。
•本の書き方(否定しながら多説的に見る)が面白かった。

カントといえば、毎日同じ時間散歩していて、その光景を近所の人に時計代わりにされていた逸話が有名な人物である。習慣の鬼で毎日哲学と向き合っていた崇高な哲人のようで、ロボットのようなお堅いイメージがあった。正直、哲学自体は全然知らない。

◯面白みを感じたところ
•カントは物の空間配置に敏感だった。決まった場所に決まった状態でなければ落ちつなかった。いつも窓から見える塔が生い茂った木によって隠れた時、切るよう訴えに行った。他には聴講生のボタンが取れていたことが気になって授業が進められなかった。
→昔からこのタイプいたんや。リモコンが定位置ないとダメな友人、鍵の締まる時の音が悪いと何度も締め直すR-指定と同じタイプだったのか。本書ではこれを美的エゴイストと言っている。次あったら友人に伝えよう。

•自分の体が強くないことを知っていた。カントが恐れていたもの、それは時間の容赦ない進行。時間の進行を止めることはできないが、計画的に支配することはできる。残りの人生を長引かせることはできる。
→なるほど、これがカントを習慣の鬼にさせる根源だったのか。習慣化を時間の計画的な支配と考えるのいいなと思った。そんなカントですが80歳まで長生きしたカント。晩年は毎日死にたいと言っていたそう。それもまた人間味ある話。

•彼は望遠鏡を覗かずに宇宙論を書いた。行ったことがないイギリスの風俗習慣を講義して、イギリス人に「何年ロンドンに滞在していたのですか?」と質問された。カントは体験しなかったことをあたかも今見てきたかのように生き生き語ることのできる人だった。
怖い、怖すぎる。想像力の化け物だったのかもしれない。書物レベルの知識を振り回せることが多かったらしい。だから女性を軽視し、結婚せず恋愛もしなかったのかも。いや、妄想世界ではしていたのかも。経験ではなく知識を想像力で膨らませるタイプの哲学者だったのか。というか哲学者ってそういう人種なのかも。カントめっちゃおもろいわ〜。

◯まとめ
この本は、カントをもっと身近に感じる内容の本だった。頭はキレキレだが、カントも1人の人間。偏見はあるし、利己主義やし、一生独身で変わり者のおじさんと思われて死んだ。崇拝するより、人間味の部分にフォーカスしてカントを好きにさせてくれたいい本だった。カントの人間学。カントという人間を学ぶ、その名の通りの本。いや〜カント好きになった。またカントについての本読もう。危害を与えない変態は大好物です。



カントの名言貼っておわり。

[幸福とは理性の理想ではなく、想像の理想である。]

[もし虫けらのように振る舞うのならば、踏み付けられても文句を言ってはならない。]

[苦悩は活動への拍車である。そして活動の中にのみ我々は我々の生命を感じる。]

[我は孤独である。我は自由である。我は我みずからの王である。]

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