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【超短編小説】親切な暗殺

 「あの星が消えたら寝よう。」

私は窮屈な窓枠から冬の瞬きすれば見失いそうな星を見ながら言った。

「じゃあ俺はまだ目をつむらないよ。」

ゆっくりと向き直し、こけた頬に深い影を落とした君を見ると、今にも閉じてしまいそうな瞼を必死に開けていた。

「いつ閉じてもおかしくないだろう。こんな管だらけの身体で無理なんかできるはずがない。」

今度はジッと君を見ながら言った。整然とした空気がグッと張りつめる。私を見ていた君は病室の天井を向き、そして大きなため息を吐いてきた。

「なんだ、事実だろう。私は全部聞いたぞ。君の側近からも、主治医からも。」

「俺はまだやれると国民に言ったんだ。」

しかし君と目が合わない。

「もういいだろう、嘘ばっかり吐くのは疲れないか?」

思わず私が口走る。

「親友には、全部お見通しってか……」

重たい沈黙が月光に浮かび上がる。

「楽に、させてくれ。首相としてじゃなく、友人として。苦しいんだ。」

「……私は立派な暗殺者だな。」

 ふと、再び夜を覗くとあの星は消えていた。

(430字)



【あとがき的なやつ】
多分、初めてこうした企画系に参加しました!こんな感じでいいんでしょうか……
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