プラネタリアンは、どん曇りでも星空観望会を楽しめる!?
先日実施したYouTube星空観望会、なんと雲だらけで全く星が見えなかったけど…すごく楽しかった! 来場してくれたお客さんも、なぜか大満足でアンケートの評価も上々。
うん、これは、なごやかで楽しみ上手なお客さんたちのお陰が大きいけれど、配信を担当していたわたし自身も、プラネタリアンとしての経験が、地味にいろいろと役立っていることを密かに実感しております。
■YouTube(星空)ライブ配信の難しさ
ネットで星空生配信をやるとなると、以下のようなことが「難しそう」とか「自分にはとても無理」などと、よく言われます。
うん、でもとくに心配はいりません。
むしろ、プラネタリアンなら、このあたりの対応は大好物ですね~。
そう思える根拠が、やっぱり私にとってはプラネタリウム投影の経験からきているようです。
◎背中越しに語りかける
プラネタリウムでは、お客さんはがっつり星空と向かい合うべく、リクライニングシートに深く腰掛けて上を見上げています。
つまり、会場の最後列にいるプラネタリアン(投影者)なんて、全く見ていないわけです。
新人プラネタリアンは、まずこの状況で、投影の操作卓から、お客さんの背中越しに語りかけるというスタイルに、けっこう戸惑います。
ふつうプレゼンでは、聞き手のリアクションがまったくない!と感じると、すごく不安で苦痛ですよね。
でも、、プラネタリウムの投影は、ほんとうはお客さんたちが、ものすごく集中して、想像力をめいっぱい羽ばたかせていることがじつは多い。
だから、その気持ちを投影者も共有できさえすれば、あとはもう大丈夫!
・・・といいつつ私自身、もともと普通のプレゼンテーションは得意なつもりだったけれど、お客さんの様子が分からないプラネタリウム投影は、想像していたよりも違和感があって、やりづらかったです。
リアクションがわからないことに焦り、物足りなさと寂しさも感じた。
だけど、、投影前後にお客さんと話をしたり、時々じぶんもお客さんの立場で人の投影を見たりしているうちに、なんていうか、お客さんにいろいろなものが伝わっていることが、肌感覚で分かる気がしてきたと思うんです。
そして、自分が「気持ちを共有できているから大丈夫」と確信をもっていれば、自然体で投影での「会話」に臨むことができ、結果的に良い投影につながる。
YouTubeの配信でも、お客さんがネットの向こうにいて、その姿が見えないわけですが、なんだかそれも平気な気がしてます。心配しなくても、星を楽しむ気持ちは共有できているはずだし、ともかく自分が楽しくおしゃべりをしていれば大丈夫なはず。
配信後に知り合いに声をかけてもらったり、あるいは配信中にもコメントをもらったりすることで、その気持ちの共有については、しっかり確かめることができていると思ってます。
◎受け身の人を巻き込む
わたし自身、プラネタリウムの星座解説では、ひたすらお客さんに質問を投げかけ続けるスタイルが多いです。
質問って、子どもたちは自分がわかることを答えたいし、周りの子がこたえていたら、自分も負けずに答えたくなってくる。で、頑張って答えてやるぞ~って思って聞いてくれいれば、もう自動的に集中力が高まり、おおいに感情を共有しながら一緒に投影に参加してくれます。
そして実は、大人たちも、この感覚は子供とあまり変わらないのです。
そうは思えない? じゃ、ちょっと実験をしてみましょうか。
<<ちょっと実験>>
そうですね、では例えば・・・下の星空写真、たくさん星が見えていますけど、例えばオリオン座はどこにあるか、分かりますか? 星空に詳しい人は、オリオン座以外にいくつ星座が分かりますか?
とりあえずオリオン座だけでも答え合わせしましょうか。
答えを書いてもいいですか? もうちょっとだけ待ちますね^^
︙
︙
︙
はい、では答え合わせです。
そう、写真の右下の方にありますよね。斜めに3つ並んだ三ツ星とそれを囲む明るい星たち。それがオリオン座の星たちですね。
正解した方、おめでとうございます!!
<<実験結果の検証>>
さて、いかがでしたか?
オリオン座がわかったかどうか、が本題じゃありませんよ^^
「分かりますか?」っていう問いかけの文章を読んで、あなたはどんなことを考えましたか??
こんな感じで、質問を投げかけられたら、大人のあなたでも、声は出さなくても自分の頭の中で答えようとしますよね?
そして、オリオン座がわかった人は、なんとなく答えを言いたいし、なんなら自分が正解できたことを、誰かに言って、認めて欲しくなる。 だから文面で一方的に「おめでとうございます」なんて言われても、きっと。悪い気はしないですよね^^
そういうことです☆彡
聞き手の興味を引きつけるシンプルで最強な方法は、質問をすること。
◎イレギュラーなことを、とことん楽しむ
同じ星空をいろんな切り口から掘り下げられるよう、あるいはトラブル発生時にも、当初の想定とは違うやり方でその場を切り抜けるために、プラネタリアンは、いろんなネタをあらかじめ仕込んで、投影に備えます。あるいは、引き出しを多く持っておけるよう努める、という感覚かもしれません。
おなじみの星座も、前日に大きなニュースがあったら、無理やりでもそれと絡ませてみたり、あるいは投影機から星や映像が出なかったら、「暗闇」をテーマに話をしてみたり。
また、とくに、デジタルプラネタリウムの場合は、話の切り口だけでなく、演出用の素材もたくさん仕込んでおけるのが嬉しいところ。映像や音、あるいはシミュレーションのセッティングなど、つかえる素材をあれこれと準備しておけば、あとは投影の状況とか、そのときの自分の気分次第で、出すものを選んでいけばいい。
なので、下手をすると、ちょっとしたトラブルくらいならむしろ腕の見せ所だと言わんばかりに楽しい気分になっちゃったりもします。そして投影後は、色々仕込んでおいたのに、使い忘れてしまった素材や、盛り込めなかったネタがあったことを悔やむのです。
そしてまた、子どもたちとのランダムなやり取りも、プラネタリウムのライブ投影では、ものすごく楽しく嬉しい。
クイズを出して、それに不正解の答えが出てきても「違う!」じゃなくて「惜しい!」と受ければいいし、全く予想外の答えだって、これもやはり腕の見せ所で、単なる「不正解」じゃなくて、別の関連した話題を紹介するきっかけにできれば、答えた子も投影者もWin-Winでい良い気分になれる。
そんなこんなで、ネットの生配信だって、どんなトラブルがありうるか。どんな非常時対応が可能か、というあたりが見えてこれば、よっぽどのことがなければ怖いことはありません😁
そしてまた、チャットなどで参加してくれる人がいたら、それはそれはもう、嬉しいのです。
■雲と焚き火だけの、”星空”観望会 のようす
そんな感じで、実際に行った配信の様子がこちらです。
そりゃあね、いわゆるプラネタリウムっぽい、しっとりとした雰囲気なんてまるで無いし、まだまだPCやカメラの操作に忙しくて、余裕を持った喋りなんてとてもできていない状態ですよ。
だけど実際のところ、すごく楽しかったし、これはこれで、プラネタリウムとは違った大きな魅力があるイベントをめざしていけるな、と手応えを感じられたのも事実。
今回の観望会では、ライブ配信中(解説中)は見事に雲だけしか見えなかったけど、でも雲の隙間から星が見えることをただ願いながらの時間を、会場の皆さんと一緒に楽しく過ごすことができました。配信のほうも、視聴者数はそれほど減ってなかったから、見続けてくれた人が多かったんじゃないかな。
星が見えなかったのはもちろん残念ですけど、でもこれも、トータルで見れば「ライブ」で、「自然を相手にした、出たとこ勝負」だからこそ。
いつも晴れるわけじゃないから、いつも星が見えるとは限らない。だからこそ、実際に見えたときはものすごく嬉しい。
別の表現をするならば、こういう感覚は録画イベントじゃ不可能だということにも気付かされます。つまり、録画してきれいに編集してみせる映像では、「雲のせいで星が見えませんでしたぁ~😅」じゃ、とても成り立ちません。
見る人の気持ちは、「ライブだろうが録画だろうが、見るだけだったら同じ」、、とはならないんですよね。
そんな感じで、私自身は、こんな感じで、雲しか見えない星空観望会もすごく楽しめたし、またやりたいな、と心から思いました。
今後も(雨や嵐で中止にさえならなければ!)、星あり星無しに関わらず観望会を楽しんでいけそうです♪
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?